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Another fantasy ? 126 ?

 赤を基調とした立派な鎧をつけたその男性は、俯いていた顔を上げる。
 その目つきはぼんやりとしており、相当体力を使っているようだ。
 口元には血が垂れている。 
 立派な鎧は至る所に傷があり、横に転がった大降りの剣はモンスターの体液などでひどく汚れていた。  

 彼の表情を見るに、とても大丈夫とは言えない。


「僕がわかりますか?」
 僕は彼の前で手を振る。
 すると彼は震える手で、自らの茶髪を払った。
「これで・・・・・・よく、見える」


 あぁ、意識ははっきりしているようだ。
 僕はほっと安堵し、安心してくださいと笑いかけた。
 彼も薄く笑顔を浮かべる。


「全身が、痛いんだ。・・・・・・すまないが、歩けない」
 彼は眉間にしわを寄せ、足を見つめる。


 彼は金属のプレートがついた丈夫そうなブーツを履いていた。
 ブーツは傷が無数にはいってはいるものの、大きくへこんでいたり、破壊されてはいない。
 このブーツの様子を見る限りでは、足は重傷ではないと思われる。
 ただ骨に軽いひびくらい入っているかもしれない。


 とにかく彼は船室に運んだ方がいいだろう。
 しかしこれでは動けない。
 僕は重そうな装備品をふんだんに身に纏った彼を一人で運ぶような力はなかった。


 とにかく、自分が使える魔法を駆使して、どうにか痛みを和らげてあげよう。
「どこが一番痛みます?」
「・・・・・・肩から、胸、かな?」
 彼は荒く呼吸しながら言った。


 よく見ると、右肩にはプレートがあるのに、左肩には何もついていない。
 無理矢理、何かが引きちぎられたようなあとが、彼の左肩にあった。
 悪魔にでも攻撃されたのだろう、あるいは魚モンスターに食いつかれたか。
 彼の肩には血がにじんでいる。


 僕は、その肩に手をかざし、魔力を込めた。
 ほんのりと手が光り、彼の肩を包む。
 男性はほっと息をついた。


「あんた、そんななりだけど、魔法はきっちり使えるんだな」
 空の方を見ながら薄い笑みを浮かべ言う彼は、心なしかさっきより饒舌になった気がした。
 僕は苦笑いを浮かべる。


 が、唐突に男性の顔から笑みが消えた。
 彼は目を細め、空を見る。
 僕は手に魔力を集めたまま、彼の見る方を見た。


「何かいるんですか?」
 男性に聞くと、彼は小さくかすれた声で「何かが空からこっちに近づいてきている」と呟いた。
 目を凝らすと確かに、何か黒い点がこちらに向かってきている。
 どんどんと大きくなるその黒い点は、薄暗いせいで正体が分からない。


 しかし、僕らに向かってきているようだった。

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