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Another fantasy ? 82 ?

「どうしたの?」
 僕が急な彼の表情の変化に驚いて訪ねると、彼は今にも泣きそうな顔で震える声で言う。


「今、なんか踏みま・・・・・・」
「踏むなっ!!」
 そして急に彼の足下から飛び出てきたのは自称魔王こと手だった。
 ちなみに彼はこの店ラムザの先輩によりマオちゃんと命名されている。


「マオ君、君さっきまでどこ行ってたの?」
 魔王と呼ぶのははばかられるので、僕たちも今はマオ君と呼んでいるのだ。
 そして彼は雷が鳴り始めた辺りで姿を消した気がする。
 魔王なんだからまさか雷が怖いわけでもあるまいし。


「いや、何か、怪しげな気配を感じまして。この雨と雷の中に誰かの意志を感じる」
「あ?どういうことだ、それ」
 マオ君は半ば自分に言い聞かせるように言った。
 それにリクが首を傾げる。
 僕もそれに同じだ。
 ちなみに青年はおびえた顔のまま立ち尽くしていた。


「とにかく、俺少し外の様子見てきます!」
 マオ君はすっと僕らの前を横切り、魔法で扉を開け、雨が降りしきる外へと飛び出ていった。
 独りでにドアが閉まる。


「さっきのは、一体?」
 相変わらず青ざめた顔で青年が言う。
「まぁ、無害なモンスターってところか?」
 リクが斜め上を見ながらごまかすように行った。
 僕も青年から視線を外す。


「え、あ、そう、ですか」
 青年はしどろもどろに言う。
 その表情はまだ納得行かない、というか、腑に落ちない、というような様子を感じられたけど、マオ君については普通の人には信じてもらえない要素を多く含むので、多くを語らないにつきる。


「あ、の、それじゃ、僕は店の裏手の方へ行ってきますね。そこにも先輩方がいらっしゃるので!」
 彼は少し早口に言うと、再び店の奥へ去っていった。
 気づけば彼の去っていった先にはすでに人の気配がしなくなっている。
 店の従業員たちはみんなこの明かりが消えた原因について調べるためあちこち動き回っているのだろう。


 さっきの青年はまるで僕らにおびえたようだった。
 マオ君のせいが大きいのだろうけど、何かそれだけが彼のおびえた理由ではなかったような気がする。
 しかし、僕にはさし当たって誰かをおびえさせるようなところはない。
 考え過ぎかな?


「にしても気味が悪いな。それに誰も人が降りてこねぇ」
 リクが暗がりで腕組みをするのが見えた。
 確かにそうだ。
 上の階には何人も人が入るはずなのだ。


 さっきドタドタと何人もの人が行き交うような足音が聞こえたし。
 それがだれもこの一階に降りてこないなんておかしい。


 一階に降りる階段は僕たちがいるここ、バーになっている場所、それから店の奥、従業員用の通路に一つ。
 そして外にも一つ2階にあがるための階段がある。
 一番使いやすいのが、ここに降りてくる階段だ。
 そこの方が広いし、ほかの階段に比べてなだらか。
 暗いからこそのここの階段から誰かやってきそうなものだ。


「なんだか人の気配がしなくなってない?」
 さっきから聞こえるのは自分とリクが動く音と、外の雨や雷の音だけ。
 雨の勢いは衰えず、むしろ増しているように感じた。
 雷だって、相変わらずごろごろと唸り、空が光る。


「なんかだんだん人がいなくなっていくような気がするな」
「そ、そんなこと言わないでよ。本当にそうなったらどうするのさ!」
 思わずリクをにらむと、彼はにやっと笑った。


 しかし、僕は今違和感を覚えた。
 何か静かすぎる気がする。
 もちろん、人の気配がないとかそういうこともあり、外の音が聞こえる以外はとても静かなのだけれど、それ以外のことからに静けさを感じる。


「どうした?黙り込むなよ、なんかしゃべろうぜ」
 リクが少し弱気な声を出す。
 そしてそれと同時に僕は違和感の正体を閃いた。


「いやさ、さっきから妙に静かだな、っておもってたんだけど、天使と悪魔の声がしないんだ」
 僕の中にはひょんなことから悪魔と天使が住み着いた。
 にわかには誰も信じてくれないけれど、何人かは実際に僕の中の悪魔を見たことがある。
 リクものそのうちの一人だ。


「え?そいつら確かことあるごとにケイに話しかけてくるんだろ?今この状況ほど話の種になりそうなものはねぇだろ」
 確かにリクの言うとおりだ。
 特に天使は話好き。
 今僕らがこんな不可思議な状態になっているというのに口を挟んでこないとは一体どうなっているんだろう?

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