スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Another fantasy - 168 -

「あ、ああぁあぁ!!」
 僕は情けない叫び声をあげた。
 手の上に乗っていた感触がなくなり、粉のような青い光は辺りに霧散していく。
 手のひらは青く煙り、僕は目をこすった。


 まだ、少し信じられなかったんだ。
 しかし、目をこすった後も景色は変わらなかった。
 けれど、変化が起こった。


 不意に手の上の青が渦を巻き、渦潮のようになったかと思えば、それが縦に延びた。
 何かが光の中から飛び出したのだ!
 まさかと思って僕は上を見上げた。
 青は尾を引いて飛び上がり、頭上で円を描く。
 そして、何か小さなものが急降下してきた!


 それは僕の目の前で急ブレーキをかけたように止まり、くるくると回転する。
 動く度に青く光る粉が舞った。
「よ、妖精?」
 僕は目を見開いた。


 どうみても妖精のようだった。
 精霊と似たような手のひらサイズで、羽が生えていたり、耳が長いところなんかはほとんど精霊とは変わらない見た目だ。
 なぜ僕がここで精霊ではなく妖精と呼んだのかというと、服が精霊のものとは一風変わっていたから。


 僕の目の前に現れた小さな人の服は、葉っぱ、ツタなど、自然をモチーフにしていたのだ。
 いつだったかにモンスターなど生き物について冒険者学校で勉強していたとき、本で妖精の絵を見たことがある。
 それに雰囲気がそっくりだった。


 女の子のような、顔、そして体つき。
 彼女は僕の持っていた宝玉の中にいた子だ!


「妖精!」
 クイットやひのたんもまた驚いて声を上げた。
「そんじょそこらの妖精じゃないですね。モンスター化したやつじゃないっす」
 クイットに続いてマオ君も言った。
 確かに野生化して、モンスターのようになった妖精は比較的よく見かける。
 しかし、そういった妖精は、敵意をむき出しにしていたり、意地悪そうな笑みを浮かべていたりと、かわいらしさはあまりない。


 それと違って僕らの前の彼女は服装も顔も大変かわいらしかった。
 僕がほほえましく見つめていると、彼女は少しもじもじとした後、口を開いた。
「ど、どもども、はじめまして~!」
 僕は数度瞬きを繰り返した。
 なんだかイメージと違う。


「いやはや、ようやく出てこれましたわ~。あんがとーございますー」
 肩の部分がふんわりと膨らみ、これまた柔らかく膨らんだスカート。
 所々花の飾りをつけていて、服の袖口なんかにはフリルもついている。
 見た目はかわいさ満点!
 しかし、しゃべってみれば、高い子供らしい声に似合わぬ口調・・・・・・。


「いやぁ、石の中は中でえかったんですけどもね。ひびが入っちゃ、たまったもんじゃないですよー。居心地悪いですし、なんか中途半端でしょー?」
 僕が呆然としている間にも彼女は勝手に話している。
 それを見てクイットは「おもしろーい」とか言って笑っていた。
 ひのたんもひのたんでおもしろそうにしている。


「なるほど、そういうことだったノ」
 そんなとき、下の方からノムの声がした。 
「きっとさっきの変な感じは魔法を覚えることはできなくても、なにかしら変化が起こるという意味だったノ」
 言われてみれば、妖精が現れるという変化はあったもの、魔法を覚えたような実感はない。


(ねぇ、バリア。僕特に魔法を覚えた感じじゃないよね)
 僕の内面の事情については、なぜか自分よりバリアの方がよく知っている。
(ん? あ、あぁ、そうね、そうね)
 バリアにしては歯切れの悪い返事。
 何か考えごとでもしていたんだろうか。


(いや、妖精っていうので何か頭に引っかかるものがあってさー)
 バリアは何か誤魔化しているような口調と笑い声をもらしながら言った。
 彼女の真意は見えない。
 いったいバリアは何を考えているんだろう?


「ともかくこれで、ちゃんと仕事できますわー。そんじゃちょっと野暮用があるんでこれで失礼しますー」 
 僕が首をひねっていると、妖精はさっと飛び上がり、僕の頭の周りをくるくる回って、青い粉をまき散らし、いつの間にか青に紛れて消えてしまった。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yamattulann

Author:yamattulann
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。