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Another fantasy ? 35 ?

 そして、辺りがひとしきり笑顔に包まれ、火の輪も消えかけたそのときだった。


 何かが大量に始めるような音がし始めたのだ。
 機械に目を向けると、そこにはついにはじけ始めたカッシュの実が。
 はじけたカッシュの実は綺麗な球体の膜を作り容器の中を跳ね回る。
 さっきの火円のように派手さはないけれど引き込まれるような面白みがあった。


 そして実がはじけていくにつれ、今度は容器の赤いふたが小刻みに揺れ始める。


 これもいつものパターン。
 このふたがはじけていく実の勢いに負けて外れそうになるところで、コンロの火が止まり、出来上がる、というのがショーの幕引きだ。
 このふた本当に外れそうで外れない。
 いつもこのふた今度こそ外れるんじゃないかとひやひやさせられる。
 


 でも、何度も見たショーだ。
 今度もなんともなしに終わるだろう、と僕は高をくくっていた。
 


 そうこうしている間にも実ははじけ、もうほとんどはじけ終わっただろうというころ、ふたの調子が危うくなり始める。
 観客たちは固唾を呑んで見守り、カッシュも今はただ黙っていた。
 余計なことを言って、この緊張感を破るわけにはいかないからだ。
 


 そしてついにふたが持ち上がったり下がったりを繰り返し始める。
 こんな狭い場所に閉じ込めるな!出せ!といわんばかりに実は跳ね回り、何とかふたは踏ん張っていた。
 


 だがしかし、僕とカッシュの二人に予想外のことが起こった。
 コンロの火が弱くなりかけ、いつものようにショーが終焉を迎えようとしていたとき、ポーン、という軽い音を立てて、なんとふたが外れてしまったのだ。


 観客、そしてショーの熟練者であるカッシュや僕までもがあんぐりと口をあけて、空を見上げた。
 飛んでいく赤いふたに続けといわんばかりにあふれ出すポップカッシュ。


「み、皆さん!サプライズです!今回はショー開始3周年を記念した特別ショーだったのです!さぁ、皆さん、このささやかなお届け物をお受け取りください!」
 機転を利かせたカッシュの言葉に観客たちはいち早く反応し、服のすそを広げて、降り注ぐお菓子を受け止め始めた。
 僕もローブのすそを広げお菓子を受ける。
 すその長いローブを着ていてよかった!
 それにこれは出したばかりでそんなに汚れてもいないし。
 


 そして最終的に機械には半分ほどのポップカッシュを残し、残る半分は外に飛び出してしまっていた。
 カッシュはというと、観客たちに紙袋を差し出し、拾ったポップカッシュをしまう手伝いをしている。
 


 そして、お菓子をしまい手が自由になった客たちはほかの客のポップカッシュをしまう手伝いを始めた。
 僕がローブのすそをつまみあげたまま誰かにお菓子をどうにかしてもらわないと、とおろおろしていると、カッシュが紙袋を持って近づいてきた。


「ケイ、悪いな、ちょっと俺にも予想外の事が起こっちゃって。それでもこれはビジネスチャンスだ。悪いけど蜜の販売をやってくれないか?ほら、何度か手伝ってくれたことがあるからわかるだろ?」
 カッシュは僕のローブにたまったお菓子を袋に入れながら周りに聞こえないように言った。
 僕はもちろん大きくうなずく。
「そんじゃ、頼むぜ!」


 僕は紙袋片手に店へと走った。
 むき出しのカウンター裏に回ると、肩にかけることができるお盆のようなものに、どっさりと瓶詰めされた蜜がおいてあった。
 僕は瓶を落とさないようになおかつ手早く盆をかけると、紙袋をその場に置いてカッシュたちの元へと戻る。
 後はいつもどおり声をかけるだけだ。


「ポップカッシュにつけて食べてもおいしい、ミルクに溶かしてもとってもおいしい、ウェンデルの蜜はいかが??小瓶30リル、中瓶50リル、大瓶80リルだよ?。」
 すると興味を示した客たちが集まってきた。
「どんな味なの?」
 そんな声が誰かからし、僕は盆の裏の収納口を開いた。
 そこには使い捨ての紙のスプーンが大量に入っている。
 僕はそれをいくつか取り出し集まってきた人たちに配った。


 そして、中くらいの瓶のふたを開け、「一杯だけですよ。」と注意をしつつ瓶を客たちに回す。
 すると周りから、「甘?い!」とか「おいしい!」とか言う声が上がり始めた。
 僕がはただカッシュが作ったものを売っているだけだけど、とても誇らしくうれしい気分になる。


 こうして、蜜は僕の分を残して完売し、お菓子も僕の分を少しのとっておいてもらった上で、すべて売り切れた。
 観客たちに拾ってもらったお菓子はお金を取らなかったので、観客たちは大満足といった様子で去っていく。


 そして僕ら二人はニコニコしながら店へと帰った。

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