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もうひとつの幻想 16

「なるほど。新ダンジョン探索の権利を譲ってほしいと。」


 私達の前には赤いセルフレームのメガネをかけた理知的な女性が座っている。
 私達はミクルの家もとい、ユナさんの家を訪れ、応接室らしきところに案内された。


 しばらくして現れたのが何度も姿と様子だけは見聞きしたユナさんである。
 彼女は真っ白なローブのような、白衣のようなどっちともつかない不思議な服を身にまとい、耳にはワンポイントに赤い宝石のついたイヤリングをしているのが印象的だ。


「人魚の話といい、不穏な空気といいとても興味深いし、確かに気になる話ね。」
「それで、その捜査に行きたいん・・・」
「かといってその話が本当の話だとは限らないわ」
「え・・・」
 ハーブの言葉を遮り、彼女は冷たく言い放った。
 ハーブの動きが止まる。


 まぁ、確かにいきなり人魚だの何だのと言う話を出してもなかなか信じてはもらえないだろう。
 しかし、それが事実なのだから信じてもらうほかない。


「本当かどうかも分からない話をする人に権利を譲る気はないわ。それに、今私は壊れた潜水艦の修理でいろいろと忙しいのよ。」
「しかし、このまま放っておけば何が起こるかわからないんです。私達が捜査に行かなくてもいい、信頼の置ける人に頼んで、洞窟を捜査してください!」


 ここは誠実に気持ちをそのまま訴えるほかない。
 私は頭を下げた。
 ハーブもあわてて頭を下げる。
 気持ちに訴えるしか私達に手はない。
 私達には奥の手とか何か強みがあるわけではないのだから。


「もちろん、あなたたちが嘘を言っている可能性もあるわ。でも」
 でも?
 私とハーブはそろって顔を上げた。


「あなたたちが本当のことを言っている可能性もある。そうでしょ?」
 私ははい、とも、いいえ、とも言えなかった。
 私が何も言えずにいると、再び彼女から口を開く。


「世の中まだ解明されていないことがほとんどなの。世界に散らばる謎を解く鍵っていうのは、ほんの些細なことでもあるし、何人もの命を犠牲にしないと手に入らないようなものもある。そして鍵はつかむまでその姿形も用途も何もわからない。つかんでもまだそのときは使い道がわからないこともあるそうでしょ?」
 今度の質問には私は少しうなずいた。
 何かわかるような気がしたから。


 ただハーブは目線が宙をさまよっていて、視点が定まってない。
 どうもいまいち理解できなかったようだ。
「・・・そっちの黄緑の子には少し難しかったかしら?」
 ユナさんは軽く鼻を鳴らすと、右手の人差し指をたてた。


「どうせ私はしばらく調査に行けない身だから、条件を飲んでくれれば、洞窟に立ち入る許可をあげる。」 「本当ですか!」
 今度は私もハーブもそろって声を上げた。


「そう。でもあくまで立ち入るだけの許可だからね。宝を見つけても取っちゃだめ。モンスターに襲われてもあなたたちが死にそうにでもならない限り攻撃したらだめ。ものを傷つけたり壁を壊したり地面を掘ってもだめだから。」
「わ、わかりましたよぉ!それで、条件って何ですか?」

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