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もうひとつの幻想 15

 少しの間を空けフローラの口から出た人物の名は
「ユウナリア・サウウェスト」
 有名な学者の名前だった。


 さらに彼女はここラムザのオーナー、ウィルス・ラムゼリアの右腕として活動している男、ミクル・サウウェストの妻である。
「ユ・・・ユナさん?」
 ハーブが少し上擦った声を出した。


 私達はこの店の古株である。
 だからウィルスとはかなり長い付き合いになるし、実際に会ったことはなくても彼の周りを取り巻く人物についても名前くらいは全員知っている。


 ただその人たちは話によると全員変わり者だという話で、その中でミクルは一番良識のある人物だった。
 誠実で真面目な性格のとてもいい人だ。


 しかし、たくさんの魔法を一気に使うため、常にたくさんの装飾品を身につけ、何枚ものローブを重ね着し、えらい服装のため、見た目は完全なる不審者であった。
 そのため女性と付き合うなんてことは皆無、むさ苦しい冒険者たちに囲まれる生活を送っていたのだらしい。
 


 けれど、このラムザができたころ、そんな彼にも転機が訪れ運命の女性と結婚。
 その結婚相手がユナさんことユウナリアだったのだ。
 彼女はかなり気の強い性格で、すでにミクルは完全に尻にしかれている。
 ただ幸せそうではあった。


「ミクル元気かなぁ。」
 彼は一応私たちより年上なのだが、呼び捨てで呼んでいる。
 魔法の腕はぴかいちなのだが、どうもいつも腰が引け気味なのだ。
 でも、今頃はきっとウィルスたちとどこか辺境を冒険していることだろう。


「あ、そんで、そのユナさんが・・・依頼者なわけ?」
 私達は何度かユナさんの姿を見る機会があった。
 ただこの店に来ることはなく、たまたま外で見かけたりとか、何かのパーティーに招待されたときに少し見ただけ。
 今まで一度も話したことはない。
 なので向こうは私達のことを知らないだろう。


 しかし私達はミクルから何度も話を聞いていたのでかなり詳しいことまで知っている。
 そして、かなり気むずかしく、面倒な性格で、研究一筋だということも。
 彼女はモンスターやら魔法やらダンジョンについてやら、服装などにより受けられる恩恵についてやら、幅広く研究しており、その手の研究の成果は世界規模で活用されるようなすごい人だ。
 彼女と精霊魔法についてお互い意見を交わし合うのは大歓迎だったが、新ダンジョン探索の権利を譲ってもらうのは至難の業だと思えた。


 青ざめる私達をみて、フローラが困ったような顔をした。
「大丈夫ですか?顔色が悪いですけど・・・」
「あ、いや、なんでもない。ユウナリアさんの家ならわかるから、行ってくる。」


 パーティーなどで何度かミクルの家には入ったことがある。
 彼女はミクルの家に新たに研究施設を建設し、そこで日夜研究に励んでいるのだ。
 今もきっとその施設で研究に打ち込んでいるに違いない。


「行ってらっしゃい!えっと、帰ってきたら、できれば話し聞かせてください」
 出口に向かっていく私達に向かってフローラが声をかけてくれた。
 ハーブは振り返って手を振っている。
 私も少し振り返り、軽く手を振ると、ラムザを後にした。

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