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もうひとつの幻想 10

「ワナチホソホガザアサイヤツサ?」
 彼女、人魚は相変わらず何やら分かり辛い言葉を話す。
 
それを聞いた精霊は、少し意味を確かめるような間を空けはしたが、ふんふんとうなずいた。
 
そして氷でできた手が素早く動き、メモ帳に何か書く。
 


 メモ帳には、コトバ、ワカル、?と記された。
 


 どうやら私の精霊は日夜私たちが使う文字や言葉について勉強中らしい。
 私が精霊を初めて呼び出したときは私たちの使う文字を書くどころか、単語一つとして意味を知らなかった。
 いつどのようにして勉強をするのか、いつから何を知っているのか、謎の多い精霊ではあったが、一生懸命勉強に励む雪だるまの姿はなんだかとても微笑ましい。
 


 私が一人にこにことしていると、人魚と精霊の次なる会話が始まった。
 どうもさっき人魚はメモ帳に記された言葉から察するに、精霊に自分の言葉が分かるか確かめたようだ。
 その言葉に精霊は頷き、こうしてメモに書かれた言葉を見ると、精霊はうまいことその言葉を知っており、翻訳もできる。
 これは思ったよりうまくことが運びそうだ。


「サキネキヒボクスヌザカウホマチッネキヤツロヘ?」
 人魚がよどみなく言う言葉に対し精霊はまた少し間を空けた後うんうんと頷いた。
 そしてすぐさま氷の手が動き始めさらさらと文字を描く。
 カイテイ、ドウクツ、アル、シッテル、?と書かれた。
 これを繋げると海底洞窟があるのを知っているか?と私たちに聞いているととらえるべきだろうか。


 私が少し首を捻っていると、人魚がなんと言ったのか気になったらしいハーブが、グルーモの上へと上がってきた。
「何?今なんて?」
 ハーブは私の横に浮かぶ氷の手が持つメモ帳をのぞき込む。


「海底洞窟があるのを知ってるか?と私たちに聞いてきて、ユッキーが知っていると頷き返した・・・、そう考えるべきかな?」
 どうやらハーブと私が考えていたことは同じようである。


 ふと海の方を見ると話を続けて良いものか困った表情をしてこちらを見ている精霊と人魚の顔があった。
「あ、続けて、続けて!」
 ハーブが私たちの使う言葉をそのまま使い、何やらよく分からない身振り手振りで慌てたように動く。
 一瞬海の二人(?)は怪訝そうな表情を浮かべたが、私が少し神妙な顔で頷くと、話を続けてほしいというのが伝わったようで、頷き返してくれた。


 それを見てハーブは少し肩をすくめ妙な動きを止める。
 肩をすくめたいのはこっちの方だ。
 もう少しジェスチャーというものをハーブは練習した方がいい。
 あんな妙な動きでハーブの言いたいことを把握できるような奴は一人を除きいないだろう。


「トホサキネキボクスヌヒ、チガワスヤケサワムコンハスクシザナバロッネキヲンベツ。」
 そして人魚は聞き取りにくい単語を並べそういい、精霊も何とか翻訳した。
 そして翻訳した文を書き記している手の動きが止まる前に人魚は続きを話し始める。
 どうも言いたいことをすべて説明するにはどうも短い会話だけでは不可能のようだ。


 私たちは精霊と人魚の会話自体には耳を貸さず、翻訳された文にのみ意識を集中した。
 ただ一人会話も分からないし、文も見ることのできないグルーモが暇そうだったが、グルーモのことを気にかけている余裕は私たちにはない。


 どんどんと書かれていく単語をどうにか繋ぎ合わせ、私たちは人魚の言うことを理解するのに躍起になった。

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