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もうひとつの幻想 20

 というわけで私達は一端ラムザへと戻ることにした。
 私は水と氷の精霊使い、ハーブは補助魔法メインの魔法使い。
 これで例のモンスターと戦うにはかなり分が悪かった。
 だから誰か応援を呼びに来たのだ。
 


 誰か一人くらいは店に冒険者グループのメンバーが残っているはず。
 というか、一人は絶対にいるはずだ。
 そいつは私達と冒険に行っていて帰って来たばかり。
 まだ部屋で寝ている事だろう。


「ただいまー!」
 海から帰ってきた時と同じく、ハーブは威勢良く扉を開けた。
「あら?お二人とも早いですね。もう用事は終わったのですか?」
 カウンターには相変わらずグラスを磨いているフローラの姿。
 彼女はきょとんとした顔でこちらを見ている。
 


 そしてもう一つフローラとそっくりな顔がこちらを見ていた。
「フロート!起きてたんだ、珍しい事もあるもんだね!」
「んだよ、ハーブ!そりゃ、あたしだって腹が減ったら目も覚めるよ!」
 


 カウンターに座って黙々と炒めご飯を頬張っているのは、私の同僚フロート・キャーリット。
 フローラの双子の姉である。
 口と寝覚めが悪く大食らいで有名だ。


「やっぱ、米よねぇ!」
 さっきまでハーブを睨みつけていたかと思うと、彼女は既に目前の大盛りのご飯に視線を戻していた。       

 彼女は食べた分運動をしているので、太るという事を知らない。
 彼女は頭はそこまでよろしくなく、太るという事は病気だと思っている節があった。
 


 彼女こそつい先日まで私達と一緒に冒険していた人物である。
 スカッシー掃除に使えそうなメンバーが少なくとも一人はいた事に私はほっと一息ついた。
 フロートの横に腰掛けると、彼女は黙々と食べながらちらりとこちらを見た。


「なんか慌ててたらしいけど、どうした?なんか面白そうな事でも?」
「あぁ。ちょっと手伝ってほしい事があるんだ」
 フロートの言う面白いとは、運動するという事だ。
 これはモンスターを退治するのにも当てはまる。


「それって、食後の運動になる?」
「なる」
「んじゃ、行く」
 これで話は決まりだ。
 こいつはあまりものを深く考えない。
 それが欠点でもあるがこういうときは話が早く、長所と言えるだろう。


「それで二人は昼食まだじゃないんですか?これから何かするのなら、何かお腹に入れておいた方がいいですよ?」
 確かにフローラの言う通り、さっきまですっかりと忘れていたが、お腹が空いた。
 冒険者にとって食べられるうちに食べるという事は基本中の基本である。
 冒険に夢中になり食事を怠るようでは、良い冒険者とは言えない。


 ちらりとハーブが私を見た。
 彼女はお腹をさすり、あからさまな腹減ったアピールをしている。


「・・・そうだね。何かすぐ食べられるものを」
「了解です」


 私は賢い道を選択した。
 決してハーブの腹減ったアピールに屈服したわけではない。
 しかしハーブは価値誇ったような笑みを浮かべて、むふんと鼻を鳴らした。
 別に私は空腹に負けたわけではない!


 フローラはそんな私とハーブを見て、にこりと笑って頷くと厨房へと姿を消した。

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