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鬼畜と心配性とサポート役 第4章 25話

「――――今日未明、謎の能力者が未開発の森から逃走。外見は白い服に、赤い長髪。主に風使いの能力を持っていると思われる。能力を消す薬をばら撒いていた人物だと思われる。伊家はこの人物に、劇薬『CHAPPU5963』を気付かぬ間、あるいは飲んだ後にその記憶を消された模様。」
 そして帝に差し出したのは、シャーレに入れられた白色不透明の液体と、箇条書きに記された文章。


「それが、伊家の様子及び血液から判別した『CHAPPU5963』の効能だ。中毒性が現れるが、それは一時期に過ぎない。中毒性が切れたころに顔色悪化、それを放っておけば猫となる作用を持っている。猫になっている間、能力は使役できない。」
「…現在のこいつか。」
 帝は伊家猫を見下ろす。

 だから能力が使えなければ、形勢逆転が狙えないと。


 しかし、恐ろしい薬だ。

 名前に何かが隠されているような気がするが、気にしている暇は無い。


「そしてこれが、『CHAPPU5963』の解毒薬。名称を、『O?KA4』という。」
 紅謳が折り畳まれた紙と、それから透明な液体を入れた試験管をポケットから取り出す。

 とりあえず帝は紙と試験管両方を受け取り、紙を開いて見る。

 先ほどの説明書と同じような文面が並んでいた。
 紅謳が説明する。


「『O?KA4』は極めて優秀な解毒薬だ。『CHAPPU5963』以外の毒、そして麻薬中毒の治療に劇的な効果をもたらすことが、校長の実験で判明した。」
「校長だけで実験したのか? 国は?」
 零斗が身を乗り出すが、背筋が凍るような視線を投げられた。


「国に渡せば、それこそ薬物兵器にでも転換されるだろう。どこから流出するか分からないから、校長だけで実験した。」
「…どういう人間だよ。」
 帝がまともな意見を述べながら、紙面に目を走らせる。

 そして唐突に眉根が寄せられた。

 何を見ているのか分かっているらしく、紅謳は無表情で告げる。


「ただ、『O?KA4』にはある重大な欠点がある。―――吐き気がするほど甘い。」


「何だそりゃ。」
 白が思わず脱力した。

 早也も留美も「はあ?」と言わんばかりに顎を落としている。

 気を取り直し、早也が問うた。


「でも、麻薬中毒者は味覚が狂うって…。」
「それすら意味がない。」
 無表情でそう語る紅謳の口調は、やけに強い。


 試してみようと言わんばかりに帝が親指でコルク栓を弾き飛ばした。

 コルク栓が壁に兆弾して床に落ちる。

 そして黒に紙を渡した。
 


 はたして、どれだけ甘いのだろうか。
 紅謳以外の皆が唾を飲み込んで、帝を見つめる。


 注目されている彼といえば、まるで新しいものを見る小鳥のように数回瞬いてから、傍にいた早也に、もう片方の手を出した。

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