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RAINBOW STORY - 112 Aska Rita -

「これでいいでしょう」
 ブラストの手に魔石が収まったのを確認すると、彼女はほほえんだ。


 そして、彼女はすぐに空へと帰っていくのかと思いきや、予想に反し、ふわりと地面に降り立つ。
 途端さっきまでおとなしそうな、どことなく神々しくもある表情は消え、不意に子供っぽい表情へと変わった。


「ねぇ、ジル君! あの魔石って!」
 彼女はすぐに俺たちの元、正確に言えばジルの元へ駆け寄ってきた。
 いきなりの少女の変貌ぶりにブラストは唖然とし、俺たちだって驚いたまま固まった。
 ただ、後ろにいるねこボンたちは慌てず騒がず静かに見守っている。
 彼らもこの女の子のことを知っているのだろうか。


 それにしても、彼女はどうにも胡散臭い。
 さっきまで周りに満ちていた厳かな空気も、彼女がまとっていた光も気づけば消えているし。
 しかも、彼女とジルやねこボンたちは知り合い?
 一体この人は何者なんだ?


「ねぇ! ねこ型の魔石ってさ!! あれでしょ?! あれ!!」
 女の子は興奮したように鼻息荒く、ジルの肩をがんがん揺さぶる。
 あれ?
 あれとはいったい何のことだ?


「うぁぁ! そんなに揺すられたら、思い出せませんよぉ!!」
 ジルが悲痛な叫び声をあげ、ようやく彼女は手の動きを止めた。
 ジルはゼエゼエと肩で息をしながらも、目をつむり首をひねって、何か思いだそうとしているように見える。


「お、おい、ジル! 一体この人は?」
 そこへ、ようやく我に返ったのかブラストが近づいてきた。


「あぁ、この方はですね、いわゆる神サマです。神サマ」
 ジルはまるで紙とか髪の話をするかのように、さらりと言ってのけた。
 俺たちは全員目を瞬かせる。
 だってそんな話にわかには信じられない。



「神サマはですね。実際にこの世にいらっしゃるんです」
「ハァ?」
 俺たちはそろってそう言うしかなかった。


 冒険者やってると常識はずれなことがよく起こるとはいうけれど、こんな話は聞いたことがない。
 おとぎ話なんかの物語でもこんな展開はみたことないぞ。


「……みなさん知らないんですか?」
 ジルは世間知らずの田舎者でも見るかのような目で俺たちを見るが、人間界に、神様が実際に存在するという常識はない。
 俺たちは知らない、と首を振るしかなかった。


「まぁ、滅多にお目にかかれませんから、仕方ないと言えば、仕方ないのでしょうか」
 ジルは首を傾げながらも話を続けた。
「本当に神様というのは実在しまして、私たちねこボンの儀式にはわざわざ出てきてくれて、儀式の証人までしてくださるんです。本当にありがたいことです~」


「へぇ~、君ったら私のこと聞かずに儀式しちゃったんだ、やるねぇ~」
 そこへ当の女の子が口を挟んだ。


「それで、あなたの名前とかは……?」
 おずおずとブランが口を開く。
 やっぱりものすごい名前が飛び出してくるのだろうか。
 なんたらかんたらうんたらへんたら、みたいな長い名前。


「あぁ、私はねぇ。アスカ・リタっていうの」
「アスカ・リタ?」
 リリスが復唱する。


「何だ、思ったより普通の名前だな」
 もっと長ったらしい、一回じゃ絶対に覚えられないような名前が飛び出すのかと思った。
 ”アスカ・リタ”とはなかなか聞かない響きだけど、おかしいことはない。 


 しかし、俺の言葉を聞いて彼女は首を振った。
「ううん。これは地上用の愛称。本来はもっとすごい名前だよ。言ったところでなかなか覚えてもらえないから、言わないけどさ」
 俺は驚愕した。
 やはりか!


 ただ俺は確実に覚えられないことを瞬時に察したため、あえて彼女の本名は聞かなかった。
 他のみんなもそう考えたようで、彼女の名前についてはそれ以上何も聞かない。


「それで、ジル! 彼の魔石ってさ!」
 そこでアスカ・リタと名乗った彼女は、ブラストを見やる。
 ブラストは少し緊張したような面もちで、手に握ったままの魔石を見た。


「これって例の伝説にでてくる石じゃない?」



>113話へ
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