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もうひとつの幻想 31

 クイットが叫んだ途端何やら光球のようなものがクイットの手に降りる。
 クイットは光が手に触れたか触れないかのところで、手を目前へと振り下ろした。
 光はクイットの手の平へと滑るように降り、弾ける。


「光の精霊、ディストラクト参上!」
 とクイットの手の平でピースサインを出すのは、クイットの扱う精霊、人型だ。
「おぉ!」
 さっきまでおばあちゃんだったハーブが元気を取り戻し、精霊を見つめる。


 この精霊は白を基調としたぴったりとした服に、ゆったりとした白いマントを羽織っている。
 お腹を出すその服は何ともセクシーだが、顔つきが幼く、小さなアイドルのよう。
 服にもマントにも黄色い模様が入り、背中にも黄色い光の結晶のような羽が浮かんでいる。
 髪も金髪で、その髪はあちらこちらにぴょんぴょんとはねており、そこも何とも子供っぽく、なおかつ可愛らしく見える。
 ハーブが目を輝かせ、私の精霊と彼女の精霊を比べたがるのもわかる気がした。


「ディス、急ぎの用事!」 
「了解!」
 びしりと敬礼する精霊。
 やはり精霊は主に似るものだな。
 それにしても精霊に名前を付けるというのはなかなかいい考えかもしれない。
 ディストラクトとは一体どういう意味だろう。
 私の精霊はハーブにユッキーと名付けられているくらいで、私はただ、精霊としか呼んでいない。


「ディス、海岸一体を照らしてほしいんだ!」
「おっけい!」
 クイットと彼女の精霊が会話しているところを目の当たりにして、なんとなく私は私の精霊との格差のようなものを感じた。


 私の扱う精霊が劣っているというわけでは決してない。
 むしろ私の精霊の方が彼女の扱う精霊より強い。
 それは経験の差から明らかだ。
 しかし、精霊が主と会話できるという事はここまで大きなものなのか。
 精霊が私たちと同じ言葉で話すことがここまで精霊使いに影響を与えるとは思わなかった。
 私の中には今どう鑑みても嫉妬としか言えない感情が渦巻いている。   


「ルビー?」
 私がただ俯いているとしゃがみ込んだままでいるハーブが私の顔を見上げた。
 私はようやく我に返る。
 何を悪い感情に苛まれているのだ、私は。
 そんなもので心揺らぐとは、まだ修行が足りん!


「おい、ルビー。クイットの精霊も活躍しているようだし、そろそろあたしたちも」 
 みると下方の海岸では所々閃光が走っている。
 私たちの横でクイットが目を瞑ったまま、何やら手を動かして精霊に指示を出しているところを見ると、精霊はいまスカッシーの目をくらませてくれているのだろう。
 そろそろ頃合いか。


「よし、ステップ3。総攻撃開始!」
 言うが早いか、フロートは女性にあるまじき雄叫びをあげ、崖をすべりおりていった。
 いつの間にか右手に剣を握っている。
 いつ抜いたのだろう。


「そんじゃ、俺も」
 という声が後ろからしたかと思うと、私の横を何かが猛スピードで通り抜けた。
 目で追うと、それはリク。
 さっきまで彼が背負っていた板に乗っている。
 板の表面いつ蹴られたベルトのようなものに足を固定し、板の裏についている機械は青白い光を発していた。
 どうも魔力で空を飛ぶことのできる道具のようだ。


「いいな?、あれ」
 風を切ってとぶリク、ではなく、彼が乗る板をハーブが羨望の目で見つめる。
「ルビーさん、そろそろ私たちも援護を」
 飛び去っていくリクを見つめている私の横にフローラがすっと立った。


「クイットは今朝大変でしたから、少し休憩してもらって、私たちががんばりましょう」
 フローラが小さく耳打ちし、ちらりとクイットのほうに視線を走らせると、クイットの表情は心なしか辛そうに見えた。

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