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Another fantasy ? 106 ?

「悪魔の封をその身に受けし天使、バリアの身体を今この地へ!空の彼方、天空の地より導く黄金の翼よ、かの肉体を今ここへ、魂と結びつけん。レミアリオード!」
 できるだけバリアの声の調子に近づけ、どこか芝居っぽくはあれど、僕は朗々と唱えた。


 下の方では物音がしない。
 気づけば甲板には人が増えていた。
 いや、ヒトじゃない見た目の人種もいる。



 イタチのような頭にけむくじゃらの身体、という特殊な種族の人物。
 あと、地面に降りたハーピーや、そのハーピーを介抱していた野生児のような青年もいる。
 彼らも含め、そこにいる全員が僕を見ていた。
 僕はあわてて視線を逸らす。
 よそ見をしてはいけない。


 視線を戻すといつの間にか僕の頭の中ではバリアの気配が消えていたことに気づいた。
 指示がなくなったので僕は手をおろす。 
 そして僕の動きに続くように広がっていた光もせばまっていく。


 こうして僕の頭の上に、光が集まり、そこから精霊の姿が現れようとしたとき、光が細い線となって空へと延びた。
 驚いて光の向かう方向を見ると、雲に切れ目ができそこから何か金色に光るものが近づいてきている。
 下の方で人々がざわめく声が聞こえた。
 クイットも僕の後ろで息を呑む。


 光は徐々に僕らの元へと近づき、離れたところへ避難していた悪魔たちが騒ぎ始めた。
 頭上で奴らの騒ぎ声とばたばたという羽音がする。
 ただ、光を警戒しているのか僕らを襲ってはこなかった。
 たぶん遠巻きに僕らを囲っているのだろう。


 しかし、だんだんその鳴き声が近くなってきた気がする。
 遠くに見える光はだんだんと近づいてきてはいるものの、こちらに届くまではもう少しかかりそうだ。


 そうやって僕が遠くをぼんやりと見ていると、線のように延びる光から小さな人影がぽとりと落ちた。
 僕は反射的にそれを受け止める。
 それは、精霊だった。


「ディス!」
 クイットが小声で言う。
 精霊は疲れたような表情で、どこかぐったりしていた。


「私はまだぜんぜん消耗してないのに、どうして?」
 クイットが泣きそうな声を上げた。
 精霊は明らかに元気がない。


 クイットの様子を見る限りでは今までこんなことがあったようではないし。
 どうにか元気にしてあげられないだろうか。
「魔力をあげればこの子は回復するの?」
 僕はクイットのにそう聞いたけれど、彼女は力なく首を振った。
「わからないの?」
 そう聞くと彼女はうなずく。


 僕には精霊についての知識がない。
 どうすれば僕の手の中の精霊が力を取り戻すのかわからなかった。


 そして面倒なことに、精霊が衰弱していることがわかり悪魔たちの声に活気が戻り始める。
 うるさく鳴き始め、羽音がだんだん距離を狭めてきた。
 しかし気づけば金の光も猛スピードで近づいてきている。
 ただ悪魔はその光も精霊のものだと思っているようで、完全になめてかかっていた。
 これならもしかすると悪魔たちが集まってきたところを一網打尽にできるかもしれない。


「ケイ、ディスを助けて・・・・・・」
 僕がこの後のことを考えていると、すぐそばでクイットの消え入りそうな声が聞こえた。
 僕ははっと手のひらに受け止めた小さな人を身る。


 小さな彼女は熱にうなされる病人のように、赤い顔をし、荒い息をしていた。
 これはいったいどういう状態なんだろう。
 精霊も病気になるのか?


 ともかく僕は魔力を両手に込めた。
 手が白くぼんやりと光る。
 とりあえず魔力を与えてみれば元気になるんじゃないのか?
 確か精霊はほとんど魔力の塊のようなものだと昔どこかできいた気がする。
 僕は彼女の体が乗っている部分に魔力を込めた。


 するとそこで、僕の顔の先にある黄金の光のスピードが上がった気がする。
 視線をあげると、光の姿がはっきりと確認できた。
 キルアを呼びだしたときは黒いコウモリの羽のようなものの集まりがやってきたけれど、今回は黄金の鳥の翼だ。


「わ、つっこんでくる!」
 クイットがおびえたような声を上げた。
 その光はスピードを全く緩めず、僕らの方へ突進してくる!


 もしかして今僕が出している魔力に向かってきているのか?
 でも、今更もう手の中の魔力は引っ込められなかった。
 もう衝突は免れない!

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