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Another fantasy ? 94 ?

「おい!早く準備するんだ!のんびりしてると船が沈んじゃうぞ!帰れなくなるぞ!」
 ひのたんが我に返り、僕をせかす。
「あぁ、急がないと!」
 僕は止まっていた手を忙しく動かし、鎧を着て、プレートをつける。
 そして片手に壁に立てかけておいた剣をつかんで、部屋を出た。


 そんな後ろにひのたんがついてくる。
 部屋を出た先には船員らしき、白い制服を着た男たちが去っていくのが見えた。
 乗客の姿はあまり見えない。
 冒険者らしき、武器を持った背中が階段の方へ走っていくのが見えただけだ。


 たぶん戦えないものは部屋に避難し、船員たちは乗客の様子を見たり、状況を知らせたりして回っているのだろう。
 僕はひのたんの方を振り返る。


「ねぇ、君はたぶん戦えないだろ?」
 ほとんど気体のような体をしている彼だ、魔法でも使えない限り、全く持って戦闘には使えない生き物である。
 ただ彼にもできることがあるのだ。


「え、う、まぁ、この姿だと、戦えないよ」
 言いづらそうに彼は言う。
 やはり魔法というものは使えないようだ。
 何も道具を持てないのだし、特徴もあまりないから、それもそうか。


「それじゃ、クイットの部屋の様子を見てきてくれないか。マオ君もクイットはどうしてるか知らなかったし」  

 僕が言うと、ひのたんははっとした顔をしてうなずいた。
「おぅ、わかった!クイットのことをした後は、僕はこの辺を回って、戦える人を集める手伝いをする!」
 相変わらず子供っぽい、舌っ足らずな口調で彼は言うと、ぴゅーっと飛んでいく。
 目指すはクイットの部屋へ、だ。


 そして僕はというと外へ出るべく、階段の方へ向かった。


 :


 外に近くなればなるほど辺りは騒がしくなっていった。
 剣などの金属がぶつかる音、人のかけ声、悲鳴、罵声、モンスターのものらしき身の毛もよだつような叫び声、船のきしむ音、足音。
 甲板のすぐ下、乗客室の並ぶ一体は、逃げまどう人々が多く、大混乱だった。


 僕の横を怪我をした冒険者が数人通り過ぎていく。
 彼らは全員僕を見て、がんばってくれ、とか、敵は多いぞ、とか一声かけてくれた。
 みんな自分の力で歩いており、命には別状のない怪我みたいだったけど、押さえた患部は血で塗れていた。


 僕は急に焦りを感じて、走るスピードを上げる。
 階段をかけ上り、一番最後、甲板に上がる短い階段の前で呼吸を整えた。


 剣を使ってちゃんとモンスターと戦うのは死の塔以来だ。
 ラムザに入ってからはろくなモンスターと戦う機会もなかったし、魔法ばかり使った。
 時間があるときに何度か、剣の練習をしたからなまってはいないと思いたい。


 どんどん早くなる鼓動。
 僕は胸を押さえ、一度深呼吸すると、階段をかけ上った。


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