スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

もうひとつの幻想 43

「ここだな」
 呟く私をミアラが少し悲しそうな目で見た。
「どうしたの?」
 ハーブがそんな彼女の表情を見て、首を傾げる。
 


 今私たちの目の前には真っ暗な大穴がぱっくりと口をあけていた。
 ここでは、普通の人間である私たちにもなにやらいやな魔力が洞窟の奥からに滲みでているのがわかる。
 アンデットモンスターが身に纏うような、何かおどろおどろしい魔力が辺りに満ちていた。
 


 そしてミアラはというと、少し俯き首を振った。
 私たちの言葉はわからないけれど、いいたいことは伝わったようだ。
 そしてこちらにも彼女のいいたいことは伝わった。


「もう、この先にはいけないんだね?」
 眉をハの字にして、ハーブが問う。
 彼女はもう一度頷いた。
 そして洞窟を指さし、強く祈るように手を合わせる。


「分かった!私たち、絶対解決してみせるから!」
 使命感に燃えるハーブ。
 何が分かったのかはいまいち分からないが、やる気があることはいいことだ。
 私も強く頷いた。


 そして私たちはハーブを先頭に洞窟へと入っていく。
 ちらりと振り返ったときに見えたミアラの表情は希望と不安が入り交じっているように見えた。 

  :

 洞窟に入ってしばらくまっすぐ進んだ私たち。
 どんどん暗くなっていくので私たちは各自光球を浮かべた。


 しかし、ある程度進むと目の前に壁が現れた。
「あれ?行き止まり?」
 ハーブがぎょっとしたような声を上げる。


 だが、まだここで終わりじゃないはずだ。
 アンデッドのような魔力はだんだん力を強めているように感じるし、実際ミアラは陸地があると言っていた。
 だからこそ足がある私たちが越して洞窟に出向いてきたのではないか。


 私はくるりと後ろを振り返った。
 さっきまで泳いできた道は真っ暗で何も見えない。
 入り口のようすももうとっくの昔に見えなくなっている。
 結構奥まできたようだ。


「あ、道だ!」
 不意に後ろでハーブが声を上げた。
 振り返るとハーブが上を指さしている。
 見上げると、確かに私たちの頭の上を空洞が続いていた。


「そうか、水の中だったら上も下もあんまり関係ないもんねぇ」
 とハーブは浮いたり沈んだりする。
「ふざけてないで、早くいこう」
 私はハーブを置いて先へと進む。
「あぁ、待って待って」


 横に並んだハーブは光球をあちこちにとばして壁の至る所を照らしている。
 私はまっすぐ前方を照らした。
 空洞はなかなか長く、しばらく果てが見えなかった。
 光球の光もいくらかと奥にやると闇に飲まれて消えてしまう。
 私は光球の位置を調整しつつ、慎重に進んだ。


 そしてしばらく行くと、急に光球の光が滲んだ。
「外だ!」
 ハーブが歓声を上げる。
 どうも光球は水の外へでたようだ。
 私たちは足を早め、長い水中探索を終えた。


 顔を出すと、顔の周りを覆っていた空気の層が瞬時に消えた。
 私は胸一杯外の空気を吸う。
 あまりいい空気ではなく、なにやら生臭い臭いもするが、やはり外の空気はいい。

 ハーブも大きく息をしている。
 


 辺りを見渡すと、右手に陸地が見えた。
 天井はなかなか高く、これなら陸に上がってふつうに歩いて進めるだろう。
 岩をくりぬいたような洞窟の床はぬめぬめと光り、滑りやすそうだが、ちゃんと気をつければあがることができそうだ。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yamattulann

Author:yamattulann
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。