スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Another fantasy ? 57 ?

 民家の間の広場にその古井戸はあった。
 意外とその井戸は大きく、4人一気に下りて行っても余裕があるくらい幅が広い。
 

 

 まず僕たちは恐る恐る井戸の中を覗いて見ることにする。
 中は真っ暗。
 何も見えない。


「な?んも見えねぇな。」
 リクが困ったようにつぶやく。
 僕らもうんとうなずくほかなかった。


「そんじゃ、ま、下りてみっか。」
 と、リクは腰に止めていた楔付きロープと、ポーチのような小さなかばんからトンカチを取り出す。


「え、もう行くの?!」
 僕が顔を引きつらせながら言うと、リクは冷たい目で僕を見た。
「たりめーだ。俺たちゃ捜査にきたんだかんな?それなのに井戸の中覗いて終わりってわけにゃいかねーだろ?これは冒険ごっこじゃなく仕事なんだ。」
 リクはそう言いながら地面に楔を打ち込み、ロープがしっかりと固定されたのを確認してからロープの先を井戸に投げ入れる。


「ま、先に俺が行ってみっから。おめーらはそこで待っとけ。な?に、ちょっと見たらすぐ帰ってくる。」
「・・・一人で大丈夫か?」
 そんなリクにブレイズが心配そうに声をかける。


「あん?俺を誰だと思ってんだ。逃げ足ぴかいちリク様だぜ?大丈夫だって。」
「でも・・・。」
 今度はシーがリクを引きとめようとする。


「だぁら、大丈夫だっつってんだろ?まだ例のうめき声とやらも聞こえてねーし。それにロープだってちゃんと底までもってるかわかんねーんだから、ここは一人で行ったほうが行動しやすいってもんだ。」
 そう言うとリクはロープをつかみ、ひらりと井戸に飛び込んだ。
 あわてて僕らが穴を覗き込むと、すべるように井戸の中を下りていくリクの姿が見える。
 しかし、その姿もすぐに暗闇へと飲まれ消えてしまった。


「行っちゃった・・・。」
 シーが心配そうな顔をしてつぶやく。
 この井戸がどのくらいの深さかわからないけど、底が見えないということはそれなりに深いのだろう。


 確かリクの話によると夜になったらこの井戸から何者かの叫び声やうめき声のようなものが聞こえるって言うじゃないか。
 いったい何がいるっていうんだろう?
 もしかしたらどこからか流れついた死体に魔力が蓄積してゾンビやスケルトンなんかのアンデッドモンスターに変化して、この井戸の底をさまよっているんじゃなかろうか!
 僕がそんな恐ろしい想像を膨らましているときだった。


「ぬあああぁぁぁぁぁ!!」
 という叫び声。
 その声は
「リク?!」
 僕ら3人は同時に顔を見合わせた。


 シーもブレイズも、顔が青い。
 きっと僕も相当悪い顔色をしているだろう。


「リク!!聞こえるか?!」
 ブレイズが瞬時に身を翻し、井戸の中へ向かって叫ぶ。
 しかし井戸の中にブレイズの声が反響していくのが聞こえるだけで返事は聞こえない。
 さっきの悲鳴が聞こえたっきり、井戸の中はまたさっきのようにしんと静まり返っていた。


「・・・行ってくる。」
 一体どうすればいいのかと僕がパニックに陥りかけているとき、ぼそりとブレイズが言った。
「え・・・?」
 僕、そしてシーがブレイズの顔を見上げる。


「俺が行くしかないだろ、一番の年長だからな。それにきっと、お前たち俺のほうが身軽だ。」
 僕らを見下ろしながら彼は言った。
「でも、また何かあったら?」
「そんときゃ、二人で助けに来てくれ。」
 シーが聞くと、ブレイズはにかっと笑みを見せ、井戸へと飛び込む。


「ブレイズ!」
「大丈夫だって!もしかしたら穴に足突っ込んだだけかもしれねーし!ちょっと見に行ってくるだけだって・・・!」
 だって・・・だって・・・とブレイズの声が反響し、彼の姿は井戸の中へと消えてしまった。
 顔を見合わせる僕とシー。
 シーは目に涙を浮かべ、口もへの字。


 まさかいきなりこんなことになるなんて。
 ブレイズが言ったみたいに穴に足がはまったくらいですんでいればいいんだけど。
 僕はどんどん悪いことを想像してしまい、あわてて首を振った。
 大丈夫、きっと大丈夫だ。
 二人とも強いんだから。
 いや、リクはどうなのか知らないけど、ブレイズは大会で優勝するくらい強いんだから、きっとすぐに二人で戻ってくるよ。


 シーにも今僕が考えたことを伝え、何とかなだめる。
 するとシーはこくりとうなずき、何とか涙は止まった。
 ただ、シーの口がへの字なのはまだ変わらない。
 やっぱりこういう顔を見るとシーも子供なんだなって思う。


 もし二人が帰ってこなかったら、僕が彼を守ってあげないといけない。
 いや、たぶん井戸の外までリクの悲鳴の現況は出てこないとは思うけど、万が一ってことだってある。


 僕は何が起こってもいいように身構えた。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yamattulann

Author:yamattulann
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。