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Another fantasy -166 -

「僕は?」
 腕組みをといて、ノムを見た。
 ノムは難しい表情をいくらかゆるめ、僕を見る。


「今までにない感じなノ。半々なノ」
「半々?」
 クイットが困ったような声を上げ、マオ君がすっと僕の横に飛んできた。
「どーいうこったよ?」


「それが、今までなら可か不可かはっきり感じ取れたノ。でも、この人ははっきりと感じ取れないノ。だめじゃないけど、よくもない感じ・・・・・・なノ」
 ノムがうつむくと、彼の後ろに待機していた原住民の二人が近寄ってきた。
「ともかく、やってみればいいんじゃないヌ?」
「そーネ。きっと大丈夫ネ。セカイ様に触ってみるネ」
 ノムの後ろの二人は口をそろえていった。


「セカイ様?」
 そこへ口を挟んだのはひのたんだ。
 そうだ、いま女の子らしい見た目の原住民、確かネムという名字の彼女は、セカイ様に触ってみろ、というようなこと言った。
 セカイ様というのは誰のことだろう。
 もしかして、この大木のことだろうか。


「セカイ様っていうのはネ。この木のことなのネ。ものすごい力を持った木なのネ」
 予想通りだった。
 しかし世界、という名前は少し大げさじゃないか?
「ずっと前からこう呼ばれているんだヌ。どうしてこう名付けられたのか詳しいことはもうわからないんだヌ」
 ネムの横に立つ、ふくよかな体型の原住民、ヌムはいった。


「で、魔法を教えてもらうには?」
 クイットがそわそわしながら聞いた。
 そうだ、結局魔法はどうやって教えてもらうんだろう?
「大体察しはついていると思うけどナ。セカイ様に触るだけなんだナ」
 比較的標準的な体型のナムはぽてぽてと歩き、僕らを取り囲むようにして見守っていた、ほかの人々を左右に避けさせた。


 巨木への道が開く。
 数歩進めば、すぐそこに木の幹がある。
「触れられるのは一人ずつだニ。どっちが先に行くニ?」
 僕とクイットの間に立って、ニムが言う。
 僕は彼女と顔を見合わせた。


 僕はよくわからないことを言われた手前、触りづらいが、クイットもクイットで不安げな顔をしている。
 そんな僕の顔の前に黒と赤が飛び込んだ。
「そら、師匠が先っしょ! 何が起こるか見も・・・・・・えへん! 楽しみっすね!」
 思い切り見物、といいかけたな、マオ君よ。


「人事だと思って!」
 クイットが少し怒ったが、マオ君の意見に賛同するのがもう一人。
(そーよ、あんた先にいきなさいよ! 不安なものはさっさと取り除いた方が絶対いいって! 特にあんたの場合!)
 バリアまでそんなことを言う。
 そこまで言われて、ぐずぐず言うのもな。
 これでも、騎士を目指す、いや、目指そうとしている身だ。
 ちょっと、いや、ちょっとどころじゃなく僕は情けない奴だけど、ここは先に行かせてもらおう。


「僕が先に触るよ」
 クイットを見ると、彼女は黙ってうなずいた。
 僕は前を向き、がんばってくださーい、というマオ君のどこかはしゃいだ言葉を背中に受けて、幹の前に立った。
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