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Another fantasy - 160 -

 僕らの前に現れた少女の肌は真っ黒、胸元など極一部だけ白い布で隠し、ほとんど裸同然の姿をしている。
 黒い肌の所々には稲妻のような紫色の模様が入り、その背中にはこちらから見て、左側に鳥のような真っ黒な羽、もう片方にはコウモリのものに似た、黒と赤の羽が生えている。
 先だけ紫色の白い髪に、真っ赤な瞳。
 どう見ても人間ではなく、背中の羽からして、僕には彼女が悪魔のように見えた。


「あなたは誰?」
 クイットが恐る恐るといったように声を出したが、彼女は無言のままだった。
 今の破壊的な突風は彼女が出したものだろうか。
 だとしたら、何が目的で今のような風を起こし、そして、僕らの前に現れたのだろう。


 僕の隣に浮かぶマオ君を見てみたが、彼は警戒しているようで、固まったままほとんど動きがない。
 クイットの近くに浮かぶひのたんの方を見てみたけれど、ひのたんは怖そうにクイットの背に隠れてしまっていた。


「ビシウスに、似てる」
 ひのたんからクイットに視線を移すと、唐突に彼女はそう言った。
 女の子に視線を戻して、改めてその様子を見てみる。


 言われてみると、羽とか、目つきとか、何となくビシウスと似ているような気がしなくもない。
 悪魔のような見た目という点からすれば、もしかして、彼女とビシウスは同じ種族とか、同じ種族じゃなかったにしても種族間で何かつながりがあるかも。
 それにしても、僕は思いきり視線を外し、全く違う方向を見ていたというのに、少女は僕らに対して何もしてこようとはしなかった。


「あなた、名前は? ビシウスって人知ってる?」
 再びクイットが口を開く。
 攻撃をしてこないところをみると、もしかすると彼女は敵ではないのかもしれない。
 だから、クイットはそんな質問をしたのかも。


 しかし、目の前の少女はことごとく無反応だった。
 ただ、じっと僕の顔を見つめている。
 もしかして僕に用があるのか。
 もしくは僕の中の何かに用があるのかも。


 しかし、そんな彼女が突然、はじかれたように空を見上げた。
 つられて空を見ると、ビシウスが猛スピードでこちらに飛んでくるのが見えた。
 少女へと視線を戻すと、彼女は少し目を細めたかと思うと、次の瞬間には大きく目を見開いている。
 ビシウスを認識した途端、彼女の表情が変わったのだ。
 再び空をみれば、すぐ間近にビシウスは迫っており、クイットのそばに着陸した。
 今まで見た限りではいつも表情のなかった彼の顔だが、今は険しい表情を浮かべている。


 しかし、彼がおりたった途端、少女の方はというと大きく羽を広げ、猛烈な風を巻き起こしながら飛び立ってしまう。
 ビシウスもクイットに何か話しかけるでもなく、そんな彼女を追って飛び立ってしまった。
「な、なんだったの?」
 風で乱れた髪を直しながらクイットがつぶやいた。
 確かにさっきの彼女は何を思って僕らの前に姿を現したのだろう。
 ビシウスを見た途端、落ち着きを失ったように見えたが、実際彼女が何を思っていたのかは彼女自身にしかわからない。

「ともかく、危機は去ったわけだ」
 マオ君が肩をすくめるようなポーズをしつつ言う。
 彼はこのポーズが癖のようだ。


「そう、だな」
 僕が呟くと、ひのたんもようやくクイットの影からでて、空を見上げた。 
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