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鬼畜と心配性とサポート役 第4章 3話

『大丈夫かい? 生徒会長。』
 机の上に置かれたそれの外見は、特に変わっていない。

 紅謳を除く全員が、驚愕の表情でリモコンを見ていた。


 零斗が思わず怒鳴る。
「普通のWiiリモコンは喋らねぇよ!」
『そんな話をしに、ここへ来た訳じゃないんだよ。』
 すると、まるで笑っているかのような声音で、Wiiリモコンは滑らかに喋り出す。


『初めまして。ぼくは、君達が校長と呼んでいる存在だ。面倒な依頼の処理はいつも見ているよ。黒 紫園さん、麻薬事件処理のお礼のカニ、君のマンションに届いたかな?』
 そこで、やっと零斗は、生徒会ノートの「やっほー☆」というふざけたペンネームを使った人物に思い当たった。

 何と、あのノートには校長の言葉まで書かれていたのだ。

 学校の集会にさえ顔を出さない校長が、何故。


「あ…ありがとうございます。」
 改めて、黒は礼を述べた。
『いいって。焼くなり煮るなり、好きにしてね。なんたって本場の――――ああ、失敬、話がずれたね。』
 申し訳なさそうに、しかし小さく舌を覗かせたような、人を食った響きの声。

 もしかしたら、伊家より苦手な人格かもしれない。


『今回の依頼人は、速瀬 早也君だ。説明は彼からしてもらおうね。』
 ぐるり、と帝の気だるげな視線が向く。
『そこの副生徒会長、「何でこんな奴の…っていうかこいつ誰だ」―――なーんて思わないこと。』
「っ!?」
 背もたれから跳ね起き、帝はWiiリモコンを睨みつけた。


「てめぇ…。」
『おお、怖い怖い。―――じゃ、よろしく。』
「はい。」
 


 そして、早也が立ち上がる。

 最初に告げた言葉は、たった一つだった。


「僕の、妹を探してください。」




「なんだそりゃ。」
 零斗の口から漏れたのは、そんな言葉だった。

 白も若干拍子抜けしたようだが、紅謳の顔にはどこか緊張した表情が読み取れる。
 すでに蒼白となった早也の唇は、蒼ざめていた。


「僕の妹は、父方の足が速い能力と、母方の植物を操る能力を持っています。」
「2重能力者?」
 帝は緩やかに瞬く。

 


 2重能力者とは、読んで字の如く、2つの能力を持つ能力者の事を指している。

 能力者同士が結婚したとしても、滅多に見られない現象だ。


「はい。…昨日の晩、“植物の声がどうとか”って話題で、僕がそれを嘘って言ってしまって、思わず大喧嘩に…。」
「家出したの?」
 黒がその先を急く。

 早也はゆっくりと頷いた。


「この島では重要人物として扱われている妹です…。そうじゃなくても大切な……けど…脱獄した凶悪犯がいると聞いていたら…どうしようもなくて……。」
 早也の声が泣きそうになり、白がその襟首を掴んで無理矢理座らせる。

 その頭を押さえたまま、悪態を吐いた。
「ああ泣くんじゃねぇよ! ったく! …で、どうするんだ、生徒会!」
 何だかんだ言いながら面倒見がいい白が、早也の代わりに零斗を見た。



 3人は顔を見合わせる。

 これから「でりしゃす」へと向かわなければならないが、まさか三人全員がこの仕事に回るわけにはいかない。
 


 手を上げたのは、黒だった。
「私が担当するわ。面倒見が良さそうだから、白 獅凰は早也君について。2人は岩陰先生のところに。」
「…大丈夫か?」
 帝が彼女を見る。

 黒は微笑んだまま頷いた。
「平気よ。子供なら、私も妹がいたから。」


「…。」
 その言葉に、更に帝は彼らしくない複雑な表情を浮かべた。

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