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BLACK BIRD 第2章 ?6?

 私たち一行はある目的地を定め、外に乗り出した。
 懐かしい景色に少しジーンとしてしまう。


 しかし、このまま突っ立っているわけにはいかない。
 私たちは一刻も早く駆動しなくてはいけないのだ。
 ふよさんのため、クラスメイト、いや、先生たちも含めた学校のみんなのため。
 そしてもしかすると世界のために私たちは動かないといけないかもしれない。
 そんな重荷を背負いつつも私たちは素早く駆けだした。


 しかし、しょっぱなから邪魔が入る。
「見て!」
 学校を出て程なくして。


 町中を走り、駅に向かう私たちだったが、その上空に異様なものが見えた。
「何だあれ?!」
 海谷も声を上げ、私たちは思わず立ち止まった。


 私たちの周囲を歩いていた人たちもつられて空を見上げ、周囲にどよめきが起こる。
 私たちが見上げる先、どんよりとした曇り空にぽつんと黒い丸が見えた。
 その丸はまるで穴のように見える。
 ここから見てサッカーボールくらいのサイズがあった。


 空の色がのっぺりとしているので、私がいる場所からその丸までの距離ははっきりしない。
 しかし、それは、何か不気味で、光もしなければ、動きもしなかった。
 


 通行人の一人が携帯で写真を撮り始める。
 私も携帯があったならそれで写真を撮っておきたかったが今の私の手元には携帯がない。
 一体私の携帯はどこに行ったのだろう?
 ズボンのポケットに入れて置いたのに。
 これでは家族と連絡が取れない。
 私の家族は無事だろうか?


「何だ、あれは?!」
「何か出てきてない?!」
 私が家族の顔を思い浮かべていると、不意に周囲からそんな声があがった。


 顔を上げた先のものを見て、私は思わず息をのむ。
「これ、やばいんじゃないか?」
 私の横で海谷が呟くのが聞こえた。


 今私の視線の先にある、空にある黒い丸。
 それは本当に空にあいた穴のようだった。
 私たちの周りにいた人々が、あまりの異様さに逃げ出していく。


 ただ私たちだけはその場を動かなかった。
 穴の中から表れた、まるで蜂の大群のような大量の黒い粒。
 それらはどんどんと近づいてくる。


 そして近づくと同時にその姿もはっきりとしてきた。
 コウモリのような羽を羽ばたかせ、手には剣や槍など武器を握っている。


 そしてどこからか男の人が助けを呼ぶような声がした。
 視線を今私たちが向かおうとしていた先、駅のある方に向けると、私たちが立つ大通りの横道からスーツ姿の男性が飛び出してきた。
 彼は青ざめた顔をして、「助けてくれぇ!!」と叫びながら猛スピードでこちらに向かってくる。
 その様子は尋常ではなかった。


 思わず固まってしまう私たち4人を突き飛ばしその人は走り去っていく。
 そして男性が飛び出してきた横道から表れたのは……
「ガーゴイル・・・・・・」
 忘れもしない悪魔の姿だった。

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BLACK BIRD 第2章 ?5?

「よかった、これで外に出られるな」
 弓道部の部室にて弓を入れておくための袋を拝借した私たちは、校庭を見ることのできる図書室へとやってきていた。
 いつもは必ず人がいるこの部屋にも人影はなく、祈るような気持ちでみた校庭にも人の姿はなかった。
 ただ校庭の向こうに見える道路には普段と変わらず人が行き交い、車が走っていくのが見える。   
 異変が起こったのはこの学校の中だけなのだろうか?


 私たちは図書室の中のいすに腰掛け、不安そうな顔をつきあわせた。
「外に出られるのはいいけど、具体的に私たちはどこに行けばいいのかな?」
 悠ちゃんが最初に口を開いた。
 確かにそうだ。


 このままこの中にいたとしてもどうにもならないけれど、外に出るとしてもいったいどこに向かえばいいんだろう?
「というか、ふよさんのことはどうするの?この状況について何か知っていそうなのって、ふよさんくらいしかいないでしょ?」
 今度は無兎が口を開いた。


 確かにその問題もある。
 最後にみたふよさんの様子はとても変だった。
 かなり調子が悪そうで、話すことでさえもとても苦労しているような感じ。
 彼女は無事だろうか?


 そして無兎の言うとおり、この状況についてきちんとした情報を知っていそうなのはふよさんをおいてほかにいなかった。
 でもせっかくふよさんが元の世界に帰してくれたというのにそこをのこのこ戻っていくのは如何なものか。
 というか、異界にはどうやって戻れというんだ?


 みんながこの問題に直面したらしい。
 一気にみんな黙りこんでしまった。
 そんな中次に声を発したのはこの中の4人ではなく、少し下の方から声が聞こえた。


「みんな、ちょっといいか?」
 それは私が腰につけていたベルトの方から聞こえたものだった。

BLACK BIRD 第2章 ?4?

「武器が残ったままじゃん!」
 私が怒りを込めて腰に付いたままのベルトをにらんだとき、他の面々も変身を終えた。


 やはりみんな、学校に通っていたときとほとんど変わらない服装へと変わっている。 
 しかしやはりみんな武器は変わらず残っていた。
 悠ちゃんはあまり大きくない十字架のようなもの、無兎は指なし手袋、いわゆるグローブが武器だから、目立たない。
 むしろちょっとしたおしゃれのようにも見える。


 でも私と海谷はそうはいかない。
 私はベルトに、鞘にちゃんと収まってはいるものの、ナイフが2本。
 そして、海谷は背中に長刀を背負ったままだ。
 こんな状態で外に出たら銃刀法違反で逮捕されてしまうじゃないか!


「どうにかしてこれ隠さないと」
 私はベルトからナイフをはずし、首を傾げた。
 教室の中に何か役にたちそうな物はないだろうか。
 教室内は人がいない以外は私たちが異界に飛ばされたときと何も変わっていなかった。
 机の中には教科書が詰め込まれていたり、教室後方のロッカーには荷物がいくつも入っている。
 ただ、普段は床に置いてあったり、机の横にかけられている鞄がどこにも、誰の物もなかった。
 もちろん私たち4人の鞄も消えていた。
 いったいどこに消えたんだろう?
 普段から使っていた筆箱は今手元に偶然あるけど。


 そして私のロッカーを何気なく見ると、そこには体操服を入れてあるナップザックが見えた。
「あれだ!」
 なんだなんだ?という目で見るほかのみんなをよそに私はロッカーへと向かった。
 ナップザックの中の物をのぞく。
 確かに私の体操服だ。
 特に汗のにおいはしないし、十分使えるだろう。
 体操服は袋から出してしまうかとも思ったけれど、このナイフ2本だけを入れるのは心許なかった。
 もしこの中身を見せないといけないときがきたら?
 そういうときのために体操服はそのまま袋の中に入れておいた方がいいだろう。


 私はナップザックの中にベルトから外した刃物を詰め込み、席に戻った。
 海谷が少しうらやましそうな目で見てくる。


「いいな、黒鳥のやつは小さくてさ。俺のは長いからそんなんじゃ入んねーよ」
 海谷はベルトから長刀を外し、柄で床を突いた。 
 確かに海谷のこれがすっぽりと入るような入れ物はなかなかない。
 私の背丈くらいあるんじゃないか、これ。
 150センチくらい? 
 こんな身の丈ほどもある物が入るもの・・・・・・。


「あ!わかった!」
 そこで悠ちゃんが手をたたいた。
 海谷がぱっと表情を明るくして悠ちゃんを見る。
「弓道部にいけばいいんだ!弓を包んでるあの袋ってこれくらいあるんじゃない?」

BLACK BIRD 第2章 ?3?

 今使える機械の機能などについては、私の持つ機械の中のコクを中心に話を聞いた。
 どうも機械の中にある石の魔力のおかげで、いくらかの機能は使えるそうだけど、やはり大気に全く魔力がないせいもあり、機械から彼らが出てくることはできない。


 しかし、有力な情報が彼らによりもたらされた。
 というのも変身というものができるそうである。


 そんな、まさか!と私たちは思ったのだけれど、コクたちが嘘を言っているようには見えない。
「この機械の能力を使えば、ある程度まで服装を変えることができる。幸い、君達が着ている服はこの世界の物ではないからな」
 どうも私たちの世界の服のデザインを変える、ということはできないようだけど、今私たちが着ている異世界の服であれば、どんなデザインにでも機械の魔力で変えられるという。


「そんな都合のいい話があるなんて」
 悠ちゃんが苦笑いしながら言う。
 確かにあまりに都合がいいような気もするけれど、これは利用しない手はない。
 早速この世界でも目立たない、ふつうの服装に変わることにしようじゃないか。


「それでその変身ってどうやるの?」
 全員が同じ質問をしたので、再びコクが代表して答えた。
 彼が言うことには、機械のメニューの中にトランスという項目があるからそれを選んで、自分がなりたい服装をイメージするだけだという。
 これまたあまりに簡単だ。


 でも、簡単なのに越したことはない。
 私たちは早速、その機能を試してみることにした。
 機械に付いたボタンの一つを押すと、コクの顔が表示されていた画面が切り替わり、英文字が並ぶ画面が表れた。
 これがそのメニュー画面だ。
 そしていくつかボタンを押した先にTransと書かれた項目を発見した。
 早速試してみる。


 その項目を決定し、頭の中に普段の服を着ている自分の姿をイメージする。
 これは、異界に飛ばされる前、学校にいたときの服装だ。
 何となく懐かしく思った。
 やっぱりこういう変なデザインの服より、ゆったりしたいつもの服のほうがしっくりくる。


 そして、私はその服をイメージし続けていたのだけれど、だんだんそのイメージが崩れていき、自分の意志とは反対に服の画像は消えていった。
 あわてて目を開けると、私は普段の服装に戻っていた。


 黒いジーンズに、白いパーカー。
 猫のキャラクターがプリントされたいつものTシャツ。
 私は思わず立ち上がり、しげしげと自分の姿眺めた。


 なんだか感動した。
 こんなに普段の服はいいものだったのか。
 というかこの機能のことをもっと早く知りたかった。


 しかし、問題はまだ残っていたんだ。

BLACK BIRD 第2章 ?2?

 やはりみんな起きた直後はぼんやりとしていた。
 しかしすぐに自分がどんな状況にあったか、思い出した。


 そして今、みんなで集まって席について、会議中。
「とにかく、服の問題をどうするかが先決かな。このままじゃ外にでられないし」
 腕組みをしながら、悠ちゃんがうなった。
 無兎も同じポーズ、表情をしている。
 この辺は双子だなぁ、と感じた。


「それでもここに着替えないてないだろ。あったとして体操服?」
 海谷が苦笑いを浮かべながら言った。
 この服装で出歩くのも嫌だけど、体操服で町をうろつくのも同じくらい嫌なものがある。
 いや、むしろ、この服装の方がまだ体操服よりはましかも。


 とりあえず校内を散策してみるか。
 そう提案しようとしたとき、再び海谷が口を開いた。 
 私は一旦言葉を飲み込む。


「そういえば、この機械。これここでも動くのかな」
 海谷が言ったのは私たちがそれぞれ持っている不思議な道具のことだ。
 これは異界に飛ばされたとき、各自持っていたもの。
 色や機能がいろいろと違うのだが、種類は同じようで、いうなれば、魔法のアイテム、といったところ?




 この機械はこの世界の科学では説明できないような機能が詰まっている。 
 でも、それは、異界の方にこの世界にない力があったからこそ、使えるものだったんだと思う。
 そのこの世界にない力とはいわゆる魔力。


 私たちが向こうの世界で世話になり、唯一私たちが出会った異界の住人”ふよ”さんは、私たちの世界には魔法を使うための根本的な力がないから、魔法が使えないのだとふよさんは言っていた。
 ただ、もし、私たちの世界に魔力が流れ込むようなことがあれば、私たちの世界にも魔法が現れるだろう、とも言っていた。
 でも魔力がない世界は他の世界と比べ比較的平和だろうといっていたから、私は魔力を望まない。
 確かに魔法を使えたらとても便利だし、楽しいけど、私たちの世界には魔法を使って戦う相手なんていない。
 私たちの世界では魔力なんて危険なだけの不気味なエネルギーとなってしまう気がした。


「ここには魔力がないからこれは使えないかも」
 私はほとんど呟くように言った。
 海谷がちらりを私を見て、悠ちゃんと無兎はいつの間にかその機械を手に持っていた。


「まぁ、試してみないとわからないし。とりあえずボタン押してみようじゃないか」 
 海谷は機械を見つめながらそう言って、適当にその機体のボタンを押した。
 悠ちゃんや無兎も機械のボタンを押す。


「あ!ついた!」 
 そして3人全員がぱっと表情を明るくする。
「え?」
 私が無兎の機械を見つめると、得意げな顔で、無兎が画面を私に向けた
 確かに画面には明かりがつき、読み込み中という意味らしきバーが表しされている。
 私も急いで自分の機械を取り出し、ボタンを押した。
 私の物も難なく電源が入り、読み込みを開始する。
 いつも通りだ。


「電源は魔力関係ないのかな?それか、他にエネルギー源があるのかも」
 悠ちゃんがつぶやき、機械を様々な角度から眺める。
「見たところでわかんないと思うよ?」と無兎が冷ややかな目で悠ちゃんを見た。


 そしてそんな二人の会話を後目に、海谷が「お!」と声を上げた。
 どうしたのか、と海谷の表情を伺うと、海谷のやつ、なんだかうれしそうな顔をしている。
「どうし・・・・・・」
「アニキ!!」
 私が口を開いたのと同時に、海谷の機械から声が。


 この声はシドラの声だ。
 シドラは海谷の機械の中にいるモンスターのようなもの。 
 機械の外に出ることもできたのだけど、ここではできないのかな。


 そして、シドラに続き、悠ちゃんの機械からリミティ、無兎の機械からフィニティの声が。
 そして私の機械からも「よかった、繋がったか」というコクの声がした。

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