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35?G

「そうだな。何日か泊まらせてもらおう」
「じゃぁ!いろいろと話を聞かせてね!そのかわりご飯もたっぷり食べさせてあげるから!あ、長い間いるならバイトでもする?」とムムは鼻息荒く話始めた。


「ちょっと、母さん!レーヌさんにも都合っていう物があるんだから。捜し物をしないといけないのに働いたり、母さんとずっとしゃべってる暇なんてないよ」
「あ、あぁ、そうね。そうだったわ。それじゃ、話は夜にでも聞かせてちょうだい」
「・・・・・・分かった」


 泊まらせてもらう、しかも、食べるものまでもらうのだ。
 何かこの家のために働かないといけないだろう。
 話を聞かせることくらいしてあげなければ。
 今まで、私の住んでいた森であったことを旅で起こったこととして話せば何とか話をあわせることができるはずだ。


「あ、それで」
 ようやくムムの関心は私からそれ、今度はメックの方に目を向けた。
「あんた明日はクアーブの研究所に行くんでしょ?明日朝までにおみやげと、バス代用意しておくから、忘れないようにね」
 ムムがいうと、皿にかじりつくように食べていたノノが顔を上げた。


「あれ?兄ちゃん明日どっか行くの?」
「あぁ、ちょっとした捜し物と、勉強にね」
 メックは少し口の橋をあげて、小首を傾げた。
「ふーん、研究所って難しそうだね。あたしたちは明日も友達の家に遊びにいこっと。ねー」
「ねー」
 ノノとトトは顔を見合わせ、同じタイミングで首を傾げた。


 二人とも肉の汁がついて、口の周りが大変汚らしいことになっている。
 しかしみんな気にしていないようだ。
 この光景は日常茶飯事ということか。


「それで、君はどうするの?」
 子供たちの顔については触れず、ムムは次にイラに話しかける。
「え?・・・・・・えっと、明日には・・・・・・ば、ばあちゃんちに戻ろうと思ってます」
 イラはぎこちない笑みを浮かべ、ムムは怪訝そうな顔をした。


「そうなの?うちは部屋も多いし、それなりに余裕があるから、泊まるときは遠慮せずに言ってね?」
「は、はい」
 イラは目線を泳がせながら返事をした。
 そして、話が途切れたと知ると、また黙々と食べ始める。


「ノノ、トト、今日は何して遊んだの?」
 イラを不思議そうに見ていたムムだったが、少し鼻を鳴らすと、さっさと話題を変えてしまった。
 どうもイラに対する興味はあまりないようだ。
 イラの方こそ人間しかないないところからきた、という物語の参考になりそうなことを口走ったというのに。
 なぜ私にばかり興味を持つのだろう。
 イラのほう髪が奇抜な色をしていて、目立っているというのに。
 私には彼らが惹かれる何かがあるとでもいうのだろうか。
 考えても何も分からなかった。


 ムムたちは極普通に家族間の話をしている。
 今日は何があった、とかそういう話だ。


 私も今までは家族と食卓を囲み、その日一日あったことを話したものだ。
 これが夢だったらいいのに。
 目が覚めれば、いつもの家の中。
 そうであればどんなにいいだろう。


 思わず出そうになったため息を私はどうにか飲み込んだ。
 迂闊にため息でも出してみろ、ムムに何かと原因を聞かれるに違いない。
 私は考えが悲観的になりそうなのを抑え、目の前の家族の話に耳を傾けることにした。
 彼女らの話は私が抱えた問題を忘れさせてくれる。


 それほど穏やかで、平凡だった。

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