スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

もうひとつの幻想 24

「この蜂蜜、ウェンデルっていう花の蜜なんですけど、ハニーさんが今働いている店の商品なんですよ」


 そういえば今日はハニーの姿を見ていない。
 ハニーというのは、ハーブのパートナー的存在。
 彼女の暴走をたしなめるのがハニーの役目である。
 何か用事があって今日は一緒にいないんだとハーブが言っていたっけ。


「ハニー、バイトしてんの?」
 事情を知らないフロートがハーブへ顔を向けた。
 私もご飯を頬張りながら、ハーブをみる。
 私も出かけているとしか聞いてなかったので、ハニーのことについては少し興味があった。


「そうです。そのウェンデルの蜜というのを取りに行く仕事だそうですよ。あと店の手伝いや売り子さんをするそうです」
「そうそう。なんか急に、社会勉強をしたい!って言い出してさ。良い店見つけたからそこで働くとか言って。」
 そういえばこの街に帰ってきてからハニーはよく出かけていたっけ。
 きっと働きたい店を探していたんだな。
 まぁ、もしかしたら、社会勉強というのは口実で、本来の目的は別にあるのかもしれないけど。
 私はご飯をもぐもぐと頬張りながら考えを巡らす。


「確か店の名前はカッシュカッシュっていったっけ?広場でやってる小さい店らしいよ」
 ハーブが言ったが、カッシュカッシュという名前は聞いたことがなかった。
 広場でやっているという事は屋台とか出店のような店なのだろうか?
「かっしゅかっしゅ?聞いたことないな?」
 フロートも首を傾げた。
「私も今日初めて行ったんですよ。ハニーさんの付き添いで」


 フローラが笑ったところで厨房からぬっと人影が現れた。
「ありがとうございます」
 厨房から出てきたのはますたーだった。
 相変わらず無口で何も話さない。
 彼は無言でハーブとフロートの前にマグカップをおいた。


「あの・・・モンスターを海に帰すんですよね?」
「ま、まぁ、そうだな」
 フローラがおずおずと言い出したのは例のスカッシー掃除の話題だった。
 確かにフローラの言うとおり、スカッシー掃除は言い方を帰れば、彼らを元いた海に追いやるように帰す作戦である。


「私も一緒に連れていってくれませんか?実はカッシュカッシュの店のご主人に、紹介された店で良い道具を買ったんです。きっと役に立つと思うんですよ」
「え?フローラ一緒に来んの?」
「え?フローラもついていくの?」
 フローラの言葉にフロートとクイットが同時に反応した。
 フローラが店の仕事以外で外に出ることは珍しい。
 しかもその出かける目的がモンスターと戦うことなのだから、これはかなり希なことだ。


「体は大丈夫?少しきついかもしれない」
 ようやくご飯を平らげ、私は口の中のものをきちんと飲み込んでから、口を開いた。
「大丈夫です。たまには運動もしないと体に悪いですから」
「それなら私だって行きたい!」
 フローラが言い終わるが早いか、クイットが手を挙げた。


「クイット、もう動き回って大丈夫なんですか?魔力の消耗かなり激しかったですし・・・」
「大丈夫だって!さっき窓からみたけどケイの方は裏の空き地に出て魔法の特訓してんじゃん!あいつがあんなピンピンしてるのに、私の方が少し魔法使っただけでへばるなんて嫌!」
 クイットは悔しそうな表情を浮かべ、握り拳を作った。
 それをフローラは心配と不安が入り交じったような顔でみている。


「ケイ?」
 そこで、ハーブが間の抜けた声を出した。
 そういえば今クイットはケイの方は中庭でピンピンしてるとか言っていたっけ。
 ケイというのは?
 人の名前だろうか。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yamattulann

Author:yamattulann
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。