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BLACK BIRD 第1章 -6-

「・・・もう、何も出てこないな。」
 唐突に海谷がそう言った。


 あの後へたり込んでしまった私だが、なんとか自分を励まし、今はまたこうして、森のなかの道を歩いている。


「そうだね。」
 私はそうそっけなくそう返した。
「・・・」
 すると海谷はそれ以上何も言わなかった。


 家で普通にゲームやったりして過ごしてたときは、ゲームみたいな世界へ行ってみたいとか考えてたんだ。
 でも実際こんなモンスターみたいなヤツが出てくる場所に着て、実際に戦ってみてわかった。
 ゲームと現実っていうのは話が違う。
 そんなことはわかってるつもりだった。
 でも考えが甘かった。
 私みたいな子どもがこんなとこに来ても、無駄に命を落とすだけ。
 さっきは運よく助かった。
 でも次同じことが起こったらどうなるかわからない。
 それに、あの時、ゴブリンがどうしてあんなふうに吹き飛んでしまったのかもわからない。


「はぁ?。」
 私はいろんなことを考えたけど、わからないことばかりで、情報も何もない。
 盛大なため息をつくほかなかった。


「・・・あのさ、思ったんだけど。」
 私のため息を聞いたからかそうでないのかはわからないが、海谷が不意に話しかけてきた。


「何?」
「その、手についてる金色のやつ・・・それかその手袋なのか包帯なのか、よく分からないけど、その身に着けているものが、さっきみたいなすごい力を出すんじゃないか?」
 海谷が珍しく、自分から意見を言った。
 確かに海谷のいうことも分かる気がする。


「なぁ、ちょっと試してみようよ。」
「・・・?何を?」
「何でそんな力が出てるのか、だよ。ほら、そこの木に向かって、何もつけてないほうの手でパンチしてみて。・・・あ、軽く、だから。」
 海谷がそう提案した。
 海谷の言いたいことは分かる。
 私もどうしてそんな力が出るのか知りたい。
 だから私は軽くうなずくと、近くに生えていた木に向かって軽くパンチしてみた。
 もちろん、さっきゴブリンにパンチした手とは別の手だ。


 そして私の予想では、木は微動だにしないはずだった。
 が、また予想外のことが起こった。
 木がミシミシと音を立てて大きく揺れたのだ。


「・・・軽く、やった?」
 その木の様子を見て海谷がそう聞いてきた。
「も、もちろん。」
 私は少し動揺しながらもそう返事を返す。
「じゃぁ、つまりその手についてるやつは関係ないってわけか。」
 軽く腕組みをして海谷はそう言うと何か考え込んだ。


 そしてしばらくすると、何かひらめいたような顔をした。
「あ、もしかするとさ、この場所にいると力が強くなるんじゃないかな。」
 海谷がそう言ったので、私は木を叩いたのと同じように海谷をたたいてみた。
「・・・何?」
 でも海谷はそう言っただけで、痛くもかゆくもなさそうだ。


「さっき木を叩いたのと同じように叩いたんだけど。」
 私がそう言うと、海谷は不満そうな顔をした。
「え?つまり今俺が言ったことははずれってわけか。いい考えだと思ったんだけどな。」
 海谷はそう言ったが、私はあながち間違っていないように感じた。


「あ・・・もしかして・・・。」
「はぁ、また黒鳥が答えをひらめいたのか?さっきからそればっかだな?。」
 私の言葉に海谷は少しため息をつくと、早く何を思いついたのか言ってくれとでもいうような目で私を見た。


「うん、もしかしたらなんだけどさ、自分の意思で、力を変えられるんじゃない?」
「というと?」
「えっと、さっきゴブリンみたいなやつに襲われたときは、こいつを倒したい!そう思って殴ったわけ。それから木を叩いたときも、少し、さっきみたいな強い力が使えたらいいなって期待した自分がいたわけよ。でも、さっき海谷を叩いたときはさっきのゴブリンみたいに海谷が吹っ飛んじゃったら困るな、っていう自分がいたわけ。で、今考えてみたら、その力って言うのは自分が思ったとおりに働いてるなっていうのがわかったんだ。」
 考えが話しながらまとまっていくのを感じながら私は話し終えた。


「なるほど、確かにそれなら納得がいくな。それなら次何か出てきたら俺もちょっと試してみようかな。黒鳥だけにまかしておくわけにはいかないだろ。」
 海谷はそう言うと笑顔でこっちを向いた。
「う、うん。・・・頼りにしとくよ。」
 私はそう少しぎこちない返事を返す。


「よし、それじゃ、もう落ち込むなよ。ペースが落ちてる。早く先に進むんだろ?」
 海谷は笑いを浮かべながら、少しえらそうにそう言った
「い、言われなくたってそれくらいわかってるさ!」
 私は海谷の言葉にムッとしてそう返事を返すとずんずんと先へ進んだ。
 なんだか少し顔が熱い。


「お?い、置いてかないでくれ?。」
 後ろから海谷の少し笑っているような声と軽い足音が聞こえた。
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