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Another fantasy ?3?

 僕は後ろからした声に思わず身をこわばらせた。
 その声はさっき涼やかできれいだと表現した声そのまま。
 ただ口調がおかしいと感じた。


 僕はぎこちなく振り返る。
 そこには口を真一文字に結び足を組んだまま腕組みをしてこちらを見据えるエルフの少女の姿。


「はい?」
 僕がこわばった表情のまま首を傾げると
「聞こえてないわけじゃないでしょ?早くきなさいってば。この距離じゃ話しにくいでしょ!」
 さっきとは打って変わって彼女の口調はとても強気だった。


 僕は無意識のうちに軽く首を振っていた、そんな、まさか、僕の理想のエルフ像が音を立てて崩れていく・・・と。
「アンタ、ちょっと何?その顔。・・・やっぱりあんたも理想のエルフ像・・・とかなんかそんな感じのもんを持ってたんでしょ?」
 図星を突かれ、僕の動きは止まった。


「まったく、アンタってわかりやすすぎ。もうちょっと表情抑えたほうがいいんじゃないの?悪いやつに漬け込まれるよ?」
 僕はただ目をしばたたくばかりである。


「あのね、エルフはみんながみんな、おとなしくっておしとやかで、聡明で、きれいで、魔法が得意で、賢くて、スタイルがよくて・・・なんて思ってるのは大間違い!!何?おしとやかって!黙ってニコニコしてるだけなんて耐えらんないっての!いい?あんたが持ってるエルフ像は間違い!ここにいるあたしはあなたの考えているエルフの性格の逆をいくから!そのつもりで!」
 息を荒くしてそう言い彼女は大きく息を吐いた。


「は・・・はい。」
 僕は彼女の迫力に押され情けない返事を返すのみ。


「じゃ、わかったら、早くしてよ、隣でも一個空けてでも好きなところに座ればいいから。」
 彼女はカウンター前のいすを手で示した。


 こんな強気な性格は僕の苦手な人ランキング第一位に入る。
 まずうまくやっていけない、僕はそう思った。
 だが、しかし説明というのを受けなければ話にならないわけで。


 僕は恐る恐る彼女の席から一つ離れたいすへ腰掛けた。
 彼女はそんな僕を見て息を吐くと、さっきより調子を落として話し始めた。
「とりあえずアンタは何も知らないだろうから、ここや私たちについて簡単に説明しようか。あ、その前に自己紹介したほうがいいね。アンタもずっとアンタ呼ばわりじゃいやでしょ?」
「あ、あぁ。」


「あたしはクイット・カルセトル。クイットって呼んでくれればいいから。」
「僕はケイオス・ニル・ウェグナ。・・・僕はケイって呼んでくれればいいよ。」
「そっか、ケイね。そんじゃ、説明に移ろっか。」
 彼女はそこで笑顔を浮かべた。
 う、笑った顔はかわいいのに、性格は僕にとっちゃ最悪だ・・・。
 本当に僕はここでうまくやっていけるのか?


「ここはさ、まぁ見ての通りバーなんだけど。クランというかギルドというか、そういう団体としても活動しているわけね。」
 クランやギルドという団体は人々の様々な依頼を解決したり、町なんかの自治に取り組んだりしているもののことだ・・・たしか。
 僕には縁のない場所だったから詳しくは知らない。


「そんで、夜になればここに町の人とかいろんな人が集まって、いろんな依頼や情報がこの店に集まるってわけ。そんで私たちが依頼とかを解決すんの。」
「それで、ウィルスさんがこの店・・・っていうのか・・・ここのオーナーなわけかな?」
「うん。そーいうことになるかな。まぁあの人はほとんどここにはいないけどね。」
「いない・・・?」
 それじゃウィルスさんは普段何を?


「ウィルスさんについてはほとんどわからないんだ。不意に帰ってきたと思ったら新しい仲間をつれてくるから迎える準備をしてくれ・・・とか、仕事を持ってきて仕事のメンバーを割り振るだけでまたふらりとどこか行っちゃったりとか。」
「それじゃ、さっき出て行ったけど、もうしばらく帰ってこない・・・とか?」
「いや、今はまた新しい人を雇いに行っただけ。まぁウィルスさんについては私よりも他のメンバーに聞いたほうがいいと思うよ?」


 なるほど。
 やはり僕はよくわからない世界に単身突入してしまったようだ。
「ま、そういうわけだから、明日から冒険ね。」
「え?ぼ、冒険?」
「そーよ。まさか店番でもすると思ってたの?それならわざわざ戦士斡旋所には出向かないって。」


 そのまさかだ。
 最初のうちはこの環境になれるためにここで店番でもするのかと思ってた。
「あのね、店番とか、情報や依頼の整理、それから荷物運びとか、簡単な仕事は私たちとは別の人がやってくれるから、私達はまとまった書類の中から自分たちの能力に見合った仕事を選んでそれをこなすわけ。」


 う・・・冒険と聞くとまたトラウマが・・・。
 うまくやれるのか?
 


 僕は・・・。


「どうしたの?あ、やっぱ不安だよね。」
 僕の顔を見て彼女は少し心配そうに言った。


「大丈夫だって、最初は簡単な仕事からやっていくし。私だって偉そうに話してるけど、ここに来てそんなに長くないからさ。」
「う、うん。わかった。大丈夫だから・・・。」
 僕は忍び寄ってこようとした眩暈や頭痛を振り払う。


「んじゃ、いいんだけど。まぁ、とにかく今日からあんたの家はここ。部屋に案内するからさ。今は紹介したくても私以外みんな出かけてるし、しばらくは部屋で休んでれば?」
「そう?それなら・・そうさせてもらうよ。」
 少し今は一人になりたい。
 


 席を立った彼女の後を僕はゆっくりと追った。

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