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もうひとつの幻想 59

「ハーブ! 待ったか?」
 広場の入り口では既にハーブが待っていた。
 今日は夕刻にこのシアグラード広場の入り口でハーブと待ち合わせをしていたのだ。
 ユナさんとの話が予想以上に長引き、少し待ち合わせに遅れてしまった。


「遅いな! ハニーが待ってるよ!」
 ハーブは腰に手を当てぷりぷりと怒ったがそれも束の間、すぐに笑顔になった。
「なんか忙しかったから久しぶりにハニーに会う気がするなぁ。昨日の朝には会った筈なのにさ」
 彼女は少し照れくさそうに笑うと、私の前を歩き始めた。


 今日この広場に来たのはハーブの相棒、ハニーの働く店に行く為だ。
 その店は広場の出店のような感じで、人手が不足していたため、急遽バイトを募集していたらしい。
 そこでハニーがバイトをしにいったという事だ。
 しかしハニーはなかなか仕事役に立ちそうにないがな。
 店の留守番くらいはできそうだが。


 首を捻る私をよそにハーブは意気揚々と歩いていく。
 彼女は広場の真ん中ではなく、どんどん端の方へ向かった。
 その出店は広場の中の、あまり目立たない場所にあるようだ。
 穴場スポットといったところか?


 全体的にとても人が多い広場だったが、ハーブが歩いて行く先はあまり人が多くない。
 広場を仕切る小さな柵の向こうの木から枝が伸びており、少し陰になっている。
 なかなかに涼しげな場所だ。


 そしてその陰に四角いテントのような物が現れ、そのテントから迫り出すようにしてカウンターのような物が設置してある。
 そのカウンターから少し離れた所に椅子や小さなテーブルがあり、そこに客らしき人が数人座っていたのだが、私はそこに見知った姿を捉えた。


「リク!」
 私が言うと、その緑の上着がびくっと震え、振り返った顔は見紛う事なくリクの顔である。
「お前、今日は仕事だって言ってなかったか?」
 朝フローラから聞いた話ではそうだったが、今彼は椅子に陣取り、何やら香ばしい香り漂う何かを摘んでいる。


 私の声を聞き、他の面々も振り返った。
 一人青い髪をした2枚のローブの上に鎧を着るといった不思議な格好の青年は知らない顔だったが、他には獣と人間とが合わさったような種族であるヴィクマー族の青年、ブレイズと、幼いながらも召還術という高等魔術を操る少年、シーがいた。
 彼らも同様に何やらお菓子らしき物を摘んでいる。


 ブレイズやシーもラムザの仲間であり、青い髪の彼もラムザの仲間なのだろう。
 彼は新入りだろうか。


 そして私は一つ異様な物を捉えた。
「手?!」


 そう、彼らの後ろには何やら不気味な手の形をした物がふわふわと浮いていたのだ。
 黒い肌に血のように赤い文様の入った手。
 何やらとても間が禍々しい物に見える。
 ただ私がそれを見て顔を顰めた事に気づいた青い髪の青年が慌ててそれを隠した。


「僕は新しくラムザに入ったケイという者ですが…。あなたは一体?」
 ちゃんと先に名を名乗ったところは好印象だが、その服装といい、さっき押し隠した手のようなものといいなんとも怪しい奴だ。
 しかし、怪しんでばかりいるのもよくないだろう。


 それにしてもケイと言う名前はどこかで聞いたような気がするが、気のせいだろうか。

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