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Another fantasy ?10?

 耳を劈くようなクイットの絶叫があたりに響き渡った。
 


 万事休す。
 魔法の発動どころじゃない。
 Gたちは一番見たくない足の生え際を見せ付けつつ、こちらに猛スピードで飛んできた。
 


 いっそ意識を手放そうか。
 僕がそう思ったときだった。
 


 目の前を黒い影がよぎる。
 そのスピードや形からして絶対にGではない。
 


 そしてその影がよぎった場所にいたGは気持ちの悪い体液を噴出し、倒れた。
 倒れたやつはしばらくは動いていたがそのうちに息絶え、動かなくなる。
 


 そしてその影は周りのGを一掃し、Gたちの進軍を止めるとふっと僕らの前に姿を見せた。
 だがクイットは目の前に現れたものに気づかず目をつむったままうずくまり、いやいやと首を振っている。


「お、おめぇは・・・。」
 そう、僕らの前に立つのは人種だった。
 だが背中から生えたコウモリの羽のようなものから人間ではないことが伺える。
 ボサボサの黒髪、頬に入った赤い模様、そしてすこし眠たげな赤と青、左右色の違う目。
 首元は布で覆われその布は口元まで隠している。
 モンスターの牙をペンダントのようにして首にぶら下げており、それが彼の神秘性を増していた。
 ところどころ引っかかれたように破れた服にだぶだぶとしたズボンといういでたち。
 服装は現代の若いお洒落な子と同じようだったが、雰囲気はまるで違い、歳は20歳くらいに見えた。
 


 そして彼はぼそりと
「動くな。」
 といい、僕らに背を向けた。
 


 その声を聞きようやくクイットが目の前の人物に気づき、声をかける。
「ビシウス!!」
 だが男は返事を返さない。
 


 何とか立ち上がり駆け寄ろうとしたクイットだが、僕らと彼の間にはいつの間にか見えない壁ができていた。
「魔法障壁・・・。」
 僕がつぶやく。
 


 彼はきっと魔法を発動しようとしているのだろう。
 この部屋全体を包み込むような強大な魔法を。
 僕は彼から自分にはない魔力の渦を感じた。
 きっと彼は何か“特別”だ、そんな気がする。
 ここは邪魔をせず、これからの行方を見守るしかないだろう。
 


 そしてGたちはようやく我に返ったようで、またもバサリと羽を広げた。
 クイットが目を逸らす。
 


 そして男は、長くとがった悪魔のような爪の生えた両手を前へと突き出し、そしてゆっくりと握りこぶしを作った。
 彼の周りに魔力が渦を巻き、風が起こる。
 彼の表情は見えないが、Gの裏側を見ても何のリアクションも示さないところを見ると無表情のままこの動作を行っているのだろう。
 


 そして彼は軽く上を見上げた。
 もう既にGは目の前だ。
 だが彼は全く慌てもしない。
 そしてもう一度顔を前に向けるとかくかくと指を動かし、手を開いた。
 その途端一気に魔力が噴出す。
 


 こうして辺りは赤く染まり、紅蓮の炎に包まれた。
 あまりの眩しさに目を開けていられなくなり目をつむる。
 ごうごうという音が辺りにこだまし、他には何も聞こえない。
 ただ時折悲鳴のような、はたまた断末魔のような声が聞こえた気がした。
 


 そして、終始真っ白だったまぶたの裏が次第に暗くなり始め、そこでゆっくりと目を開けると、辺り一面に黒いこげカスのようなものが落ちていた。
 それはきっと例のGたちの成れの果てだろう。
 


 なんとなく可愛そうな気もしたが、また出てこられたら困る。
 ここは成仏してくださいと祈っておこう。
 


 あとの二人もゆっくりと目を開けた。
「あ、あいつらは・・・もういねーのか・・・」
 リクは大きく息を吐き出すとその場にへたり込んでしまった。
 


 そしてクイットはというとこちらに向き直っていた男に駆け寄る。
「ビシウス!やっぱりついて来てたんだ・・・。」
 クイットはうれしさや不安や悲しさがまぜこぜになったような顔を浮かべた。

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