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BLACK BIRD 第1章 -8-

 建物たちは私たちを静かに見下ろしている。


「どうする?」
 校舎のほうへと向かう足を止めず、海谷がそう聞いてきた。
 そう、私たちは吸い寄せられるように校舎へと向かっている。


「わからない。とりあえず行けるところに行ってみればいいでしょ。そうだ。まずうちらの教室へ行ってみればいいんじゃない?」
 そう言うと、目的がはっきりしたからか、それとも校舎に近づいたからかはわからないが、歩くスピードが上がった。


 そして校舎の中へと入り、すぐ近くにある階段を上る。
 私たちの学校は、征服もなく、土足でいつも生活している。
 そのせいか、床はいつも汚れ気味だ。
 そんな床の汚れすら私たちの生活していた学校とそっくりそのまま同じ。
 

 そんな風に私は普段見ないようなところも見つつ私たちの教室のある3階まで上ってきた。
 私と海谷はまっすぐ廊下の奥の私たちの教室へと向かう。
 教室へと向かう途中にいくつか教室があるが、中を見ても誰もいない。


 階段を通ったりしているときにも誰とも会わなかったし、物音一つ聞こえかった。
 いつもついていた蛍光灯も今は全て消えていて、外は晴れているが室内は薄暗く、気味が悪い。


 私たちは教室に着いたが、なぜか私たちの教室だけ、廊下側の窓にカーテンが引いてあり、中が見えなかった。
 すぐ近くにあった戸を開けようとするが鍵がかかっているのか開かない。
 仕方がないので、奥にあるもう一つの扉のところへ行ってみる。
 その扉にはカーテンがかかっていない。


 他の扉や窓は普通のガラスで中の様子がはっきりとわかるが、この扉のガラスだけはすりガラスになっており、結局窓から中の様子をうかがうことができなかった。
 中は明るいので、教室の窓際にある窓にはカーテンはかけられていないようだ。
 机の方を見ても誰もいないように見えるが何しろぼんやりしているのではっきりとはわからない。
 なんにせよ部屋の中に動きはなかった。
 ここからわかる情報はこれくらい。
 はっきりとした中の様子を見るにはこの扉を開けるしかないようだ。


 扉に少し力を入れると・・・開いた。
 私は、いったん戸を閉めると後ろについてきていた海谷のほうを振り返った。
 海谷は開けてみたら?というように黙ってうなずく。
 私はうなずき返すと、ゆっくりと戸をあけた。


「・・・あ。」
 中を見るとたった一人、生徒が窓際にたたずんでいるのが見えた。
 レイアだ!!


 私がゆっくりと室内に入ると、外を見ていたレイアがこちらを向いた。
 レイアはカッターシャツに、式服のようなズボンをはいている。
 朝見たときは変な漢字のプリントされたシャツとジーンズをはいていて、こんな服装ではなかった。
 なぜレイアがそんな格好をいているのかはわからない。


 だが今はそんなことはどうでもいい、私が聞きたいのはここはどこか、他のみんなはどこか、どうすれば元に戻れるか、だ。
 レイアならこのことについて何か知っているはず。


 後ろでは海谷が部屋の中に入ってきた気配がする。
 レイアは私たち二人が部屋に入ってきたのを見ると薄く笑みを浮かべた。
 私にはレイアが笑う理由もわからない。


 とにかく、私はレイアにこの場所、この世界について聞いてみようとした。
「レイア・・・」
「やっぱりあの程度のやつらじゃ、あんたをどうにかすることはできないか。」
 私が話しかけようとしたのをさえぎりレイアがつぶやくようにそう言った。
 あん・・・た・・・?
 レイアはいつも私のことをそうは呼ばなかったはず。
 いつもお前って言っていた。
 あんたって言うときは・・・怒っているとき・・・。
 私が何をやったっていうんだ?
 それにあの程度のやつらって・・・どういうこと?


「やっぱ、何か感じるんだろうね。たった一匹向かって行ったのも、バカで弱い使えないやつだったし。」
 レイアは私たちの方とは違う、どこか遠くを見るような目でそう言った。
 なぜだろう。
 今のレイアの言葉はすごくイライラする。
 そしてレイアは小さくため息をつくと私たちのほうを向いた。
 何か言いたいことでもあるの?とでも言うように。


 私は発言するチャンスだと思い、
「レイア!ここはどこなんだよ!それに今使えないとか何とか言ったの!誰のことだよ!人の悪口言うとかサイテーだな!」
 私は怒りに任せてそう言った。


 するとレイアは何も分かってないとでもいうようにぽりぽりと頭をかいた。
「今、使えないとか言ったのは、あんたが殺したゴブリンのことだよ。」
 レイアは殺したというところを強調してそう言いはなった。
 ・・・?ど、どういうこと?
 何でレイアは私たちがゴブリンに襲われたのを知ってるんだ?
 それにさっきの言葉の前に言ったことは、私たちが何かに襲われるのを知っていたみたいな口ぶりだった。


 だがレイアは私の疑問の全てには答えずゴブリンの話を続ける。
「まったく、手加減もなしに。」
 そう言い何かにパンチするようなまねをした。
「さぞすっきりしたことでしょう。」
 そしてそう言うとまた笑みを浮かべる。


「・・・ッ!!」
 私は言葉にできない怒りが湧き上がるのを感じた。
 レイアに詰め寄り、襟首をつかむ。
 それでもレイアは笑みを浮かべたままだ。


「あんた、うちらがあんなモンスターに襲われるってわかっててここで高みの見物してたのか?!」
 私がレイアをゆすりながらそう言うと
「あぁ、かわいくお姫様抱っこされてるところも見たよ?」
 レイアはそう言って今度は声に出して笑った。
 さらに怒りがこみ上げてきたが、なんとか抑える。


 私はレイアを突き飛ばし、
「どういう目的がある?」
 そう聞いた。
 レイアは勢いよく尻餅をついたがまだ笑みは消えない。
 自分でも驚くほど冷酷な声が出たことに私は少し戸惑ったが、顔には出さないようにする。


「・・・そろそろ本性が出てきたかな?」
「は?」
 レイアは質問とは関係ないどういう意味かわからない言葉をつぶやいた。
「目的・・・か。」
 さっきのつぶやきについては何も言わずレイアは立ち上がる。
「それは・・・」
 レイアはそう言うと、さっきからずっと浮かんでいた笑みが消えた。


 私は急に背筋が震え、聞いてはいけないことを聞こうとしているんじゃないか、今とんでもないものを敵に回そうとしているんじゃないか、そんな考えが頭をよぎったが、もう後に引くことはできない。


「ジャマなあんたを・・・消すことさ。」
 レイアがそう言った。
 そのとたん、空気が震えた。


 建物中のガラスが割れたようなすさまじい音がし、教室中のガラスが割れる。
 窓のすぐ前に立っていたレイアの顔に一筋の赤い線が入った。


「な・・・?!」
 私は自分の顔をかばいながら、そこから動けずにいた。
 すると窓から強い風が入り込んでくる。
 私は両腕で体をかばった。
 小さな細かいガラスのかけらが宙を舞い、むき出しになっている片方の腕を切り裂いていく。
 顔にも防ぎきれなかった破片がいくつか当たり、口の中に塩辛い味が広がる。


 そして風が収まったころ、おそるおそる顔を上げるとレイアは窓枠の上に立っていた。
「・・・!」
 私は言葉を出せず目を見開く。


「私の世界にお前はいらない。」


 レイアはそう言うと右腕を振った。
 次の瞬間床に次々と亀裂が入り、地面が揺れ始める。
 そして一気に教室の端から床が崩れ始めた。
 立ち止まったままの私の手を誰かがつかみ引っ張る。


 最後にもう一度窓の方を見たがそこにレイアの姿はなかった。
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