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もうひとつの幻想 12

 私の言った人魚への質問を精霊が聞き、メモ帳に何やら不可解な文字を書き始めた。


「すごい!字も書けるんだね!!」
 その様子をのぞき込み、ハーブが感嘆の声を上げる。
 私も表面上は平静を装っていたけど、内心とても驚いていた。 


 ふつうの精霊がここまで言語能力を持っているものだろうか。
 まだ精霊についてわからないことが多いので、なぜそんなにも多くの言語の知識があり、いつ身につけたのかわからない。
 今度また時間があるときに精霊に関する研究を再開しよう。
 私が一人精霊について考えている間、すでに氷の手は人魚たちの間に下り、こちらに戻ってくるところだった。


 ずっと成り行きを見守っていたのであろうハーブが真っ先に手へと駆け寄る。
 私も手へと地下より、それが持ったメモ帳をのぞき込んだ。
 そこには1、シュウ、マエと書かれている。
 つまり一週間マエから不穏な空気がし始めたということなのだろう。


 一週間前と言えば、グルーモがさっき言っていたけど丁度潜水艦が洞窟を発見した日だ!
「ねぇ、ルビーその日って・・・!」
 ハーブも気づいたようで驚いた顔で私を見た。
「うん。その日は洞窟が見つかった日だ」
 私は深くうなずいた。


 これは面倒だ。
 洞窟が発見されたのが先か、それとも・・・。


 いや、待てよ。
 もしかしたらその不穏な空気の正体とはモンスター、またはそのモンスターが不穏な空気の原因をおいていったのではないか。
 その不穏な空気というのはアンデッドモンスターが身にまとっている、負の魔力なのではないか。
 相手がモンスターなら政府の賞金なんて気にしないのも当然だ。
 こうなるといったいその洞窟の中に何がいるのか俄然気になってきた。


「ねぇ、洞窟に行って見ようよ!中に何がいるんだろう?」
 ハーブが言った。
 私も中に入ってみたいのは山々だ。
 しかしさっきも考えたけれど、新ダンジョン発見申請を出したということは、洞窟入り口には侵入者を監視する魔法なり、魔法による壁が作られているに違いない。
 要するに申請を出した本人に許可を出してもらい魔法を解いてもらわない限りは、中に入れないのだ。

 私のしかめっ面を見て、ハーブも思い出したように思い詰めた顔をした。
 二人そろって深刻な表情をしているので、人魚も不安げな表情を浮かべる。
 そんな彼女の表情を見て、このまま彼女を放っておくのもためらわれた。
 もしかしたらその不穏な空気というのは海の中だけにとどまらずに、私たちの町へもその驚異は広がってくるかもしれない。


「相談してみよう」
「え?」
 私が言うとハーブはただ素直な驚きの表情だけを浮かべた。


 事情を説明すれば、洞窟の発見者も洞窟への立ち入りを許可してくれるかもしれない。
 私はそのことをハーブにも伝える。
「そうだね!相談すれば洞窟に入る権利を譲ってくれるかもしれない!」


 ただその権利というのは価値が人によって大きく違う。
 潜水邸を作ってまでして海底を調査しているということはかなり研究熱心な学者さんといったところだろう。
 これが冒険者なら冒険氏がしたかっただけだから、という理由で権利を簡単に渡してくれるようなものだけれど、研究者となると面倒だ。


「とにかく、急いで戻ろう!」
 ハーブが言い、せかせかと足踏みをする。
 とりあえず私は人魚にまた来ると伝えるように精霊に命じた。

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