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もうひとつの幻想 50

 リザードマンは人の言葉を話すことはできないが、独自の言葉を使い、独自の文字ももつ、かなり賢い生き物だ。
 一応モンスターという分類をされているが、彼らを人間たちと同じような種族として見ている人も多い。
 賢い彼らは無碍に人を襲ったりしないのだ。 
 実際彼らは、今武器に使っているような槍で、魚を捕って静かに生活している。
 ごくまれにリザードマンの冒険者というのもいるが、大抵は穏やかな性格なのだ。


「ねぇ、気絶させるってどうやるの?」
「ハーブは今電撃を使う魔法が使えるだろ?それでショックを与えればいいんじゃないか?」
 電気を魔法で出して、首筋に当てると、人間が気絶してしまうようにリザードマンたちも気絶するのではないだろうか。


「私は私で手がある。少し危険だが、彼らなら大丈夫だろう」
 私はハーブに詳しい説明をしなかったが、彼女は特に追求せず、私の背後を離れ、動き始めた。
 私もそろそろ動くことにする。
 いい加減腕が悲鳴を上げ始めた。


 だが、十分時間を稼いだおかげで、精霊の方にはじっくり魔力を送ってある。
 後は魔法を発動させるだけだ。
 私は再びやってきたリザードマンの突きを力一杯跳ね返した。
 さっきよりずっと強い抵抗に一瞬リザードマンがよろける。
 次なる攻撃を仕掛けようとしていたもう一匹のリザードマンも一瞬だがひるんだ。
 チャンスだ!


「来い!」
 私は高々と剣を持った手を振りあげた。
 途端、私から見て、右奥と、左奥の池から盛大な水しぶきがあがる。


 そしてその大量の水は、飛び上がった勢いそのままに2体のリザードマンに降り注いだ。
 この相手がリザードマンでなく、ふつうの生身の人間だったら恐ろしいことになっていようが、相手は普段水の中で暮らしている者である。
 水での攻撃など相手の動きを少しだけ止まらせるだけだ。


「ルビー?!何やってんの?!」
 後ろで雷が落ちたような轟音とともに、ハーブの叫び声が聞こえた。
 実はリザードマンは水をまとえばまとうほど元気になるのだ。
 ハーブだってそれくらいはしっていたのだろう。
 私だってそれくらいはしっている。
 こうして水をかけたのは理由があるのだ!


 私はふりあげていた手を胸元までおろし、剣を横に構えた。
 前のめりになってよろけているリザードマンを一瞥すると私は剣で空を切るように再び手を振りあげる。

 今度は降った水が上へ勢いよく飛沫をあげた。
 爆発的に打ち上げられた水により、リザードマンたちはなすすべもなく、宙に舞う。
 私はそこに今まで精霊の元へとやった魔力すべてを込めた。
 剣の切っ先を水に飲まれるリザードマン2体に向ける。


「閉じろ!」
 私の号令を受け、水の動きが静止する。
 水もリザードマンも宙に浮いた形で止まった。
 いや、水は宙に浮いているわけではない。
 水が地面についた部分、根本から凍り付いたのだ。


 そして、リザードマンの部分を残して、水は全て氷へと変貌し、彼らは氷の中に閉じこめられた。
 ぴったりと体に密着する氷により彼らの体は動かない。
 唯一動くのは爛々と赤く輝く彼らの目だけだった。


 そして背後からもう一度轟音が響いた。
 振り返ると、そこには肩で息をしながら立つハーブの背中と、地面に倒れたリザードマンの姿だった。
 彼らの体からはわずかに煙が上がっている。


「大丈夫か?」
 私が聞くとハーブはこちらを振り返り、力ない笑みを浮かべた。
「大丈夫?って私のこと?それともリザードマン?」

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