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BLACK BIRD 第1章 -9-

「!!」
 私は布団から飛び起きた。


「・・・?・・・布団?」
 目の前には黄色がかったカーテン。
 そして私が寝ていたのは真っ白くて、硬いベッド。
 そこは学校の保健室だった。


 上を見ると雲の流れる青空ではなく、コンクリートの天井と、蛍光灯が見える。
「今までのものは・・・全部夢・・・だったのか?」
 私はそうつぶやいた。


 耳を澄ますとカーテンの向こうから音が聞こえる。
 誰かいるのだろうか。
 もしかしてレイア?
 私、熱でもあったのかもしれない。
 それであんな夢を・・・。


 でも夢のわりにだいぶリアルだったな・・・。
 私はそんなことを考えながら布団から出た。


「うわぁ!!」
 私は思わずそう声を上げてしまった。
 私は夢の中と同じ格好をしていたからだ。


「どうしたの?!」
 すると、私の声を聞きつけて誰かが駆け込んできた。
「悠ちゃん?!」
 私はそう驚きの声を上げた。


 駆け込んできたのは私の数少ない友達の一人、「夢中 悠(ユメナカ ユウ)」。
 丸っこい顔にそろった前髪がかわいらしい。
 少し長めの軽くカールした髪を後ろで一つにくくっている。


 そして彼女もまた不思議な服装をしていた。
 まるで教会にでもいそうな出で立ちだ。
 肩にかけられた水色がかった布に、床までつく純白のローブ。
 腰にも肩にかけられているものと同じ布が巻かれ、金の十字架のようなものが布によってとめられている。
 袖は長く袖口も長くなっており、それも床についてしまいそうだ。
 とてもじゃないけど動きやすい格好とはいえない。


「あ、この格好・・・びっくりしたでしょ?目が覚めたらこうなってて・・・。」
 悠ちゃんは少し恥ずかしそうに言った。
 私は図星をつかれ、どう言おうか迷った結果何も言わないことにする。
「でも黒鳥さんも服装変わっちゃったみたいだね。」
 悠ちゃんは私の服を見てそう言うと少し間を空けて、
「・・・お茶でも飲む?」
 そう言ってくれた。
 私は黙ってうなずくと、悠ちゃんはにっこりと笑い、ゆっくりとベッドから離れていく。


 私は小さく深呼吸をすると、ベッドの下を見た。
 そこには私がはいていたと思われる靴がおいてある。
 さっきは気づかなかったが、靴も変わってしまっていた。
 でもこの靴だけは私がはいていたものと似ていて、履き心地もいい。
 私は靴を履き、カーテンに囲まれたこの場から出た。


 保険室内には、いくつかクッションの置かれたソファが1つと丸テーブルの周りに置かれた小さな椅子があり、私はそのテーブル近くの椅子に腰かけた。
 悠ちゃんは保健室のすみにあるこじんまりしたキッチンでお茶の用意をしてくれている。
 私は改めて部屋の中を見回した。


 私の寝ていたほかにベッドはあと二つあり、他のベッドにも私が寝ていたときと同じようにカーテンが引いてある。
 もしかしたら他にも誰か寝ているのかもしれない。


 ベッドスペースの横には体重計や身長計などの測定器が狭いスペースに押し込められているのが見えた。
 その横にソファがあり、唯一の入り口であるドア、消毒液などが入った棚がおいてある。
 そして部屋の真ん中に今私が座っている椅子がいくつかと、丸テーブル。
 その横には、先生の使う机。


 そういえば先生の姿が見当たらない。
 先生はどうしたんだろうか?
 それに他の生徒は?
 この場所は、いやこの地はいったいどこなんだろう?


 窓の外を見ると、森が見えた。
 やはりここはさっきレイアとあ会った学校なのだろうか?
 でもあの時は窓ガラスが割れて、床も崩れていったのが見えた。
 ここは崩れずに残ったのだろうか。
 それとも草原で目覚めて海谷といっしょにいたあの時間は全て夢だったのだろうか。


「お待ちどうさま。」 
 私はこの場所のことについて考えていると、悠ちゃんがお茶を差し出してくれた。
 お茶はほんのりと温かい。
 悠ちゃんも自分のお茶が入ったコップを机に置き、私の向かい側に腰かけた。
 私はお茶をゆっくりすする。


「黒鳥さんはさ、私たちの使ってた教室に倒れていたとことを“ふよさん”が見つけたんだよ。」
 悠ちゃんは私がお茶を飲んでいるのを見ながらそう言った。


 “ふよさん”・・・?
 それはいったい誰だろう?


「あぁ、黒鳥さんは知らないよね。“ふよさん”って言うのはこの世界の人だよ。」
 悠ちゃんはそう言うと説明を始めた。


「ふよさんによるとここは私たちのいた世界とは別の世界らしいんだ。最初は私信じられなかったんだけど、周りの様子もおかしいし、なんだかよく分からない力が使えるし、服装もこんなだし・・・。だから少なくともここは私たちの住んでいた場所とは違うとこなんだな・・・って、そう思ったんだ。」
 そうか。
 ここは私たちのすごした地とは違う場所なのか・・・。


「それで、ふよさんについてはまだ分からないことだらけでさ。見た目は人なんだけど、なんていうのか生きてる感じがしないっていうか・・・よくわからないんだけど、私たちとは違う生き物っていうか・・・。あ、ごめん変なこと言っちゃって。」
 悠ちゃんはそう言って苦笑いを浮かべた。


「それでね、学校のみんななんだけど、今どこにいるのかわかっていないんだ。ここにいるのはわたしと、妹の無兎(ムウ)。それから黒鳥さん、それから黒鳥さんとと一緒に倒れてた海谷って人、それだけ。」
 悠ちゃんはそう言うと少し、不安そうな顔をした。
 というか、海谷もここにいるんだ!
 じゃぁ海谷はまだそこのベッドで寝てるのかな?
 そんな私の考えとはよそに悠ちゃんはまた話を切り出した。


「覚えてるかな?学校であったこと。いきなりチャイムがなり始めて、みんな倒れていったあのときのこと。」
 悠ちゃんの言葉に私は黙ってうなずく。


「やっぱり黒鳥さんも覚えてるんだ・・・。それじゃ、あれはほんとにあったことなんだね。夢兎も覚えてるって言ってたし・・・。」
 悠ちゃんはそこでいったん言葉を切り一口お茶を飲んだ。
 そしてゆっくりとコップを置くと再び話を始める。


「それで私もそのとき倒れちゃって、目が覚めたらここの保健室で寝てたんだ。起きてみたらちょうどここの丸いすにふよさんが座ってて・・・、それで夢兎も起きてきて・・・ふよさんにこの世界の話を聞いた。それでしばらく話を聞いてたらふよさんが急に席を立っんだ。わたしたちはどうすればいいか分からなかったからふよさんについていったら、黒鳥さんたちが倒れてた。それから3人で黒鳥さんたちを運んでここに寝かせておいてあげたんだよ?・・・それで今夢兎とふよさんは他に誰かいないか校内を探してる。私はここで二人の様子を見てたの。」
 悠ちゃんは話を締めくくった。


 悠ちゃんもまだこの場所については詳しくは知らないようだ。
 そのふよさんという人はいったい何者なのかわからないが、その人なら私の疑問の答えを知っている気がした。
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