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Another fantasy - 158 -

2011年02月13日21時18分50秒

 背後からぎゃあぎゃあという鳴き声が続いてくる。
 次いでバタバタという騒がしい羽音が頭上へと遠ざかっていった。
 木の根っこでボコボコしている地面をどうにか走り、僕は羽音が向かっていった頭上を見上げた。


 諦めてラメロ達はどこかへ飛んでいっただろう、と思いながら。
 しかし、僕の予想は大きく外れていた。


 森の木々の合間からこちらを向くラメロの群れが見えたのだ。
 ふと手元を見ると、僕の剣が木々の間からはいる光を反射してきらきらと光っている。
 もしかして彼らはこの剣を狙っているのかもしれない。
 ラメロ達は光り物が好きだ。


 最初彼らが現れたとき、僕は剣を抜いた。
 そのとき反射した光が彼らを呼び寄せたに違いない。
 僕はそう無闇に剣を抜くものではないと後悔した。
 あのとき、もう少し様子を見てから剣を抜いていればラメロ達に目を付けられることもなかったろう。


 僕がもやもやと考えていると、木の根に足を取られてながらクイットが追いついてきた。
 どうも森に入った時点で、僕とマオ君からかなり遅れていたらしい。
「さっきのモンスターは?」
 クイットは息を切らしながら僕に聞いたが、すぐに「あ」という声を漏らした。
 横を見れば彼女も上を向いている。


 どうも僕がずっと上を向いたままでいたから彼女もつられてそこをみたのだろう。
「危ない!」
 そして次の瞬間僕は彼女に突き飛ばされた。


 僕は彼女の方ばかり見ていたから一瞬何が起こったのか理解できなかったけれど、僕がさっきまで立っていた場所に火の塊が落ちてきてようやく今の状況を悟った。
 ラメロたちが上空から攻撃を開始したのだ。


 見上げれば、次々とラメロたちが炎を吐き出してくる。
 その炎は次々と木に燃え移った。
「大変だ!」
 僕は手に魔力を溜めつつ、「マオ君!あいつらの相手を!」と指示を出す。
 僕は木の消火に回らなくては。


 飛んできた火の玉が木々を次々と燃やし始めた。
 僕は溜めた魔力を水へと変え、燃える木々に向けてとばす。
 じゅっという音を立てて、火は一端勢いを弱めるが、短い時間で溜めた魔力だけではどうにもならない。


(ケイ!あんた、水を出す魔法の呪文とか知らないわけ?!)
 バリアが頭の中で大声を出すが、知ってたらそれを使うに決まっているじゃないか! 
 バリアだってそんなことはわかっているはずだ。
(そりゃそうだけど、こっちは何にもできないんだから、こうも言いたくなるじゃないさ!)
 バリアは悔しそうな声を漏らす。


 バリアは天使だし、いろんな魔法を知ってるみたいだから水を出す魔法くらいわかるんじゃないのか?
(だめだよ、あたしのは。時間がかかるし、何しろ今のあんたじゃ加減ができない。木の火を消すどころか、炎ごと木をへし折っちゃうと思うね)
 それだったら全く使えないじゃないか。


 というか、今のあんただったら、ということは、修練を積めば加減できて、うまく魔法が使えるんだろうか。
(そうだね。でも私たちの使う魔法の訓練なんてなかなかできるもんじゃないし、やっぱり冒険をしながらちょっとずつ慣れていくしかないね)
 バリアは少し力なく言う。


 僕はある程度力を込めた水を木にぶつけ、ようやく一本の木の火を消すことができた。
 しかし、まだ何本も木は燃えている。
 再び魔力を溜めつつ、僕は上を見上げた。


 そこではマオ君が紫色のいつもの光を操りながら、ラメロたちを倒しているところが見える。
 ラメロのうちの何匹かが森に落ちた。
 クイットはクイットで、光の精霊、ディスに指示を出し、ラメロたちの目をくらませている。
 あまりたいしたダメージにはなっていないようだが、何もしないよりはずっとましだ。
 ちなみにひのたんは何もしようがないので、クイットとディス、マオ君の応援をしている。
 僕もどうにかがんばろうと、消火活動をした。


 そんな中、再び何羽かのラメロが落っこちてくる。
 羽にいくつか焦げ後がつき、痛々しいが、こちらだって襲われている身だ、かわいそうだ何だとあまり言ってられない。
 しかし、心が痛む。
 そんなことを思っていたときだった。


 不意に森の中を突風が吹き抜けた。
 木々の葉っぱが舞い上がり、僕は吹き飛ばされそうになった。
 どうにか踏ん張り、目に飛んでくるものが入らないよう、顔の前を腕で覆った。 
 どう考えてもこの風は自然に起こったものではない。 
 頭上ではラメロたちがギャアギャアわめき、バタバタという騒がしい羽音が降ってくる。
 時折顔に柔らかい羽のようなものがふれていく。


 風は長い間ふき続け、徐々にラメロたちの羽ばたきや叫び声が遠ざかっていった。
 その音が遠ざかるとともに、風も徐々に収まっていく。


 僕はようやく顔の前から腕をどけ、目を開けた。
 すると、木に移っていた火はすべて消え、その木々の枝の上にはてるてる坊主に似た小さな人がずらりと並んで立っていた。

2011年02月13日21時18分50秒_001
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