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鬼畜と心配性とサポート役 第4章 27話

生徒会 記録チャット


※ ルールは必ず守る。一日に何度も投稿してOK。
※ 新しい情報は必ず書く事。
※ 急ぎの連絡は、生徒会室、または紅謳 羅威まで。


×月×日  20:54■


陽:あれはねぇな。

帝:まったくです。

紅:…。

陽:…今更本性隠しても意味ないと思うんだが。

帝:癖です。これでも大分剥げています。

陽:嫌な癖だなーオイ。

紅:気にしていたらきりが無いな。

帝:ええ、放って置いてください。
帝:そういえば、あの馬鹿2号はどうなりましたか。


陽:ああ、伊家のこと?
陽:一応人間に戻ったから、服を調達して「でりしゃす」に。

帝:ああ、そうですか。黒の悩みの種が消えましたね。
帝:にしても、あの茹で蟹男はなんですか。

陽:…それって、あの、例の能力者のことか?

紅:つい先週に監獄から逃亡した、凶悪犯罪能力者だ。

帝:凶悪な能力を持った犯罪者ですか。
帝:それとも、能力を持って、凶悪な犯罪をおこしたんですか。
帝:あるいは、能力者で、性格が凶悪なだけですか。

紅:どちらでもある。だが能力の本質上だけならば、お前ほど凶悪ではない。

帝:?

陽:…まあ、詳しく話すと面倒なことだよ。
陽:今度、皆に話す。
陽:奴らが、どういう集団なのか。

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鬼畜と心配性とサポート役 第4章 26話

「凡太。」
「はい?」
「コルク栓、とってこい。」
 


 またしても。
 仕方無しに早也はコルク栓を拾い上げ、帝に渡す。

 ふと表情を伺い見て、早也は堪らず凍った。


「あ……の………?」
 あの大魔王の顔が、瞠目したまま凍っている。
 大魔王こと帝は、受け取ったコルク栓を試験管に、厳重に押し込んだ。


「…帝、どうかしたのか?」
 零斗が心配そうに聞き、帝は嫌そうな顔をして試験管の栓を抜いた。
「…ほら。」
 腕を精一杯伸ばした帝。

 その先の試験管に零斗が鼻を近付け――――後ろに倒れる。


 「「「え?!」」」全員が呆気に取られ、紅謳が両目を穏やかに閉じた。

 まるで、最初からその光景を予想していた、と言わんばかりに。
「…校長から厳重に保管するように言われていた『O?KA4』を、凍静教師が遊び心半分で嗅いだ。…今の生徒会長と同じような反応を示した。」
「凍静先生も倒れたんですか!?」
 じゃあ倒れなかった帝は何なのだろうか、とはさすがに誰も言わなかった。

 あと、遊び心半分で薬物を嗅ぐのもどうかと思ったが、同じように言わない。


「おい零斗、大丈夫か。」
 内心防護マスク、いやガスマスクが欲しい帝が、コルク栓を指で弄びながら問う。
「…うー………。」
 呻き声を上げながら、零斗は床に倒れたままうわ言のように呟く。
「………しばらく砂糖を使ったモンは食いたくねぇ……。『さとう』って文字を見ただけで吐きそうだ………。いや…思っただけで……。」
「お前の気分がよく分かる実況をありがとう。…俺も同じ気分だ。」


 帝はコルク栓を再び厳重に閉め、厳しい顔で陽に突き出す。

 彼の鞄に伊家が入っているからだ。
 試験管を、爆発物でも扱うかのように慎重に受け取り、陽は鞄を床に下ろす。

 ガス室に入る気持ちで病室の洗面所のドアを開け、伊家を抱えて入った。

 ドアは開けたままだ。
 


 全員が再び、零斗も上半身を起こし、その様子をじっと見る。
 陽はコルク栓を開け、伊家猫の口に近づけて傾ける。
 それを、伊家は躊躇無く一気に煽った!
 
全員が息を呑み、試験管から全ての液体が無くなる。
 


 同時に伊家猫は倒れた。

 紅謳が素早く無言、かつ無表情で廊下に出て行く。

 ぴしゃり、と病室の引き戸が閉められた瞬間、伊家は1単語だけを発した。


「………ぶ。」
 ぶ?


 慌てて陽が試験管をゴミ箱のビニールに突っ込み、洗面所から飛び出してドアを閉めた。

 だがそのドアの隙間から、洗面所から離れた竜海のところにまで、眩暈さえ起こるほどの強烈な匂いが広がってくる。


ドアを開けろぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
 零斗の怒鳴り声に、反射的に白がガラス窓を全開にする。

 生ぬるい風が滑り込んでくるかわりに、クーラーの冷えた空気と、色がつきそうなほど甘い、いや、いっそ甘臭いと言った方が正しいような匂いが外に出て行く。
 空気の循環だと言わんばかりに、帝が能力で起こした旋風が功を奏した。

 短時間で甘臭い空気が個室から抜けたのだ。
 


 だが、服に少なからず染み付いたことと、洗面所に閉じ込めた(おそらく全裸)の伊家をどうするか、しばし会議は迷走する羽目になる。

鬼畜と心配性とサポート役 第4章 25話

「――――今日未明、謎の能力者が未開発の森から逃走。外見は白い服に、赤い長髪。主に風使いの能力を持っていると思われる。能力を消す薬をばら撒いていた人物だと思われる。伊家はこの人物に、劇薬『CHAPPU5963』を気付かぬ間、あるいは飲んだ後にその記憶を消された模様。」
 そして帝に差し出したのは、シャーレに入れられた白色不透明の液体と、箇条書きに記された文章。


「それが、伊家の様子及び血液から判別した『CHAPPU5963』の効能だ。中毒性が現れるが、それは一時期に過ぎない。中毒性が切れたころに顔色悪化、それを放っておけば猫となる作用を持っている。猫になっている間、能力は使役できない。」
「…現在のこいつか。」
 帝は伊家猫を見下ろす。

 だから能力が使えなければ、形勢逆転が狙えないと。


 しかし、恐ろしい薬だ。

 名前に何かが隠されているような気がするが、気にしている暇は無い。


「そしてこれが、『CHAPPU5963』の解毒薬。名称を、『O?KA4』という。」
 紅謳が折り畳まれた紙と、それから透明な液体を入れた試験管をポケットから取り出す。

 とりあえず帝は紙と試験管両方を受け取り、紙を開いて見る。

 先ほどの説明書と同じような文面が並んでいた。
 紅謳が説明する。


「『O?KA4』は極めて優秀な解毒薬だ。『CHAPPU5963』以外の毒、そして麻薬中毒の治療に劇的な効果をもたらすことが、校長の実験で判明した。」
「校長だけで実験したのか? 国は?」
 零斗が身を乗り出すが、背筋が凍るような視線を投げられた。


「国に渡せば、それこそ薬物兵器にでも転換されるだろう。どこから流出するか分からないから、校長だけで実験した。」
「…どういう人間だよ。」
 帝がまともな意見を述べながら、紙面に目を走らせる。

 そして唐突に眉根が寄せられた。

 何を見ているのか分かっているらしく、紅謳は無表情で告げる。


「ただ、『O?KA4』にはある重大な欠点がある。―――吐き気がするほど甘い。」


「何だそりゃ。」
 白が思わず脱力した。

 早也も留美も「はあ?」と言わんばかりに顎を落としている。

 気を取り直し、早也が問うた。


「でも、麻薬中毒者は味覚が狂うって…。」
「それすら意味がない。」
 無表情でそう語る紅謳の口調は、やけに強い。


 試してみようと言わんばかりに帝が親指でコルク栓を弾き飛ばした。

 コルク栓が壁に兆弾して床に落ちる。

 そして黒に紙を渡した。
 


 はたして、どれだけ甘いのだろうか。
 紅謳以外の皆が唾を飲み込んで、帝を見つめる。


 注目されている彼といえば、まるで新しいものを見る小鳥のように数回瞬いてから、傍にいた早也に、もう片方の手を出した。

鬼畜と心配性とサポート役 第4章 24話

 帝たちが501号室に入室したとき、すでに何人かが集まっていた。


 個室にしては広すぎる部屋。

 白で統一されたその場所の中央にはベッドがあり、そこに黒が腰掛けていた。

 こちらを向いて、安心したように笑う。
 


 数字が記された小さな布片、それを胸に縫い止めている白い服は、緊急入院した患者用のそれ。

 切断された左肩は、左腕をつけてギプスで固定されていた。
 


 部屋に来ていたのは竜海と、鞄を肩にかけた陽、白、そして早也とその妹だった。


「珍しい組み合わせで来たのね。」
「さっき会った。」
 零斗は端的に告げ、「土産」と言いながら帝が鞄を差し出す。

 それを右手で受け取った黒に、帝が聞く。
「左腕は。」
「もう動くの。やっぱり治癒能力っていいわね。」
「そうか。早く帰ってこないと仕事が山積みになるぞ。」
「それは大変。」
 肩を竦めておどけた黒に、零斗は小さく笑う。
 


 咳払いが、その穏やかな空気を静かに裂く。

 咳の主は岩陰 竜海だった。


「あー、レストランのほうは、ビラ配りで何とか体勢を立て直した。後はリーダー伊家が帰ってくれば、形勢逆転を狙える。」
「何でだ。」
 零斗の簡潔な、だが本心からの問いには、陽の鞄の中から返事が返ってきた。


「それはねー、俺の能力がちょっとばかり意識とか人格を操ったりできるからだよー。」
「うわびっくりした!」
 大袈裟に驚いた零斗、彼の目の前のバッグから、金色の毛並みの猫の頭がぬるりと出てきた。

 伊家猫だ。

 動物持ち込み禁止の令に引っかからないようにしたのだろう。


「手荷物検査は……ああ、おっさんの権限か。」
「おふこーすっ!」
 帝の呟きに、竜海が親指を突き出した。

 職権乱用と言わないのか、それは。
 気にせず、伊家は続ける。


「俺の能力は女性限定だけど、それだけでもいい戦力になるんだ。まあ、猫まみれのレストランを開くなら話は別だけど。」
「食料を使う店舗としてはタブーの発言だぞ、それ。」白が冷静に突っ込む。
「だよね。まあ、全ての権限は竜海のおっさんが持ってるから。」
「そうだ。…ふふふふふふふ。」
 竜海が急に笑い出す。

 目がギラギラとしか表現できないほど光っていた。
「ここで俺の計画が発動するぜ…。第二のでりしゃす、創設だ。」
「おい、モダン喫茶まで飲み込むつもりか。」
 呆れたような零斗の言葉は、残念ながら竜海には届いていない。



 次に咳払いをしたのは、紅謳だった。
「話がずれる。今から修正する。」

鬼畜と心配性とサポート役 第4章 23話

 生徒会2人と紅謳が会う、少し前。
 カウンターで先ほどの美少年を思い出していた看護師は、更に現れた人物に心臓を飛び跳ねさせた。
 


 サングラスに黒髪、整った顔立ち。

 目の色は分からないが、閉じられた口から伝わる感情の無さ。

 どこのファッション雑誌に出てもおかしくは無いビジュアル系だった。

 背は結構高く、少し怖い気もする。

 おそらくこの青年は自分と同い年、あるいはもう少し年下だろう。


「501号室の、黒 紫園との面会を申し込みたい。」
 何だかこの部屋での面会多いなー、と彼女は上の空で思いながら事務所と連絡を取る。

 しばらくその横顔を眺めていようか、そう思ったときだった。


「おーい、紅謳さーん?」
 突如として響いた声に、看護師と青年が玄関ホールに振り向いた。
 がーん
 おそらく彼女の背景に効果音をつけるなら、そんな音があっていた。

 目の前の人物が、自分でさえ「可愛い」と思ってしまうような人物が、青年を見上げて可愛らしく小首を傾げる。


「僕も一応会ったほうがいい?」
「別にいい。待っていろ。」
 答えた青年の言葉も、無表情なのに何だか優しいように感じてしまった。
「そう? ならホールで待っているよ。『都』のアニ●イト、楽しみだなー。」
 何だかとんでもない言葉を聞いたような気がするが、看護師の心境はそれより遥かに大きいショックの大波が揺れている。
 別世界の光景のように、まだ目の前で会話が交わされていた。


「新しいソフトが出たんでしょ?」
「そうだ。」
「PSPの使い方とか教えてね。全く分かんないから。」
「分かった。…許可が下りたようだな。」
 ふと、電話向こうから自分を呼ぶ声。

 耳に当てると、向こうが青年と患者の面談を許可する言葉を連発していた。

 どうやら青年の手荷物検査は無いらしい。


「ど、どうぞ。」
「笑顔で行ってみよー!」
 どちらの言葉にも無言のまま、青年は廊下へと足を進める。

 それを見送った目の前の人物に、慌てて、しかしそれを気取られぬように看護師は聞いた。



「あの…あなた、さっきの人の彼女?」
 すると、驚いたように首をぶんぶんと振る。
「まさか、ただの真っ当な友人です。あと―――僕は男ですよ?」
 再び何だかとんでもないことを聞いたような気がして、看護師は視界を、思考から断ち切って独立させた。


 彼女の感想はただ1つ。
 どーいうことよ。

 ―――それだけだった。


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