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好きなもんは早めに食べた方がいいよね

(文芸部で”さよなら”、”懐中電灯”、”乾燥機”というお題で書いた掌編2つ目です、かなり短め)


「腹減った!」
 私は掛け声のように大声を出すと、勢いに任せて、戸棚を開けた。
 しかし私の目の前にあったのは食料ではなく、ただ懐中電灯が1本転がっているだけだ。
「くそぅ、あたいのおやつはどこじゃぁ!!」
 私は振り返り、何となく懐中電灯のスイッチを入れてみる。
 懐中電灯の光の先には何事かと見に来た猫の姿があっただけで、猫は私が声を出したと同時に、驚いて走り去ってしまった。
 私は溜息をつき、懐中電灯を元の場所に戻す。
 なぜ、こうも必死で私がおやつを探しているかというと、腹が減った時のために大事にとっておいたチョコレート菓子がなくなっていたからである。
 そのお菓子は本当にお腹が空いたときに食べるため、家族公認のお菓子置き場にずっととっておいた。
 家族みんなそれが私のお菓子だと知っていたので手を出すことはないはず。
 お父さんは今仕事、お姉ちゃんだって遅くまで部活があるし、お母さんは買い物に行ってまだ帰って来ていない。
 私は今世紀最大の空腹に襲われているというのに、家に誰もいないとは!
 冷蔵庫を覗いても特にめぼしい物は入ってないし、お菓子置き場をくまなく探したけど何もない。
 レンジの中、コンロの上、戸棚の中、ダイニングテーブルの上、机の引き出しの中、炊飯ジャー、床、食器棚、乾燥機、ポット、布巾の下、水筒、コップの中、弁当箱、至る所を覗いたけれど、食べれそうな物はなかった。
 見つけたのは、猫の餌とナメクジの子供くらい。
 ろくな物がなかった。
 そして途方に暮れたとき、玄関の開く音が。
 救世主!と駆け出すと、帰ってきたのはお母さん。
「ねぇ!私のおやつ知らない?」 
 私が聞くと母はきょとんとした顔を浮かべた。
「うん?あぁ!あれね!」
 しかし、すぐに思い出したように笑顔を見せる。
 お母さんはどすんと買い物袋を置くと、笑いながらこう言った。
「あんたいつまで経っても食べないから、食べちゃったわ!」
 私は目の前が真っ暗になった。
 お母さんの腹の中で、チョコレート菓子のキャラクターが「さよなら」と手を振っているのが見えた気がした。

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