スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Another fantasy - 165 -

「あの、魔法を教えてもらおうと思ってきたんですけど」
 僕はわいわいと話しかけてきてくれる声を遮り、大きな声を出した。
「あぁ、OKOKなノ! そこの女の子はもうOKなノ!」
 最初に僕の前に現れた人が言った。
 女の子は、ということだが、僕は、どうなのだろう。


「あの、僕は?」
 僕が自分の顔を指さすと、ノムは深くうなずいた。
「それじゃ、久々にやるノ」
 彼が言うと同時に、僕らを取り巻いていた人々が離れていき、ノムと、ほかに4人の人物が残った。
 彼らはメイルの家で見たものの知識と併せて考えると、ナム、ニム、ネム、ヌムそれぞれの名字を持つ人のようだ。
 つまりノムを含めた彼らは5家族の代表、ということだろう。


「それじゃ、審査をするノ。手を出すノ」
 ノムが僕の前に歩み寄り、小さな手を伸ばした。
 また、ひのたんの前や、マオ君にも4人のうち一人ずつ近寄り、同じように手を差し出す。
 握手、のようなものだろうか。
 審査をする、という言葉が気になったが、周りの原住民たちがじっと見つめているので、あまりもたもたしていると恥ずかしい。


 僕は、ゆっくりと小さな手に自分の手を伸ばした。
 ちらりと、一人既に審査をパスしたクイットを見ると、そわそわした様子で僕らを見ていた。
 僕が思うに審査というのも、ただこの原住民が手に触れるだけ、だと思う。
 きっと、クイットだけ先にOKをもらえたのは、最初ノムが現れたときに、彼女の手に触れたからだ。


 僕は、ノムと、握手をした。
 柔らかい手だなぁ、とか思っていると、ノムはなんだか難しい表情を浮かべる。
 何かよくないことでもあるのだろうか。
 確かに僕はいろいろとため込んでいたりするけど。


「あ~、おほん」
 そんなとき僕の横から咳払いが聞こえた。
 見ると、マオ君を見ていた原住民、きっとナムという名字の人だろう。
 彼はなにやらノムと同じく難しい表情をしている。
 その横のひのたんを見ていた背の高い原住民、ニムという名字だろう彼も困ったような顔をしていた。


「君は、遠慮しておいた方がいいナ。きっと君にはここで覚えられる魔法が必要ないナ」
 ナムはマオ君にそう告げた。
 てっきり僕はマオ君が「なんで俺はだめなんだ!」とかいう風に怒るんじゃないかと思ったけど、予想に反して彼の反応はあっさりとしていた。


「そーか、じゃ、いいわ」
 魔王だからか?
 確かに彼ほどのものとなれば今更新しい魔法を覚えなくても大抵のことは何とかできそうだ。
 さすがに海を渡ることはできないみたいだけど。


「君も、体がないみたいだから、無理だニ。体があったにしても、君には彼と同じようにここの魔法は必要ないニ」
 そう言われたひのたんは僕の予想通り「えー!」と不服そうな声を上げた。
 しかしそこではっとした顔をする。


「そうだ! これで証明になったじゃないか! 僕はほんとに体がなくって、本当の体はここの魔法が必要ないくらいにすごいってさ!」
 確かにそうだ。
 触れただけで彼らがどれくらいのことまでわかるのかわからないけれど、ひのたんがほんとに体がない、ということがはっきりした。
 今まで嘘っぽいところの多かった彼の言葉だけど、今はなんだか本当のことだと思える。
 人のいい原住民たちのことだ、嘘をついているとは思えない。


「確かに彼はヒトじゃないニ」
 ひのたんに触れた原住民ニムも、もう一度言う。
「そうか、それじゃ、なおさら急がないといけなくなったかも」
 僕は腕組みをした。


 が、そこへバリアの気配が!
(あんたはどーなのよ!)
 バリアが怒鳴る。
 一瞬何のことかわからなかったが、すぐに思い出した。


 そうだ、僕の審査はどうだったんだ?
 いつの間にか僕はノムの手を離していたけど、審査はもうできているはずだ。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yamattulann

Author:yamattulann
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。