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もうひとつの幻想 49

 はやる胸を押さえ、四方を見渡すと、二本足で歩くトカゲと魚が合わさったようなモンスターが、槍を構え、こちらをにらんでいるところだった。


 モンスターは、頭に大きな襟のような鰭がついており、手や足にも水掻きのような鰭がついている。
 口には鋭く細かい牙が並び、かなり凶悪なとかげのような顔だ。
 体は少し人間のものに似ており、胸、腕、足は筋肉が盛り上がっている。
 長いしっぽを勢いよく振りながら奴らは低いうなり声をあげた。
 これもどう見ても、とても有名なモンスター”リザードマン”だ。


「赤い目?」
 息をのむ私の背後で、ハーブがぼそりとつぶやく。
 目を凝らすと、武器を構え身構える彼らの目は時たま赤い光を反射していた。
「赤い目のリザードマンなんて聞いたことがない。もしかすると彼らは・・・」
 操られているのかもしれない。
 私とハーブはほとんど同時に言った。


 そして私たちの言葉を聞くやいなや、リザードマンたちが動いた。
 私は舌打ちし、腰巻きにさしておいたつえを取り出す。
 私は普段あまり杖を使わない。
 精霊魔法を使うときにはほかの魔法と違って自分自身の意志で使用する魔力が少ないからだ。
 ただ、たまに、強力な魔法を使わざるを得ないときは杖の力を借りる。


「ハーブ!黒魔法!」
 ここでハーブに魔法壁をはらせても、四方を取り囲まれてしまってはいたずらに魔力を消費するだけだ。
 ここは強気に攻めていこう。


 私は私は杖を両手で握り、杖を横に構える。
 そう、私の杖は杖であり、杖でないのだ。
「かかってきなさい!」
 私は杖に仕込まれた刃を抜いた。


 私の剣は特注品だった。
 今は亡き私の父がどこからか取り寄せ、私にプレゼントしてくれたものである。
 最初は私もそれがただの杖だと思い、当時私が住んでいた村の学校の先生や、お母さんに魔法の使い方を学んだ。
 そして、私たちがそれまで送ってきた幸せな日々が終わりを告げたとき、私は杖に仕込まれた剣の存在を知ったのだ。


「来たれ稲妻!」
 ハーブは私の背後ですでにいくつか魔法を発動させたようで、相手の弱点を突きつつ攻撃している。


 しかし、私の方はそううまくはいかなかった。
 相手が使っているのはリーチの長い槍、私は細身の剣だ。
 私の剣が届く前に相手の突きがくる。


 私は相手の攻撃を剣で流しながら、今の状況の打開策を考え、そして、私の目は今相手をしているリザードマンたちが飛び出してきた池をとらえた。
 私は心の中で、呼びかける。


 来たれ精霊!
 容赦のない槍での突きをどうにか受け流しつつ、私は精霊に魔力を送った。
 私の杖は剣として使用しているときも、杖の役割を果たしてくれるものだった。
 私の杖は離れたところにも魔力をとばすことができるのだ。


 キンキンと金属音を響かせ、私は2体乗リザードマン相手にどうにか応戦する。
 相手が使う槍は一般にトライデントと呼ばれる、先が3つに分かれた槍。
 三つ叉槍とも呼ばれるそれは、簡単にいえばフォークのような見た目だ。
 しかし、その又が厄介で、下手をするとこちらの剣を持っていかれてしまう。
 しかし、どちらかというと細身で、少し錆の目立つその槍は、戦闘用ではないように見えた。
 どちらかといえば漁に使うような槍だったのである。
 なので槍の質はあまりよくない。
 
しかし、それを人間離れした運動能力や胴体視力でカバーしているように見えた。
 彼らに体力では勝てない。


「ルビー!どうするの?!」
 近くで見てよりはっきりとわかったが、彼らは何者に魔法によって操られている。
「私攻撃用の魔法は練習したけど、回復用の魔法には全く手出してないんだ!」


 そうなのだ。
 相手を操る魔法というのは攻撃系補助の魔法に分類されるのだが、その魔法を解くには補助魔法ではなく、回復系の魔法を使う必要がある。
 より強い使役魔法を使えれば今リザードマンたちにかけられている使役魔法に上書きして、こちら側で操ることができるようになるのだが、4体分もの使役魔法、しかも強力なものを使うとなると、魔力面がかなり厳しい。
 ほかに使役魔法を解く方法といえば操っている本人を倒すなりして、魔法を使えなくさせるほかないのだ。


「どうにか気絶させるほかないな」
 魔法が解除できないとなれば、魔法にかかった相手の動きを止めるしかない。
 たぶん彼らを操っているのはドアの向こうからする不穏な魔力の持ち主に違いない。
 あのドアの向こうに行くことさえできれば、彼らを助けることができるだろう。

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