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BLACK BIRD 第1章 -7-

「・・・あれは・・・何?何かの建物?」
 私はそうつぶやいた。
「ん?なんだって?」
 その声が聞こえたようで海谷がそう聞いてきた。


 私は黙って前を指差す。
「何だ?あれ?」
 目を細めて前の方を見ながら海谷はそう言った。
 目の前には、何か建物のようなものがぼんやりと見える。
 まだけっこう距離があるので、はっきりとはわからないが、自然にできるものではないように見えた。
 もしかしたら、誰か人がいるかもしれない!


「なぁ、まだ疲れてないよな?」
 海谷はしばらく前に見える建物のようなものを見た後、不意にそう聞いてきた。
 確かに海谷の言うとおり、珍しいことにまだ私の足は疲れていない。
「うん。」
 私がうなずくと
「じゃぁ、走っていこう!誰かいるかもしれない!」
 海谷はそう言うと、私の返事も待たずに走り始めた。


 が、その走るスピードが尋常じゃなかった。
 ほぼ一瞬で数十メートルほど先に走り去っていた。
「うわ、どうなってる?」
 海谷もすぐ異変に気づいたようで足に急ブレーキをかけた。
 もうもうと土煙が上がる。


 私が駆け寄っていくと、今度は普通のスピードで、海谷がこっちへ戻ってきた。
「今の、見た?」
 海谷がそう聞いてきた。
 すごく驚いた顔をしているが、どこかうれしそうにも見える。
 私が黙ってうなずくと今度は海谷は首をかしげて、また何か考え込むような顔をした。


「これももしかして、さっき黒鳥がパンチ出したのと同じ原理なのか?早くあの建物みたいなやつのところへ行きたいと思った、だからこんな足が速くなったのか?」
 海谷がそう言ったが私にはわからない。


「ためしにさ、黒鳥も早く走りたいって思いながら走ってみてよ。」
「うん?・・・あぁ、わかった。」
 私はうなずくと、答えを知るために言われたとおりに走ってみた。
 でも一向にさっき海谷が走ったほどのスピードが出る気配はない。


「?あれ?違う?」
 海谷はそうつぶやくと近くにあった木をいきなり殴りつけた。
 すると木はメキメキとすごい音をたてて倒れる。
「うわ、何やってんの!」
 私がそういうと海谷は悪びれるわけでもなくブツブツとつぶやいた。


「黒鳥がやったパンチは俺でも出せた、でも黒鳥は早く走れない・・・」
 そんなことを海谷はつぶやくと、今度は猛スピードで走り、またすぐに戻ってきた。


「だからさっきから何やってんの!」
 私がそう怒鳴ると
「わかった!!」
 いきなり大声を出す海谷。
 私は思わずひるんでしまう。


「たぶん早く走る力が使えるのは俺だけなんだよ。ほらゲームでもあるじゃん?このキャラクターはこんな技を覚えられるけど、他のキャラクターは覚えられないっていうやつ。きっとそんな感じでさ、黒鳥はもっと別の力が使えるんじゃないか?」
 海谷が自慢げにそう話した。
 よっぽど何かひらめきたかったらしい。
 でも私もそのとき同じようなことを考えていた。


「確かにそうかもね。で、走っていくのは賛成だけど、ゆっくり走・・・わわっ!!」
 私がゆっくり走ってくれよ、そう言おうとしたら不意に海谷に抱きかかえられた。
 体温急上昇!


「わぁっ!ちょっ待って!」
 私が暴れても海谷はびくともしなかった。
「フフン、黒鳥よりは力はあるつもりだけどな。」
 海谷が私の顔を見下ろしてそう言った。
 つまりいくら暴れても意味はないってことだ。
 私は顔がとんでもない熱さになっているのを感じた。
 きっと顔は真っ赤だ。
 私はそんな顔を断じて見られたくない!
 私はそっぽを向いた。


「よし、行くか!ゆれるから、喋ったら舌かむぞ!」
 海谷はそう言うが早いか猛スピードで走り始めた。


 目に見える距離にあるものまで行くのだから到着するまでにそんなに時間はかからないはずだ。
 でも私にはとてもとても長い時間のように感じた。
 だって、だって、これって欲に言うお姫様抱っこでしょ?!
 た、耐えられない!
 今すぐにでも「うがー!」とか何とか叫びたい気持ちだけど、そんなことしたら舌をかむだろう。


「あ!あれは?!」
 しばらく走ると海谷はそう声を上げ、やっと私をおろしてくれた。


 私は真っ赤な顔を見られたくないので、すぐに海谷に背を向ける。
 そして私は急におろされどう怒ればいいのか考えられず、
「ばかやろー!」
 とだけ言っておいた。
「そんなことより!」
 すると海谷は私の叫びを無視し、そう言った。
 振り返ると海谷は目の前を指差している。


「なんだよ!・・・・あ・・・・。」
 私は無視されたことに腹を立てながらも海谷の指差した方を向いた。


 目の前には私たちの通っていた学校がそびえ建っていた。
 さっきぼんやりと見えていたものはこの学校だったんだ。
 草むらの上に建つそれは、私たちが暮らしていた場所にあったものそのままに建っていた。
 少し離れた場所にあったはずの体育館も校舎のすぐ隣にたたずんでいる。
 そして私たちの目の前には開け放たれている見慣れた門。


 私たちは顔を見合わせると何も言わずその門をくぐった。
 なんだかその門をくぐって中に入らないといけない、そんな気がしたからだ。
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