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BLACK BIRD 第1章 -4-

「・・・?動物でもいるのか?」
 森の中の道を歩いている私たちの耳に、茂みの葉が揺れる音が届いた。
 海谷が茂みの方に目をやり小さな声でつぶやく。


 草原を出発してから10分ほどたった。
 だが一向に何もいないし、虫も動物も何も見ない。
 あるのは同じような木と茂みばかり。
 花も実も何もついていない葉っぱばかりの木がずっと並んでいる。


「風・・・かな。」
 私もちらりと茂みを見たが、何も見えない。
 まぁ、小動物や虫なら見えないのもわかるが、でもそんな生き物がいたところでどうにもならない。


 私は先を急いだ。
 後からあわてて海谷もついてくる。


「ところでさ、ここどこだと思う?」
 海谷が不意にそう聞いてきた。
 お互いわからないことはわかっているが、一応私は思い浮かぶ可能性を言ってみる。
「ここは日本かもしれないし、外国かもしれないし、どちらでもないかもしれない。何か神隠しとかそういうのに巻き込まれたのかも。まぁ、世の中何が起こるかわからないし、まだわかってないことも多いだろうから、今の私たちじゃ答えが出ないんじゃないか?情報が少なすぎるってヤツだよ、海谷クン。」
 私は大げさに肩をすくめてそう言った。
「日本でも外国でもない場所ってどこ?・・・地球じゃない別の星とか・・・?」
 私の言葉に海谷は大真面目に考えこんで、しばらくするとそう質問してきた。
「いや、たとえばの話だからさ。まぁ、あんたの言うことが答えかもしれないけど、きっとここは地球だとおもうよ?ま、考えなくてもさ、おのずと答えはわかってくるんじゃない?それにもしここが地球じゃなかったらうちらが助かる可能性はかなり減っちゃうだろうから、そんなお先真っ暗なことは考えたくないよ。」
 私が苦笑いしながらそう言うと、海谷はまた何か考え込んでしまう。


 私は軽く深呼吸すると、少しペースを上げた。
 ここがどこであれ、とにかく先に進もう。


 ・・・しばらく進むと少し開けたところに出た。
 そこには大きな切り株があり、ちょうどいい椅子になりそうな大きさだ。
「ちょっと休憩しようか。」
 私は海谷にそう声をかけると切り株に腰かけた。


 運動不足気味のわたしだったらこんなに歩いたらすぐに足がだるくなるはずだったが、思ったより体力の消耗は少なく、あまり足も疲れていない。
 海谷のほうは私よりもっと体力が有り余っているようで、
「休憩?もっと先でよくない?」
 少し不満そうな表情だ。
「なに言ってるのさ。休憩できるところで休憩しとかないと、いつ休めるかわかんないでしょーが。」
 私がそう言うと海谷はしぶしぶ私の隣に座る。
 何かちょっと距離が近いな?とか思いつつ私は黙って前を見つめていた。


 目の前には今来た道が見える。
 振り返ると、この先にはまだ道が続いていた。
 まだまだ先は長そうだ。


 そして私は海谷の顔を盗み見た。
 いつもへらへらしている海谷だが、今はなんだかきりっとしている。
 さすがの海谷でもこの状況でへらへらはしないか。
 私はそう思って学校での海谷の様子を思い浮かべた。


 私もそうだが、海谷は結構いじられ役だ。
 周りの男友達にちょっかいを出され、やめろといいながらも楽しそうにしていた。
 女子からも結構ちょっかいを出されていて、友達の話や他の人の話によると、海谷ってヤツは結構モテるらしい。
 そういえば同じクラスの子が告白したっていううわさを聞いたことがあったっけ。
 私はそんな恋愛ごとには縁がないからな?。
 私も青春したいな?。


「お?い、黒鳥さ?ん。」
 そういえば、海谷はまだ私のことさん付けで呼ぶよね。
 私はあんたとかお前とか言ってるのに何かそれじゃ悪い気もする。
「聞こえてる?」
 やっぱ呼び捨ての方がいいんじゃないかな?
 今二人きりだし、やっぱチームワークは大切だと思うんだよね。
「黒鳥?。・・・あ、呼び捨てにしちゃったよ?。・・・・無視?」
 やっぱこうフレンドリーな感じでいったほうがいいわけだし。
 ぎこちない感じっていうのもあれだし、普通に会話できるくらいには仲良くなっておいたほうがいいでしょ。
「すいませ?ん、何か顔赤いですよ?。っていうか無視しないでくださいよ?。」
「!あ、なんか言った?」
 目の前に急に手が現れ目の前でふらふらゆれる。
 私はそれでようやく我に返った。
「ごめん、ちょっと考え事しててさ。あ、それと、呼び捨てにしてくれればいいからね。」
 よし、言ったぞ。
「ん、そう?・・・わかった。」
 私の言葉に心なしかうれしそうな顔をする海谷。



 そんな会話をしていたとき!
 目の前にある道の脇の茂みが大きく揺れた。
 そのゆれ方は小動物が揺らしたようなゆれ方ではなかった。


「誰か・・・いる?」
 私が茂みに向かってそう声をかけた。
 もしかしたら誰か知ってる人かも知れない。
 知らない人でもいい、誰かいるのか?


 ”グアアァァ!”
「?!」
 茂みから奇妙な叫び声を出し現れたのは・・・人間ではなかった。


 そいつは泥、そして血のように見える赤茶色でぐしゃぐしゃになった服を着ていて、手にはさびつき、曲がったナイフが握られている。
 そのナイフは切れ味は悪そうだが、切りかかられたらどうなるかわからない。
 もしかしたら毒が仕込んである可能性もある。
 そしてそいつの皮膚は茶色く変わっており、できもののような赤い斑点が見えた。
 腰や指は醜く曲がっており、顔には異様につった目、高い鉤鼻。
 にやりといやな笑いを浮かべる口からは、汚れた不揃いな歯がのぞく。
 そいつはゲームで見たゴブリンというモンスターにそっくりだった。


「な、何だよ、コイツ!」
 海谷が私の横でそう言った。
 私の背中で気持ち悪い汗が流れる。


「もしかして・・・。」
 そして私の中で重要なことがひらめいた。
「な、何?」
 私のつぶやきに海谷がこちらを向いた。
「もしかしてさ、このナイフとか長刀とかいう武器はこんなやつに襲われたときのためのもので・・・」
「・・・うん。」
「それでうちらが飛ばされたこの場所は、私たちが住んでいた場所とは違う世界なのでは・・・。」
「そんなまさか!」
 私の推測に海谷はかなり驚いた顔をした。
 あ、でも今始めて笑う以外の表情をしたかも。


 そんなことより!
 目の前にいるゴブリンのようなやつは無視されたのに怒ったのか、低いうなり声を上げている。
 今にも飛び掛ってきそうだ。
「ど、どうすんの?」
 海谷がそう聞いてきたが、私がそう聞きたい!


 どうすればいいのかわからず私たちがまごついていると、ゴブリン的なヤツはナイフをかまえ私たちに飛び掛ってきた!!
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