スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Another fantasy ? 58 ?

 ずいぶんと長い間待った気がする。
 しかし、いくら待っても二人が帰ってくる様子はなかった。
 物音すらしない。
 不安げに僕を見上げるシーの目を見ることができなかった。


 これは本格的に危ないんじゃないか?
 今度は僕が穴の中に行かないといけないんじゃないか?


 でもブレイズでも適わないような相手にひ弱な僕みたいなのが対抗できるのか?
 いろんな考えが僕の頭の中を回る。


(だぁー!!ウジウジウジウジウジウジウジウジ・・・いい加減にしなさいよぉっ!)
「わぁぁっ?!」
「ふえぇっ?!」
 いきなり頭の中に響いた言葉に驚いて思わず声を上げてしまう僕。
 そしてそんな僕に驚くシー。


 そういえばシーには僕の中に天使や悪魔がいるって話はしてなかったっけ。
「あのね、シー。僕の中には・・・」
「天使と悪魔がいるんでしょ?ブレイズとキトンから聞いた。」
 僕が言う前にシーはすらすらと言ってのけた。
 きっと僕がシーに会う前にブレイズたちが話しておいてくれたんだな・・・。


「う、うん、そうなんだよ。それで、今急に話しかけてきたもんだからつい声が出ちゃってさ。」
「ふ?ん。」
 僕が言うとシーは無表情でうなずいた。


 ・・・シーは天使と悪魔がいるなんてことを信じていないから表情がないのだろうか、それとも今のことで不安を忘れられたから一時的に表情がないのだろうか。
 わからない。


(ちょっと!無視すんじゃない!)
 おっと、返事返すの忘れてた。
(まぁ、まぁ・・・そう怒らずに。)
 いらいらと何か怒鳴るバリアをなだめるキルアの声がする。


(ちょっとケイ!ウジウジしてないで、早く井戸の中はいりなさいよ!考えてたって仕方ないでしょ!)
(そんなこと言ったって・・・。中で何が待ってるか・・・)
(うるっさい!行くったら行く!この中には何か不穏な魔力を感じる!)
(いや、それじゃ、余計行きたくな・・・)
(行くの!!)
 僕は話を聞かないわがまま天使の言い分に思わずため息をついた。


「どしたの?」
 不思議そうに僕を見ながらシーが聞いた。
「あ、いや、天使がいろいろとうるさいんだ。」
(うるさいって何よ!)
「うへ・・・。」
 間髪入れず天使の声が頭の中に響く。


「あぁ、例の天使ね。」
 そんな僕の反応を見てふんふんとうなずくシー。
 いったいシーはブレイズたちからどれくらい詳しく話を聞いたんだろう?
 もしかしたら天使がクイットにしたことから何から全部聞いているのかもしれない。


「それで・・・天使はなんて言ってるの?」
「えっと、早く行け!って言ってる。なんか不穏な魔力を感じるんだとさ。」
 僕がそう言うとシーは何も言わず軽く何度かうなずいた。
 こういう仕草をしているところを見るとシーって急に子供っぽくなくなる。
 何というか一流の魔導師みたいな。
 まぁ、召喚術の腕は一流みたいだから、あながち間違いじゃないのかもしれないけど。


(ふん。ケイより、この子の方が物分かりがいいかもしれないね。)
 シーの様子を見ていると、バリアが鼻を鳴らすような音を立ててからそう言った。
 まったくもって天使にあるまじき性格だ。


「よし、決めた!!」
 僕がもう一度ため息をつきそうになったところで不意にシーが声を上げた。
 僕は口から出かけたため息を飲み込む。


「行こう!ケイ!冒険だ!」
「え・・・それ本気?」
 さっきまで口をへの字にしていたのが嘘のようだ。
 シーは元気を取り戻したように、強い光が宿った目で僕を見上げている。
 僕はまたその目を直視できない。
 この場から一番逃げたいと思っているのは僕のようだ。
 ただ逃げてもどうにもならない。
 逆にひどい結果が出ることはわかっていた。


「本気も本気!大本気!早く行こう!二人を助けにさ!」
 ぐっと両手で握りこぶしを作るシー。
 僕はちらりとシーの顔を見た。
 ばっちりと合う視線。
 もう後戻りはできなくなってしまった。


「じゃぁ、僕から先に行くから、後ろ頼むよ!ケイ!」

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yamattulann

Author:yamattulann
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。