しばらくしてブラストがこっちを向く。
そしてブラストの口が何か言いたげにパクパクと動いた。
(なんだあいつ!! ムリムリ!)
そう言ったように思えた。
ムリムリのところでは思いっきり手を振っていたので、俺が思ったことは大体合っているだろう。
俺たちは何とかブラストに追いつき、どんなモンスターが待ち構えているのか、建物の影から覗いてみた。
目線の先には奇妙な格好をした髪の長い男に、黒ずくめの少女、そしてフェザー君が立っている!
男はフェザー君と、フェザー君をかばうように立っている、女の子を襲っているように見えた。
男はこちらに背を向けているが、体格からして男だというのはわかる。
そして、奇妙なのはその男の服装、というよりか、服の色合いだった。
男は水色の髪をしているのだが、どういうわけか、真っ赤な上着にオレンジのマントを羽織っている。
色がなんともミスマッチ。
そしてその前に立っている女の子は良く見ると、眼の色がなかった!
真っ白いその眼は真ん中部分だけが黒く、かなり異様だ。
そしてその黒い服などからして、どこか神秘的な印象を受ける。
きっとあの子が占い師のレイという人だろう。
こうして見ている間に、男は何か喋っている。
耳をすませば聞こえそうだ。
「さぁ! 二人とも! 僕についてきてくれ! キミ達に合いたいって人がいるのさ! さぁ早く! この僕の罪な美しさのせいでこれ以上犠牲者を出したくない!」
男はそんな胸糞悪い言葉を発した。
なんだっけこういうヤツ、確かナルシストだったか?
男はまさにそれだ。
顔は見えないが、絶対ろくなヤツじゃねぇ!
きっとこの状況からして、あの男がモンスターだろう。
マントに隠れて足の部分が見えない。
これならゴーストの可能性も十分ある。
「よし、みんな! きっとあいつがモンスターだ! 行くぞ!」
俺が小さい声でそう言って振り返ると、そこには肩を寄せ合って体操座りをしている3人の姿があった。
3人は頭や耳を押さえ、ぶるぶると頭を振っている。
「罪な美しさ……? 犠牲者だと?」
ブラストは頭を抱えてしまった。
ど、どういうことだ。
もしや、さっきの言葉に呪いの呪文が!?
「そんな性格のアンデット? い、嫌!!」
リリスとフラウも同時に俯いてしまう。
「どうした、みんな!? 呪いをかけられたのか!! 許さねぇ!!」
きっとあいつはゴーストか、死にたてぴちぴちゾンビに違いない!
「テメー覚悟しやがれ!」
「フレア! ちょっ、待て! 呪いじゃなくて、そいつの見た目と言葉が……!」
俺が物陰から飛び出すと、後ろからブラストの掠れた苦しそうな声が聞こえた。
待ってろブラスト、今呪いを解いてやるからな!
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