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鬼畜と心配性とサポート役 第1章 8話

「では、最後に書記に立候補する人・・・あら?」
 また誰も手を上げないだろうと思いつつ振り返った凍静だが、目を逸らす生徒の中一人こちらを見据え、高々と手を上げるものがいた。
 黒だ。


「私、書記に立候補します。」
 きっぱりとした言葉に、歓声が上がり拍手が巻き起こる。


「それでは、書記は黒さんで決まりね。」
 黒板には黒の名前が書き込まれ、3人の名が並んだ。


「では、これで立候補者が決まりましたね。といっても1年のあなたたちが選ばれることはまずないから、安心してていいわよ。」
 そして凍静は怪しげな微笑を浮かべた。


                              :


 二日後。


 3人は体育館の壇上に立っていた。


「え?、では新しい生徒会のメンバーを紹介します。まず、生徒会長は1年B組有栖 零斗君。」
 ぱちぱちと会場からまばらな拍手が上がる。


 その日は新学期最初の生徒総会。
 帝たち3人は会の直前に、役員に選ばれたことを知らされ、よくわからないうちにステージに立たされたのだ。


 会場にはすでに全学年が集められ、教員も勢ぞろいしている。
 なぜか校長の姿はなかったのだが。


 帝は入学式のときも校長の姿を見なかったことを思い出し、少し首をかしげた。
 が、すぐにそんなことは記憶から消える。


「副会長は同じく1年B組鋼 帝君。書記も1年B組黒 紫園さん。」


「なんで、俺たちが見事に3人とも当選しているんだ?」
 まばらに起こる拍手の音を聞きながら帝は小声で、横に立って引きつった笑顔を浮かべる有栖に聞く。


「知るかよ。」
 有栖の体は微動だにせず、ポツリと口だけ動かした。
 前に目線を戻した帝は表面上はにこやかだったが、額には青筋が立っている。
 かなりイラついているようだった。


「え?、今回も挨拶は省きます。では、承認する人は拍手をお願いします。」
 司会の中年教師が言うと、先ほど紹介されたときよりも大きな拍手が返ってきた。
 よっぽど生徒会の役員に選ばれたくなかったらしい。


「では君たちはそこの席に座っていてくれ。」
 司会の教師はマイクを口から話すと、3人に壇上に設置されたいすを指差した。
 すでにその席の周りには各委員会の委員長や、お偉い先生方が座っている。


 とりあえず3人は言われるまま席に着いた。
 その後は各委員会についての説明などがあり、これ以上は3人の出番はなかった。


                             :


 放課後。


 凍静に呼び出された3人は職員室へと向かった。


「先生!1年は選ばれないって言ったじゃないっすか!!」
 有栖は凍静の顔を見るなり食って掛かった。


「私はまず選ばれることはないとは言ったけれど、絶対に選ばれないと言った覚えはないわ。」
 有栖の怒りはさらりとかわされる。
 有栖は不満顔のまま押し黙った。
 きっと凍静には口で言っても勝てないと悟ったからだ。


「でも、生徒会長に選ばれたということはほかの生徒たちより優れていたということよ。きっとそのくらいの力があるなら、仕事も楽にこなせると思うわ。といっても私は生徒会の仕事についてはよく知らないのだけど。」
 凍静は薄く笑う。


「そうですか・・・。それで私たちはこれからどうすれば・・・?」
 黒は自分が選ばれたしまった怒りよりも帝たちが会長など重要な役に選ばれたしまったことの不安のほうが大きいらしい。
 言葉に少し元気がなかった。


「そう、それなんだけれど、私はあなたたちを生徒会質へ案内するよう言われたの。それでは早速案内するからついてきて頂戴。」
 凍静は席を立ち、帝たちを連れ部屋を出た。


「そういえば生徒会の仕事については誰に聞けばいいんですか?」
 帝は優等生っぽくにこやかに凍静に聞いた。
 心の中はとても穏やかといえる状態ではなかったが。


「確か何か仕事があれば仕事内容の書かれたメールか生徒会室への呼び出しのメールが生徒会室へ届くらしいわ。仕事内容が直接書かれたメールならそこに書いてる通り行動すればいいし、呼び出されたら指定された時間に生徒会室へ行って、指示を聞けばいいそうよ。あ、そうそう、さっき生徒会担当の人が部屋に行くって言っていたから、生徒会室でしばらく待っておいて。」
 凍静そう言った後は4人の間に沈黙がおりた。 


 というのも凍静の冷たそうな外見と言動のせいもあったが、さっきから帝が発している何かいやな気配が、黒や有栖の口をふさがせていたのだ。
 そのまま黒と有栖にとっては居心地の悪い沈黙が続いたが、それもあまり長くは続かなかった。


「ここよ。」 
 いくつか角を曲がり少し遠いと感じるようなところでようやく凍静は立ち止まる。
 ここは学校のかなり端のほうだろう。
 凍静の前には生徒会室というプレートが取り付けられた簡素なドアがあった。


「それでは、私はほかに仕事があるからこれで失礼するわね。あ、鍵は開いているから。きっと後から来る担当の人が鍵を持ってきてくれるはずだから、鍵は自分たちで管理するように。」
 凍静は3人にそう告げるともと来た道を帰っていった。


 帝が部屋の引き戸を開けると、高級そうなソファと机が並んでいるのが見える。
 向かいには窓があり、その窓の下には何が入っているのかよくわからないダンボールが数箱。
 部屋の脇には高級感のある棚が置かれ、ガラス張りの戸棚の中にはいろいろと難しそうな本や、学校や町の歴史の書かれた興味深そうな本までいろいろと入れられている。


 担当のものが来るまで待っておけということなのでとりあえず3人はソファへ腰掛けた。
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