スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鬼畜と心配性とサポート役 第3章 4話

「ところで、話ってなんなのさ?」

 先ほど伊家に話しかけた生徒とは別の生徒が聞いた。
 一番聞きたい質問に有栖は神経を集中させる。



「あぁ。君らさぁ、自分の力のこと、どう思ってるの?」
 質問に対し伊家は関係あるのかないのかわからない質問を返した。


 力・・・つまり特殊能力のことだろう。
「え?」
 予想外の質問に驚く生徒だったが、
「別に・・・特にどうとも・・・?」
 という返事を返した。


「本当ぉ?実際邪魔だと思ってんじゃないのぉ?だってさ、便利な能力なんてホント数えるほどしかないっしょ?火とか出せてもほとんど使い道ないしぃ。」
 伊家はニヤニヤしながら言う。


 そこで有栖は何か変なことに気づいた。
 その違和感は伊家から来ている気がし、伊家の顔をうかがったが、違和感の正体はつかめない。
 有栖が怪訝そうな顔をしている間にも話は進んでいく。


「え・・・あ、でも確かにそうだ。俺電気を操れるみたいなんだけどさ。使えることなんてほぼないんだ。」
 どうとも思っていない、そう答えた生徒だが、伊家の言葉を聞いて思い直したような顔になる。
「でもさ、電気使えるのって便利じゃね?電池とか要らないじゃん?充電器なくてもパソとかケータイの充電できるくね?」
 その横に座っていた生徒が言ったが
「いや、集中しないと使えないからさぁ。力使いながらなんかするっていうのもできないんだよね。どっちかってといらないかな、こんな力。なくても別に不便じゃないし。」
 彼はそう答えた。


「あ?、でもいわれてみれば、俺の力もそんな使い道ないし?。」
「確かにそうだね・・・。僕らこのなくてもいいような力のせいでこんな島につれてこられちゃったし・・・。」
 ほかの生徒たちも力はいらないと思い始めたようだ。
 伊家はそんな彼らを見てニヤニヤと笑っている。


「でしょ?そんな力さえなかったら、こんなシケた島にいる必要なんてぜんぜんないし。」
「ほんとだ!この島に来る前は俺彼女いたのにさぁ、ここに来ることになって別れる羽目になったし?。マジ最悪!こんな力なんてなかったらいんだよ!」
「僕も家族と離れ離れになっちゃったし・・・。」
 ほかの生徒たちはどんどんと盛り上がっていく。


 なんだか伊家にいいように操られているように見えた。
 有栖は伊家という男が何をしたいのかわからないし、先からの違和感についてもいまだつかめない。
 有栖はジワジワとのどが渇くのを感じ、ウーロン茶を口に含んだ。


「そそ、力さえなければこんな島からはおさらばできるワケ。」
 そこでまた伊家はにやりと笑った。


「そんで、本題なんだけど・・・。」
 伊家はそこでぐっと声のトーンを落とした。
「実はその力・・・なくすことができるんだ。」
 有栖はかろうじて聞こえたその言葉に目を見開いた。
 それが本当のことだとするとかなり大変なことを耳にしてしまったことになる。


 有栖は片手でパソコンに文字を打ち込みながらウーロン茶を飲み干した。
 あの伊家が有栖をここまで動揺させている。
 有栖は手にグラスを握ったまま固唾を飲んで伊家の言葉を待った。


「力をなくすには、この薬を・・・」
 伊家が話しながら鞄から何かを取り出そうとした瞬間ガラスの割れる音で声はさえぎられ、動きも止まった。


 有栖がグラスを落としたのだ。


 その音で伊家は先ほどから近くに座ってなにやら作業をしていた生徒が“生徒会長”の有栖だということに気づき、生徒たちをつれ逃げるように食堂から去っていった。


 軽い放心状態にある有栖のもとにすぐ売店のおばさんがほうきを片手に駆け寄ってきた。
「君!大丈夫?どこも切ってない?」
 おばさんの言葉に有栖はフッと我に返った。


 すぐに伊家の居場所をパソコンで調べたが反応はない。
 既に校外へ出てしまったようだ。


 有栖はため息を付くとおばさんに謝り、掃除を手伝った。
 幸い弁償はしなくていいそうだ。
 有栖は伊家の足取りを虫なってしまった今、何もすることができないので、いったん生徒会室へと戻り、ほかのメンバーに連絡を取ることに決めた。


 部屋へ帰り帝と黒に向けてメールを送信した後、有栖は先ほどのことを思い返す。
 あれは“伊家であり、伊家じゃなかったんだ”。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yamattulann

Author:yamattulann
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。