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もうひとつの幻想 54

 リザードマン達と長い間話し合った末、分かった事は、この洞窟に誰か人間らしき人がやってきたという事であった。
 そいつはさっきまでここらを覆っていた魔力を纏い、明らかに不審な人物だったという。
 はっきりした日付は分からないが、そいつが現れた辺りからどうもこの辺りに嫌な魔力が充満し始めたようだ。


 こういう話をしているうちに徐々に他のリザードマン達も動き始めた。
 氷漬けにされていた彼らも元気になったし、電気で気絶していた者達もしばらくしたらむっくりと起き上がった。
 彼らに一通り私達は自己紹介をし、彼らもいろいろ話してくれた。


 普段彼らはここらの海で、魚を狩って生活しており、この洞窟にはたまにやって来るという。
 この部屋の四隅にある池は外海と通じており、リザードマン達が集まって何か話し合う時などにここに集い、集会を開くのだとか。


 それで、彼らの名前も聞いたのだが、どうも私たちにはうまく発音できないし、どれも同じように聞こえる。
 ワオ、とか、オウ、とかウォーとか。
 それに見た目だって判別がつかない。
 雄・雌の差は何とか分かるが、顔の差なんて分からなかった。 
 まぁ、今のところ支障はないので良しとしよう。


 それで、彼らは怪しい魔力の流れを感じ、この部屋にやってきたのだが、どうもそこで魔法をかけられてしまったらしい。
 それで様子がおかしくなり、女の子リザードが心配していたようだ。
 魔法にかけられてしまったため、その人物が何をしていたのかは分からないそうで、女の子リザードに聞いても、変な魔力が充満し始めた事しか確認できなかったそうな。
 この広場の中に入ろうにも操られた彼らが見境なく襲ってくるので、女の子は中に入れなかったのだとか。
 つまりこれ以上、この中で起きた異変について詳しい事は聞けないようだった。


 それで、男がどんな見た目をしていたのか聞いてみたが、真っ黒なマントを羽織っており、顔の周りや頭にも真っ黒な布を巻いてあって、殆ど肌が見えない姿をしていたらしい。
 唯一見えた目は真っ赤な色をしていたという。
 赤い目をした人とはその人物もまた使役魔法をかけられていたのだろうか?
 それとも本当に赤い目をした人物だったのだろうか。
 もし本当に赤い目をしている人物ならもしかしたら活路を見出せるかもしれない。
 赤い目の人物、と覚えておこう。
 もし身近に、シアグラード内に、そんな人がいればととても怪しい。
 ユナさんにもちゃんとこれは報告しよう。


 そして一通り異変について話した後、話題は例の宝箱、そして宝箱に入っていたものの話になった。
 しかし、リザードマン達は宝箱の中身どころか、扉の奥の事まで知らなかったらしい。
 奇妙な人物が来る前は、扉には厳重に封印がしてあって、リザードマン達にはどうしようもなかったそうだ。
 しかし彼らにとっては特に興味、関心がある事ではなかったので、扉はそのまま放っておいたらしい。
 つまりその奇妙な人物が封印を解き、扉を開いたようである。


 その宝箱には元々は違う物が入っていたのかもしれないが、とりあえず、ハーブの鞄から例のもやもやを彼らに見せてみた。
 彼らはハーブの鞄にすっぽり入ったもやもやを興味津々といった面持ちで眺めていたが、誰もそのもやもやがいったい何なのかは分からなかった。
 ただ、厳重に封印して、更に宝箱に入れるほどの物ではなさそうだ、と彼らは言う。
 確かにその通りだ。
 今のところ何の危害も加えてこないし、変化もないので、持ち歩いても大丈夫じゃないのか、とも彼らは言った。
 まぁ、彼らもそう言うのなら、持って帰っていいだろう。
 何、一晩だけだ。


 こうして私達は精霊を介してぎこちなくだが会話し、意外と仲良くなった。
 少しなら何となく言葉も分かるかもしれない。
 もしこの後事件が起こったりして、何か忙しくなったりでもしない限り、また会いに来ると約束し、私達は元の街に帰るべく立ち上がった。


 そして元来た道を引き返そうとした私達だったが、街に帰るのなら、部屋の外海に通じる池から行った方が早いという事で、私達は彼らに送ってもらう事となった。

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