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RAINBOW STORY - 72 Person who prevents way -

 レイさんは相変わらずの無表情だったが、他のメンバーは全員巨大な魔石を見てあんぐりと口を開けた。
 やっぱりこれは驚くよな。
 だが、今は説明してる場合じゃない。




「リプちゃん! 大丈夫ですか?」
“うん。今こっちの様子を映すから……”
 バロンの問いにリプちゃんが答えると、赤かった魔石が瞬時に透明になり、暗い海が映し出された。
 そして、海の中には既に前方に回ってきていたらしい、クラーケンの足がいくつも蠢いていた。


「それで、どうするんだ?」
 ブラストが腕組みをして、魔石に写ったクラーケンの足を見つめる。
 確かにこのままじゃ前に進めない!


“このままじゃ通れないよ! どうする? 迂回する?”
 リプちゃんが言うが、バロンは黙ったまま目を瞑って何やら考え込んでいる。


 しばらく間を空けて 「リプちゃん。そいつ強そうですか?」 バロンが言った。
「え? う、う~ん、分かんないけど、こっちが見えてるはずなのに一向に襲いかかってこないよ? それとなんだか動きがぎこちない気がする……」
 そう言われてみれば、確かに動きが妙にかくかくとぎこちない。
 しかも、よく考えてみればさっきから動きがワンパターンじゃないか?


「う~ん、このまま遠回りをするのも面倒ですしねぇ。よし、ここは一か八か戦ってみましょう。リプちゃんファイヤーです!」
 バロンがびしっと魔石に指を突きつける。
「りょーかい!」
 そうして魔石に写っていた景色が空の方を向いた。
 次の瞬間魔石は眩い光に包まれる。
 


 炎だ!
 


 すごい勢いで炎が噴射される。
 この映像はリプちゃんの額からのものだから……この炎はリプちゃんが口から出しているんだよな?
 ……リプちゃん自身は熱くねーのかな。


「あ! 見てください! クラーケンが!」
 ブランが興奮した面持ちで魔石を指差した。
 見ると炎がクラーケンについている!
 要するにクラーケンが燃えた!


 その足はだんだん解けていき、火はどんどんと燃え広がっていく。
“う……すごい臭い……!”
 魔石に写った景色が、だんだんと燃え盛るクラーケンから遠ざかっていく。
 その臭いというのは相当ひどいものなんだろう、後退せずにいられないようだ。
 


 ある程度離れるとクラーケンが炎の勢いを増した。
 そして、次の瞬間クラーケンが大爆発を引き起こし、火のついた体の一部らしき何かを撒き散らす。
 リプちゃんが揺れ、魔石に写る景色は海の中へ。
 どうやらリプちゃんは飛んでくるものをよけて海に潜ったらしい。
 海の中には木材や、金属部品が沈んでいるのが見えた。


「やったな! クラーケンを倒したぜ!」
 俺が満面の笑みでみんなの方を振り返ると誰一人として笑ってはいなかった。
「ど、どうしたんだ? 今ので倒れたんだろ? 何でみんなそんな不安そうな顔してるんだ?」


「フレア、クラーケンは生身の生き物だ。あんなに勢いよく燃えるなんてはずがない。しかも倒した後に木材やら金属やら部品のようなものが落ちているなんてありえない話だ」
「つまり……?」
「今のはクラーケンなんかじゃない」
 魔石を見たが、既にそこには外の景色は写っておらず、元の赤い魔石に戻っていた。


「誰が……何のためにあんな物を?」
 バロンが腕を組み、首を傾げる。
「そういえば港町では、クラーケンがいるという噂が立ってましたよね。もしかしたら、誰かがこの先に行かせないようにするために、あの機械仕掛けのクラーケンをここに漂わせておいたんじゃないでしょうか。普通の船ならクラーケンを撃退できるほどの力はなかなかありませんから、まず引き返すでしょうし」
「それじゃ、何だ? 何かこの先に行かれたら困るヤツがいるってのか?」
 俺が聞いたがブランはこれは憶測ですから、と首を振るだけだ。


「だが、ブランの言うことも頷ける。もしかしたら誰かが俺達の行く手を阻もうとしているのかもしれない。……あの魔王一味とかがな」
 ブラストが俺の顔を見た。
 俺は目を瞬くばかりだ。


 そして、みんなが再び押し黙ってしまった時。



 ぐうぅぅぅ、きゅるるるる~


 俺の腹が悲痛な叫びを発した。
 みんなの目線が一斉に俺へと注がれる。
 もう俺は苦笑いを浮かべる他なかった。


>73話へ
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