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Another fantasy - 167 -

 おそるおそる、僕は右手を伸ばす。
 軽く指先を当て、続いて、手のひらを押しつけた。


 途端、上空からざわざわという大きな音がし、僕の手が触れた場所から淡い緑の光が木を覆った。
 上を見上げれば、木は緑一色だった。
 枝を、ツタや葉、そして、光が覆う。
 何が起こったのかわからず、戸惑った僕は木から手を離しそうになった。


「離しちゃだめなノ!」
 背後からノムの声が響く。
 僕は離しそうになっていた手をなんとかもう一度木に押しつけた。


 光は木全体を包み、ざわめいていた木が静まり返った。
 辺りは静かなまま、音も立てずに次なる変化が僕を襲った。
 緑の光が一瞬で集約され、僕の手のひらに集まったのだ。
 体に電流が流れたような衝撃があった。
 木の幹と僕の手の間で、わずかな緑がはじけ、僕はよろけて数歩後ろに下がった。


 尻餅をつかなかった分成長したかも、なんて思う僕がいたりして、まだ余裕はある。
「だいじょぶっすか?!」
「大丈夫?!」
 マオ君とクイットが駆け寄ってきて、同時に言った。


「う、うん」
 僕は今のところ体には何ともないので、小さくうなずき返す。
 けれど、変化はまだ終わっていなかった。
 僕の胸元が光ったのだ。


「あ?」
「え?」
「うん?」
「ほにゃ?」
 僕、クイット、マオ君、ひのたん、その他大勢、予想外の事態に驚く。
 原住民たちの様子を見るに、こんな事はやはり今までないようだ。
 まさか僕自身が光るとは。
 しかもさっきのような緑色の光ではなく、僕からでる光は青い。


「これは、セカイ様の光じゃないネ」
 ネムのつぶやきが聞こえた。
 この青い光。
 見覚えがあるのだが、いったい何だったか、どこで見たんだっけか。 
 少し間を空けて、僕はひらめいた。


 この光は船の上で見た。
 船に乗っていたとき、たしか、デーダと、デイネルさんと一緒に戦って怪我をしたときのことだ。
 僕はデーダに魔法をかけてもらって、敵の目をくらまし、休んでいたんだけど、そのとき変な夢のようなものを見た。
 悪夢だった。
 現実と夢の狭間のような空間と映像。
 僕は苦しんだ。
 そこを助けてくれたのがこの光。


 そして、この青は。
「宝玉だ!」


 今回の旅に出る直前。
 暴走したのか正気だったのか、はたまた別の事情があったのか、よくわからないが、そんなネアルによって、僕の宝物の宝玉はひびだらけにされてしまったんだ。
 この宝玉の中には小さな、背中に羽の生えた妖精のような生き物の姿があった。
 しかしひびでかすんでしまった宝玉は中心部が見えなくなり、宝玉の中の方が一体どうなってしまったのかわからなかったんだ。


 もしかしたら今の木からの衝撃で、僕の宝玉に何か変化があったのかもしれない。
 僕は大慌てで、胸につけていた鎧のひもをゆるめ、ローブの奥にしまっていた宝玉を取り出す。
 するとそれはまばゆい光に包まれていた。


「まぶしっ!」
 突然光の源を出してしまったため、準備のできていなかったクイットたちはあわてて目を覆った。
 僕は、鎧がずり落ちていくのも気にせず、宝玉を見つめる。
 一体これから何が起ころうと言うんだろう。
 まさか今さっきの衝撃がとどめになって、宝玉が砕けてしまうんじゃないだろうか。
 そう思った矢先。


 案の定、光とともに宝玉が砕け散った。
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