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もうひとつの幻想 9

「えー!ユッキーその形は崩しちゃダメだからね!」
 私が精霊に形を変えるよう言ったのを伝えると、ハーブが思い切り文句をつけた。
 そんなハーブの文句を聞いて、精霊は少し困ったような顔を浮かべた。


 確かにこんなことを言われれば精霊なら普通困る。
 なぜなら普通の精霊は個体を一つ持つことしかできないからだ。
 といっても強い魔力の精霊使いの元にいる精霊はいくつ物形を持つことができるのだが、私はそこまでの力はまだない。
 


 しかし、私が顰めっ面を浮かべているのに対し、精霊はすぐに何か閃いたような笑顔を形作った。
 どうやら私の命令も、ハーブの言うことも両方とも受け入れることの出来る方法を思いついたようだ。
 


 精霊はくるくるとした丸い目を棒のようにし、目をつぶって何か力を込めるような表情とポーズをした。
 するとさっきと同じように海面の一角が凍り始める。
 


 そして再び海面から飛び出した2つの氷は人の手の形をしていた。
「おぉー!」
 ハーブが感嘆の声を上げると精霊はインクの顔を嬉しそうにほころばせた。
 


 そして私はというと素直に驚いていた。
 さっきも言ったが精霊というのは個体を普通一つしかもてない。
 しかし今は目の前に雪ダルマと人間の手の形をした氷、しかも両手そろったものがふわふわと浮いている。
 


 これはつまり私の魔力が上がっているという証拠であった。
 それと精霊との絆が深まっているという証拠でもある。
 


 これまで冒険ではそれなりに戦闘を経験し、魔法を使ってきたけれど、こうして成長した証をはっきりと確認できるというのはとても嬉しいことなのだと実感した。


「ねぇ!ルビー!それでこれからどうするの?」
 私が一人感激していると、ハーブがのんびりとした声で聞いてきた。
 見ると、ハーブと人魚、そしてグルーモの目が私のほうをじっと見ている。


 そうであった。
 今は喜びに浸っている場合ではなく、目の前の人魚が一体何を訴えているのか知るべく、行動しなくてはならない!


 私は精霊に次なる指示を出す。
「イネ ヌヲギャゴウッツウリカテン キリヤイヌ ヘワヨケサトヘスア」
 私は少し噛みそうになりながらも人魚の言葉を翻訳して欲しいことを呪文に使う言語で伝える。


 すると精霊は何か使命感に燃えるようなきりっとした顔を浮かべ、人魚の元へと向かった。
 手の方は私の横に残り、メモ帳とペンを構える。


 ハーブはやってきた精霊をにこやかな笑顔で迎えながら静かに成り行きを見守った。
 精霊は何でも話してくれとでも言うように手をちょこちょこと動かす。


 人魚はと言うと少し思案するような困ったような表情を浮かべたがすぐに口を開いた。

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