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RAINBOW STORY ? 125 This is not my color ?

「あれはですね」
 不意にジルが口を開いた。
 全員が期待を込めた眼差しでジルを見る。
 もしかしたらジルなら答えを知っているのかもしれない。


「これは我がねこボン族や、限られた種族や特殊な能力を持ったもの達にだけ伝わっている言い伝えの中にあるものです」
 物々しい話し方をするジル。


 ちらりと見た魔石は優しげな光を放っていた。
 俺はこの光を知っているような気がする。
 気のせいだろうか。


「先ほどアスカ・リタ様が、勇者にはそれぞれ剣があると言いましたよね?」
「あぁ、確かに」
 ブラストが頷く。
 確かにさっきアスカ・リタは、各勇者に対応した色の剣があると言っていた。
 その剣で魔王を倒すのだ、と。


「あの魔石の中にある布に包まれたもの、それがその剣です」
 俺達の中に軽い衝撃が走った。


 ブラストが勇者に選ばれたという事は未だなんだか信じられないような気持ちでいた。
 だって今まで、夢物語、昔話として聞いてきた言い伝えが、目の前で急に動き出したんだから。
 それでも、ブラストはブラストで、やつには何も変わりはなかった。
 だから、未だ深く実感できずにいたんだ。


 でも、目の前に見たこともないような巨大な魔石が現れて、しかもその中に不思議なものが埋まっている。
 それが勇者の剣だという。
 こんなに大きな魔石が嘘をつくはずもない。
 あの布をほどけばきっと見事な剣が姿を現すんだろう。


「あれが、伝説の勇者の剣……」
 勇者の剣の在処や、どのように置かれているのかは伝わっていないけれど、勇者が大きな、特別な剣を持っているのは絵本などで有名だった。
 直接文に勇者は特別な剣を持っているとはかかれていないけど、絵にはきちんと勇者がそれぞれ大きな剣を持っている様子が描かれていたんだ。
 俺は小さい頃から何度もその伝説のことが書かれた絵本を読んでいたから、はっきりと覚えている。


「我々に伝わる伝説では、勇者の剣は魔石のうちに眠る。勇者現れし時、魔石は砕ける。そう伝わっております」
 俺達は返事を返さず、魔石の方へ見入った。
 みんな勇者が現れたときのことを想像しているんだろう。


 俺はゆったりと目を閉じた。
 まだ見ぬ勇者がこの地に訪れ、この魔石の前に立つ。
 そしてこの魔石に触れた途端、魔石が砕け、布に包まれた剣が姿を現す。
 ゆっくりと布がほどけ、勇者の手に剣が収まる……。


 そこまで想像して俺はうっとりとため息をついた。
 そんな瞬間が見れたらどんなに嬉しいだろう。
 いや、俺がその勇者だったらどんなに誇らしいだろう。
 


 けれど、俺は勇者じゃない。
 


 勇者はブラストだ。
 目を開け、ブラストを見ると、ブラストはまだ目をつむったまま、眉間にしわを寄せていた。
 俺と違い、ブラストは終始難しそうな顔をしている。


「ブラスト、おまえ勇者だろ?ならこの魔石も・・・」
「いや、これは違う」
「え?」
 俺が話しかけると、ぱちりとブラストは目を開け、俺を見据えた。


「これは俺の色じゃない」

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