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BLACK BIRD 第1章 -24-

「はぁ?。」
 私は湯船につかりながらため息をついた。
 あの時お姫様抱っこを全員に見られてしまったのだ。
 ふよさんまでにも。


 しばらくこの学校を離れた後、約束の時間に帰ってきたふよさんは騒ぎを聞きつけむうたちに合流したらしい。
 そしてむうと悠ちゃん、海谷といっしょに、残ったガーゴイルたちを追い払いながら、私を探した。


 そして一番に海谷が私を見つけ、そして後から来たほかの3人にも私は・・・私はぁぁぁ・・・!
 私は再び盛大なため息をついた。
 せっかく久しぶりにお湯に浸かれたのに、これでは取れる疲れも取れないよ・・・。


 そうそう、このお風呂、ふよさんがいろんな魔法やらなんやらを駆使して、天然の温泉と学校をつないでくれたんだ。
 つなぐ、つまり小さなワープゾーンを作る、ということ。
 ここは穴場らしく、屋外でもモンスターがいない秘湯らしい(人も滅多に来ないとか)。


 そして、学校には洗濯機がおいてあったので、洗濯はそれでして、パジャマなどは、保健室においてあった体操服の替えなどを使わせてもらうことにした。
 それからあのあと、機械についても詳しい話が聞けたんだ。


                  :


「誰これ?ナニコレ?どこから来たの?何する人?っていうか人なの?」
 私はふよさんやむうたちと一緒にいったん大講義室へと向かった。
 大講義室と言うのは、中学校のクラス4つ分全員集まれるほどの大きさの広い教室のことだ。


 そしてそこに集結したのは海谷をアニキと慕う小さなドラゴンのようなやつに、UFOに乗った女の子(?)と、チャイナドレスに身を包む美しい女性(美しいと言うのにためらいがわかないほどキレイ!)、そしてたれ眼(海谷と服装が似ている)の男の人に、その犬、そしてむうの腕の中には見慣れない小さな動物がいたりと、いつの間にかものすごい数のメンバーが増えていた。
 もちろん(?)私を助けてくれた正体不明のイケメン兄さんも一緒だ。


 その面子を見て私が疑問符しかないセリフを言ったのは誰が見ても正しい判断だと思ってくれるだろう。


 そして新しく増えた面々はお互い顔を見合わせ、しばらくなにやら合図を送ると黒いお兄さんが話を始めた。


「どうやら、あなた方は説明書を紛失されたようなので、こちらから説明させていただきます。」
 ものすごく堅苦しい話し方だった。
 思わず私は顔をしかめる。


「・・・何か?」
 私の顔を見て、お兄さんがそう聞いてきた。
「いや、もう少し、砕けた話し方のほうが聞きやすいので・・・。それからまず名前を教えてくれませんか?」
 私はとりあえず敬語でそう言った。


「・・・わかりま・・・いや、わかった。そして名を名乗りたいところだが私の名は、まだない。新種だから。」
 ・・・話し方はわかりやすくなったものの、話の内容はわからない。
 名前がない?新種だから?どういう意味?


「・・・そのこともわからないか。仕方ない、説明しよう。私たちはこの機械のいわばデータのようなものだ。」
「データ?じゃあ、実体はないの?」
 その言葉にふよさんが反応し、そう聞いた。
 でも実体がなかったらさっきのようなお姫様抱っこはできないんじゃ?


「あぁ、それは説明するのが難しい。俺たちは実体があるようでない。消えることもできれば現れることもできる。生き物・・・だと思われる。痛みや感情はあるから。」
 おぉ、難しい。
 もうこの際そんな説明はいいから早いとこ機械の説明をしてくれ。


 私の表情から言いたいことを察したのか、お兄さんは咳払いをすると、機械についての説明を始めた。
「この機械はElectronic brainと呼ばれる。電脳、と言う意味だ。通称EB、私たちはその案内役であり、持ち主のパートナーでもある。」
「パートナー?」
 今度はむうが首をかしげた。


「そうだ。この機械は電脳世界への入り口という役割も持っている。その電脳世界は都市部に住む人間達が作った娯楽空間だ。そこではパートナーをモンスターと戦わせたりパートナー同士を消滅するまで戦わせる闘技場なんかがある。それで、敵との戦いに勝っていくと、私たちのパラメーターが上がり、そしてパートナーが強くなることで、EBの機能も増えていく、そういう仕組みだ。もちろん電脳世界にはそのほかにも施設がたくさんあり、まるで自分達が洞窟なんかを冒険しているような体験ができるバーチャル施設なんかが人気だ。」
 淡々とそう語る彼。


 都市部の人間はなんとえげつない楽しみ方をするんだ。
 消滅するまで戦わせる?
「都市部の人間はそんなことを娯楽の一つにしてるの?命をなんだと思ってるのさ!」
 私がそう言うと、彼は短く息を吐いた。
「それに答える前に考えてもらいたいことがある。この機械は何で動いていると思う?」
 私の言った言葉とは関係なさそうな質問を彼はした。


「・・・?電池?」
 むうがそう言ってみる。
「?電池?何だそれは?」
 だが彼はむうの言うことに首をかしげた。
 この世界に電池はないのだろうか?


「・・・まぁいいさ。これは生命石と呼ばれる石の力で動いている。」
「セイメイセキぃ?」
 私たちは思いきり首をかしげる。
「!な?なんだって?」
 そんな私たちの反応とは裏腹にふよさんはかなり驚いた。


「まぁ君たちが知らないのは無理はない。生命石と言うのは生き物の命を封じた石だ。その生成方法はずっと昔に歴史から消え去られたはずなのに、見ない間にそんなものにまで都市部の人間は手を出していたのか?」
 ふよさんはそう言うと腕を組んだ。
 い、生き物の命を封じる?
 よく分からないがそれはかなり大変なことではないのか?


「そう、その命が封じられた石でこの機械は動いている。さらにこれに使われている石はかなりの量の力が蓄えられているんだ。それゆえに高級品で、これを手に入れるにはかなりの額の金を払わなければならない。どうやってこれを、しかも3つも手に入れたかに興味はないが、この機械は何者かの命で動いていることに変わりはない。そして私が消えれば石に封じられている命が一つ消え、石に封じられている別の命がまた俺たちのようなものを生む。ちなみにこの石に封じられているのはだいたいはモンスターの命。人間は害をなすものの命を有効利用してやっていると言っていた。だが人間のパートナーに人間達のそんな考えに疑問を持つものが増え、最近電脳世界で暴動が起きているらしい。電脳世界に行く機能は使えるが、今そこはかなり危険だ。行かない方が無難だろう。」
 そう言うと、彼は言葉を切った。


 ・・・なんだ、この世界は?
 ここに住んでいる人間は一体どういう考え方をしているんだ?


「あぁ、勘違いしないように言っておくが、こんな考えをしているのは都市部に住んでいる金持ちたち、一部の人間だけだ。自然の中で暮らしている人々はこのような考え方はしていない。」
 彼はそう言ったが、全員黙りこくってしまった。


 椅子に身を投げ出すように座っているたれ眼のお兄さんと犬だけが無反応だ。
 むうの腕の中にいる小さな動物ですらうつむいているのに。


「でさ、自己紹介していいかな?名無しの兄さん?」
 するとたれ眼の兄さんが沈黙の中そう言った。
 私を助けてくれたお兄さんはああ、とだけ返事をする。


「僕の名前はフール。コイツは相棒、相棒って呼べば反応するから。」
 彼は居住まいを正しそれだけ言うとまたさっきのような態度に戻った。
 それ以上は特に何も言いたいことはないらしい。


「それじゃ、僕らも自己紹介しようか。僕は、「リミティ・ドリーミン」。」
 UFOに乗った子がそう言った。
 リミティ?
 男の子っぽい名前ではないし、この子はやはり女の子なんだろうか?
「私は「フィニティ・ドリーミン」。この子とは似てないけど姉妹。」
 続いて隣にいたチャイナドレスの女の人が言った。
 えー?!髪の色も違えば歳の差も結構ありそう。
 でも名前は同じような感じだから姉妹っていうのもうなずけないことはない?


「あ、この子はカーバンクル。額の石の力で防御壁を張ったりとかできる、賢い子だよ。」
 リミティが言った。
 カーバンクルはそれに答えるように「みゅう!」と鳴く。
 か、可愛い・・・。


「・・・でさ。最初に言ってたけど、新種って何?名前がないって・・・。」
 悠ちゃんがただ一人呼び名のない彼に聞いた。
「あぁ、それか。説明すると、私たちパートナーは持ち主の情報などから生まれるのだが、まれに今まで生まれたことのない生き物が生まれることがある。それが新種で、名前はその持ち主がつけることができる。」
「え?つまり私が名前つけるの?」
 私は彼の言葉に焦った。
 そんな新種の生き物に名前をつけるって、そんな・・・。


「なら、このリミティやフィニティは今まで生まれたことがあるの?」
 むうが焦る私をよそに言った。
「うん。僕らは何度かうまれたことがある。でも僕はこんな見た目だし、アシスタント型だから、すぐに消える運命にあったのさ。フィニティもこの顔だから女の人たちにはうけが悪くて。」
 そう言うとリミティは仕方ないとでもいうように肩をすくめた。
 そんな理不尽な・・・。
「まぁそれが私たちの宿命だから。こうして今はお互い仲間同士だがいつ敵となるか分からない間柄で、こっちからしたらかなり複雑。」
 フィニティさんもそう言う。


「まぁそう言うことだ。私たちパートナーについての説明はこれくらいか。後、これの機能については各自で説明を受けてくれたらいい。」
 彼がそう言い、私たちは各パートナーから説明を受けることとなった。
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