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BLACK BIRD 第1章 -3-

 誰かいないか・・・。
 そう思って私は辺りを見回した。


 前方には森が見えるばかりで、人影はない。
 私は今度は後ろを振り返ってみた。


 「誰かいな・・・いた!?」
 振り返った先には草原の上に大の字にぶっ倒れている見慣れた顔があった。


 そいつは私のクラスメイト、海谷 龍(カイタニ リュウ)だった。
 名前から分かるかと思うが、男子生徒。


 番号順では私のすぐ前になり、新学期が始まった頃、コイツの席は私のすぐ前にあって、そのとき微妙に仲良くなった。
 微妙にだから、たまに話をするぐらいで、そんなに親しくはない。


 少し離れた場所に倒れている海谷に近づいていってみると、やはりコイツも服装が変わっているのがわかった。
 学校にいたときどんな格好をしていたかは知らないが、それでも服装が変わっていることが分かるくらい、こいつの服は変になっている。
 まぁ、同じく変な格好をしている私がそんなこと言えた義理じゃないが。


 近寄り、よく日焼けしている顔を覗き込んでみると、海谷は静かな寝息を立てていた。
 どこも怪我はしていないようだし、苦しくもなさそうだ。
 これなら起こしてもいいと判断して私は海谷の体をゆすった。
 それでも海谷はなかなか目を覚まそうとしない。


「おい!海谷!!起きろ!頼むから!!」
 なかなか目を覚まさないので私は海谷の顔の近くでそう声をかけた。


「んん・・・。」
 しばらくすると、そんな声を出して、海谷がうっすらと目を開けた。


「起きたか?!」
 私がそう言ってもう一度海谷の顔を覗き込むと、
「うあっ?!」
 海谷はそう声を上げて、飛び起きた。


 もうちょっとで頭がぶつかりそうになる。
「危ないな!うちだよ!黒鳥だよ!分かります?」
 私はむっとした顔をしながらもそう言った。
 海谷はそんな私をじろじろ見て、
「どうしたの?その格好。イメチェン?」
 そんなことをぬかした。
「んなわけないでしょーが!そんな服装のことより今自分が置かれてる状況をよく確認してみたら?」
 のんきな海谷に私は腹を立てながらそう言った。
 私はこの状況でかなりパニックになったっていうのにこいつはどういうわけか落ち着き払っている。


「アレ?ここって一体・・・?俺、学校にいたはずだし・・・。」
 やはり海谷もここがいったいどこなのか、なぜこんな場所に私たちがいるかは分からないようだ。


「わ、何、この服?」
 そして一通り周りの様子を見た海谷はようやく自分が異様な服装をしていることに気づいた。


 海谷は私と同じように腰の辺りにベルトをつけ、首には長い薄手のマフラー、スカーフというべきかもしれないがそれを巻いている。
 そして厚めの布で作られたジャケット、そのジャケットの中にはすそが足首ほどまである長い薄手の服を着ていた。
 ジャケットは半そでで、ジャケットから出た腕にはぴったりとした長めの手袋が腕全体を覆っている。
 片方の腕にはシンプルなつくりの大きめなシルバーの腕輪が二つ。
 大きすぎて腕から外れそうだ。
 そしてもう片方の腕には透明の水晶のような石が埋め込まれた金色の腕輪をつけていて、こちらの腕輪は腕にぴったりとついている。
 そして黒い長ズボンに、少し変わったつくりのブーツ。
 ジャケットの肩の部分には不思議な文字のような模様がついており、まるでゲームに出てくるキャラクターような格好だ。


「あの?、さっきからジャマなんだけど俺の背中についてる棒みたいなのは何かな。」
 私が私に負けず劣らず変な服装だな、と海谷をじろじろ見ていると、不意に海谷がそう言った。


 そうだ、一番最初に海谷を見たとき、そこに一番に目が行ったんだ。
 海谷が背負っている棒のようなものは私の知識が正しければ、長刀。
 海谷の背負っている棒の先には白い袋に包まれた何かがついている。
 きっとあの袋は長刀の刃の部分のカバーのようなものだろう。
 まぁ、むき出しだと危ないしね。
 出し入れがめんどくさそうだけど。


「はぁ、なぎなた・・・。何だっけそれ、長い棒の先に剣みたいな刃がついてるヤツ?」
 私が背負っているものの名前を言ってやると、海谷は首をかしげてそう言った。
 私はとりあえずうなずく。
「ふ?ん。このベルトでとめられてるみたいだ・・・。」
 海谷はそうつぶやくと腰についているベルトを見た。


「ところで、黒鳥・・・さんのその腰についてるものはもしかして・・・ナイフ?」
 海谷は今度は私のほうを見てそう聞いてきた。
「あぁ、みたいだね。」
 私はどういえばいいのか分からなかったのでとりあえずそう言ってうなずいた。
「ふ?ん。」
 海谷はそれだけ言うと、また自分の服を見始めた。
 意外とあっけない反応に私は少し面食らったが、とりあえず海谷のことは置いといて、これからどうするか考えることにする。


 改めて辺りを見回してみたが、私と海谷以外は誰もここにはいないようだ。
 とりあえずどこかに人がいる場所がないか探した方がいいだろう。
 それに私たち以外のクラスメイトの安否も気になるところだ。
 特に私の親友レイア。
 あいつ・・・そういえば私の意識がなくなる直前に笑ってなかった?
 あいつはもしかしたら何か知ってるのかもしれない。
 見つけたら話を聞かないと・・・。


 今の時間は太陽の位置からして、昼過ぎくらいだろうか。
 私にはあまり時間を推測する術はない。
 なんにせよ早めに行動した方がいいだろう。
 暗くなってしまえば、それだけ不安になるし、進みづらくなる。
 それに私は運動神経が悪いから、暗くなれば海谷のお荷物になりかねない。
 とにかく辺りは全て森に囲まれているから、どこからか森に入っていかないといけないだろう。


 今度は森の方を見てみると、右の方向に人の手によってできたような道が見えた。
 あの道をたどればもしかすると、人のいる場所に出るかもしれない。
 これから行く当てもないし、とりあえずあの道を行ってみよう。


 まだブツブツ言っている海谷に今私が考えたことを伝えると、海谷はうなずき、
「わかった、それじゃ、行くか。」
 あっさりそう言って立ち上がった。


 コイツは何も考えてなかったのか、それとも意見が一致したのかは分からないが、海谷ってやつは何を考えているか分からない変なやつだと改めて思った。
 前々から個性的なやつだとは思っていた。
 感情があまり顔に表れないようだ。
 普通に学校で過ごしているときはよく笑ってたんだけど。


「どうした?考え事?」
 私が座ったままでいるので海谷がそう声をかけてきた。
「いや、特になんでもない、行こう。」
 私はそう言って首を振り、立ち上がった。
 私はズボンについた草を払うと、海谷と二人、森の道へと向かった。
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