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もうひとつの幻想 25

「あぁ、ケイというのは最近新しくラムザに入った人です」
「そう!天使と悪魔が自分の中にいるとか入って、精霊みたいのを呼びだしてさ!私そいつの呼び出した奴に殺されそうになったんだから!」
 怒り心頭といった感じでクイットは言う。


 なるほど、ケイという人物はかなりおかしな奴らしい。
 きっと頭のどこかが変なのだろう。
 ウィルスの奴、そんな危険な奴をこの店に?


「クイット、そんな言い方はないじゃないですか。ケイさんは悪い人ではありません。ただ不運なだけです!」
 フローラがクイットをたしなめる。
 すると不意にクイットの表情が悲しげなものに変わった。


 ケイという人はもしかして、不慮の事故でおかしくなってしまったのだろうか?
 その事故の原因がクイットで、つい感情的になりケイという人を悪く言ってしまった、とか?
 冒険者世界ではあり得る話だ。


「それで、今空き地にいるのは?」 
 魔法の特訓というからには一人ではなく、誰かと特訓しているのだろう、そのケイという人は。
「今、シーと、キトン、ブレイズが中庭に出てます」
 フローラが指を折りながら教えてくれた。


 そのケイという人には3人もの人間がついていないと危険なのだろうか。
「人手が足りないんなら誰か呼んできましょうか?」
「い、いや、いい。危険人物を野放しにするわけには・・・」
 裏口へと向かいかけたクイットを私はあわてて呼び止めた。
 クイットは少し不思議そうな顔を浮かべたが、すぐに動きを止める。


 ケイという要注意人物には何人か人がついておいた方がいいだろう。
 キトンやブレイズは戦力的にいた方がとても心強いが・・・。
「どうしようか?フロートだけに前で戦ってもらうのはきついよね」
 そうなのだ。
 ハーブもフローラもクイットも肉弾戦は苦手なので後衛。
 私も細身の剣を持っていることには持っているのだが、相手の数が多ければ多いほど分が悪い。
 できれば私も後方で援護をしたいところだ。


「誰かいないのか・・・」
 私は首を傾げ、私たちの周囲に沈黙が降りた。
 フロート一人に前衛を任せるか・・・?そう考えだしたとき。


「お困りのようですな」
 私たちの背後から妙に芝居がかった声が聞こえた。
 振り返るとそこに立っていたのは奇妙な服装の青年。


「おまえ、相変わらず趣味悪いな」
 そして私たちから彼に対する最初の一言はフロートのこれだった。


 目の前にいる青年。
 彼の名前はリク・アロンゾ。
「僕の崇高なる趣味ななかなか理解されませんからね。もうそういう心ない言葉には慣れました」
 眉を寄せ、肩をすくめる彼。


 崇高とはどういう意味だったかと思い出す。
 確か尊く気高いという意味だ。
 尊い、とは貴重という意味もあるし、彼なりに気品がある服装と思っているようだから、あながち間違った意味ではない?
 


 彼は以前みたときと変わらず緑を基調とした服装。
 それだけならいいのだが、半ズボンからのぞいた足は茶色いタイツをはいている。
 お世辞にも言い趣味とはいえない。
 木の精霊が人間サイズに巨大化した姿にも見えた。
 


 そしてそんな彼をみてクイットが思い切り眉をひそめる。
「うわ、敬語気持ち悪!」
「うっせー!」
 そのときだけ、彼は本性を見せた。
 目つきががらりと変わる。
 


 が、彼はすぐ愛想笑いを浮かべた。
「ちょっとした報酬をいただけるんなら、お手伝いしてもよろしいんですがね?」

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